4. 相続税の申告、税務署が直せるのは申告期限から5年・不正なら7年
税務署は、いつまでも申告を直せるわけではありません。
4.1 国税通則法で決められている期間
国税通則法第70条により、税務署が税額を直す更正や決定は、原則として法定申告期限から5年を過ぎるとできなくなります。
ただし、偽りその他不正の行為によって税額を免れた場合は、法定申告期限から7年を過ぎるまで更正や決定ができます。
4.2 「通帳を何年さかのぼるか」とは別の話
この5年・7年は、税務署が申告を直せる期間です。調査のときに、通帳の入出金を何年分さかのぼって確認するかを決めたものではありません。
なお、名義預金は、亡くなった方の財産として相続税の申告に含めるかどうかが問われるものです。家族名義に預け入れた時期が古くても、それだけで申告の対象から外れるわけではない、という点は押さえておきたいところです。
5. 相続税の申告に使う預金の残高証明書
名義預金かどうかを考える前に、亡くなった方の預金がいくらあるかを確かめる必要があります。
5.1 残高証明書は亡くなった日時点の残高を確かめる書類
相続税の申告では、亡くなった日時点の残高を、金融機関ごとに発行される残高証明書で確かめるのが一般的です。口座が複数の金融機関にある場合は、それぞれに請求することになります。
国税庁の財産評価基本通達では、預貯金は亡くなった日時点の残高に、その日に解約した場合に受け取れる利子(源泉徴収される税金を差し引いた額)を足して評価するとしています。普通預金などで利子が少額なものは、残高だけで評価します。
定期預金がある場合は、残高証明書とあわせて、この利子の額も金融機関に確かめておくことをおすすめします。発行の手数料や必要な書類は金融機関によって異なるため、取引のある金融機関に問い合わせてください。
6. 税務署の預金照会を気にする前に、相続税の申告に含める財産を確かめる
税務署は、申告書の審査や相続税の調査の過程で、金融機関に預貯金の情報を照会することがあり、その照会はオンライン化が進んでいます。オンラインで照会できる金融機関などは、2025年度末で492になりました。
家族名義の預金でも、亡くなった方がお金を出していたなど本人の財産と認められれば、相続税の申告に含める必要があります。税務署が申告を直せるのは、法定申告期限から原則5年、不正があった場合は7年です。
家族名義の預金が名義預金にあたるかどうかは、お金を出した人や管理していた人など、個別の事情で判断されます。迷うときは、税理士や税務署に相談するのもひとつの方法です。
※本記事は2026年11月2日時点の情報をもとにしています。個別の税務上の取り扱いは、税理士や所轄の税務署にご確認ください。
参考資料
- 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」
- 国税庁「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」(誤りやすい事例⑥)
- 国税庁「財産評価基本通達」(203 預貯金の評価)
- 財務省「令和8事務年度 国税庁実績評価の事前分析表」(施策 照会等のオンライン化の推進)
- e-Gov法令検索「国税通則法」
中本 智恵