「税務署は銀行口座をどこまで見ているのか」。親の預金を管理している方や、これから相続を迎える方のなかには、気になっている方もいるのではないでしょうか。

国税庁によると、2024事務年度(2024年7月から2025年6月まで)の相続税の実地調査は9512件で、そのうち82.3%で申告漏れなどが見つかりました。税務署は申告書の審査や調査の過程で、金融機関に預貯金の情報を照会することがあり、その照会はオンライン化が進んでいます。

筆者が銀行の窓口にいた頃、相続の手続きのために預金の残高証明書を発行していました。相続税の申告では、亡くなった方の名義の口座だけでなく、家族の名義になっている預金も見直す必要が出てくることがあります。

この記事では、税務署の預金照会のしくみと、相続税の調査で問われやすい「名義預金」、税務署が申告を直せる期間について解説します。

1. 税務署の預金照会、法律の根拠とオンライン化

まずは、税務署がどのような根拠で金融機関に預金の情報を照会しているのかを確認します。

1.1 相続税の調査では「財産を保管したと認められる者」にも質問できる

国税通則法第74条の3は、相続税の調査について必要があるときに、税務署などの職員が質問や検査をできる相手を定めています。相続税を納める義務がある人などのほか、その人などの「財産を保管したと認められる者」も挙げられています。

財務省が公表した国税庁の実績評価の資料でも、申告書の審査や税務調査を行う過程で、金融機関などに預貯金の情報を照会することがあると説明しています。

1.2 オンラインで照会できる金融機関は「492」に

同じ資料によると、金融機関などへの預貯金の照会は、2021年10月から専用のネットワークを使って順次オンラインで行われています。紙の書面でやり取りしていた照会を、官民双方の業務を効率化するために切り替えている取り組みです。

オンラインで照会できる金融機関などの数は、2022年度末の61から、2023年度末に211、2024年度末に431、2025年度末には492まで増えました。2026年度の目標は500機関とされています。

税務署が預貯金の情報をオンラインで照会できる金融機関などの数は、3年で約8倍に増えた1/2

オンラインで預貯金の照会ができる金融機関などの数の推移を示した棒グラフ

出所:財務省「令和8事務年度 国税庁実績評価の事前分析表」(施策 照会等のオンライン化の推進)をもとにLIMO編集部作成