しかし、これまでの子供達の学習発表会を見ていると、目立つ役にクラス間で偏りがでないように配慮しているのを感じています。また、問題を起こしやすい子がメインの役を希望していると、オーディションを通っているようです。おそらく、仲間意識や責任感を感じてもらうため、あえて大きな役を任せていると思われます。

先生による合否の判断が明確ではないので、一部の保護者からは不満の声が上がることもありますが、大半の保護者は「みんなで頑張ることが大切」というスタンスです。興味深いのが、1年生のときから6年間を通じてずっとメインの役を任される子がいないという点です。

3年生では主役や準主役をしたけれど、高学年では準主役未満にする、というのが先生たちの間で暗黙の了解となっているような配慮を感じます。筆者の子供達が通う小学校では、目に余る依怙贔屓もこれまで見聞きしていないので、先生方も慎重に話し合って役を決めていると思います。

高学年になると目立たない役をやりたがる子が増えてくる

低学年の頃は、多くの子供達がやりたい役に手を上げていましたが、成長するにつれて「恥ずかしいから目立つのは避けたい」と考える子が増えてきます。先生から「なるべく名前のある役のオーディションを受けるように」と言われても、高学年になると積極的に手を上げるのは決まったメンバーになっているようです。

低学年のときよりも重要な役が目立つ劇の内容になっており、「こんなに目立つのは避けたい」「本番で間違えると恥ずかしい」と考え、結果として決まったメンバーしか手を上げない状態になっています。

今年の5年生や6年生の発表を見ていても、中心的な役は活発な子や問題行動を引き起こす子が担当していました。端役の中でも、はきはきとセリフを言う子はメインの役を希望していたものの、残念ながら落ちてしまった子だったり、声の音量にも相当な差がありました。高学年になると低学年ではあまり気にならない、引っ込み思案の子とそうではない子が明確化してきます。

役を気にせず年に1度の学習発表会を楽しもう

学習発表会は、子供達の成長を感じられることもあり、朝早くから会場となる体育館前には保護者の長蛇の列ができるのも珍しくありません。運動会の場所取り以上の熱の入れようです。特に低学年の発表は、孫を見ようと祖父母も来場することも多く、席の奪い合いになることもしばしばです。

それもまた発表会の風物詩の感もありますが、大人の争いを忘れて子供達が練習した成果を楽しみましょう。大きな役でも小さな役でも、子供達は本番で緊張します。舞台上で与えられた役割を頑張って果たしている我が子の姿を見ると、家ではあまり気がつかない成長を感じ取れるなど、感動もひとしおです。子供の役に気をもむのではなく、純粋に学習発表会を楽しみつつ鑑賞したいものです。

中山 まち子