出会いを求めて始めたやり取りが、いつの間にかお金の話に変わっていく。そうしたSNS型ロマンス詐欺について、警察庁が2026年10月2日に公表した「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」によると、令和8年1〜8月の認知件数は3506件、被害額は325.8億円に上りました。

被害者の中で最も割合が高いのは熟年層ではなく、男性の50代です。一方で、65歳以上に絞ると男性が7割を超えます。年代別・男女別の構成と出会いのきっかけを、公的な統計で確認していきましょう。

1. SNS型ロマンス詐欺とは? 令和8年1〜8月の被害は3506件・325.8億円

警察庁の統計表の注記では、SNS型ロマンス詐欺を「SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭等をだまし取るもの」としています。

警視庁の匿名・流動型犯罪グループ対策本部の特集ページは、手口を「投資名目」と「その他のロマンス等名目」に大別しました。後者は「恋愛感情や親近感を抱かせながら架空の事実を口実とし、交際の継続等を前提とした各種名目で金銭等をだまし取る手口」と説明されています。

令和8年1〜8月(全国・暫定値)の認知件数は3506件で、前年同期の3493件から13件増えました(+0.4%)。被害額は325.8億円で、前年同期の323.3億円から2.5億円増えています(+0.8%)。

被害額325.8億円を認知件数3506件で割ると、1件あたり約929万円(編集部算出)です。ただし平均値のため、実際の被害額は1件ごとに大きく異なると考えられます。

2. ロマンス詐欺の被害者、男性は約7割? 年代別・男女別の構成比

ロマンス詐欺の被害者は男性が約7割 年代別・男女別の構成比(令和8年1〜8月)1/3

ロマンス詐欺の被害者は男性が約7割 年代別・男女別の構成比(令和8年1〜8月)

出所:警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等について(令和8年8月末・暫定値)」統計データをもとにLIMO編集部作成

同じ統計表の「被害者の年齢・性別構成」(令和8年1〜8月)によると、ロマンス詐欺の被害者は男性が67.7%、女性が32.3%でした。年代別の構成比は次のとおりです。

  • 男性:50代20.3%、40代12.7%、60〜64歳10.4%、65〜69歳7.5%、30代6.9%、70〜79歳6.1%、20代3.0%、80〜89歳0.6%、19歳以下0.2%
  • 女性:50代9.6%、40代8.4%、60〜64歳3.7%、30代3.0%、65〜69歳2.8%、70〜79歳2.3%、20代1.9%、80〜89歳0.3%、19歳以下0.2%

65歳以上の被害者は全体の19.6%で、そのうち72.2%が男性(女性は27.8%)と、統計表に記載があります。

この表から編集部で算出すると、60歳以上の男性は全体の約24.5%を占め、男性被害者に限れば約36%です。ただし最多は男性の50代で、熟年層だけに集中しているわけではありません。

3. 出会いのきっかけで最も多いのは? マッチングアプリが最多

ロマンス詐欺、出会いのきっかけはマッチングアプリが最多 当初接触ツール別の件数(令和7年)2/3

ロマンス詐欺、出会いのきっかけはマッチングアプリが最多 当初接触ツール別の件数(令和7年)

出所:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」をもとにLIMO編集部作成

警察庁が2026年5月22日に公表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」によると、令和7年(通年)のSNS型ロマンス詐欺は認知件数5645件、被害額546.4億円でした。当初の接触ツールは、マッチングアプリが1846件(32.7%)で最多となっています。

  • マッチングアプリ:1846件(32.7%、前年から535件増)
  • Instagram:1288件(22.8%)
  • Facebook:1049件(18.6%)
  • その他SNS:820件(14.5%)
  • TikTok:471件(8.3%)
  • その他:171件(3.0%)

2026年7月31日に公表された「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」でも、接触ツールは被害額・認知件数ともにマッチングアプリが最多でした。

お金の送り方では、令和7年は振込型が3055件(54.1%、被害額276.0億円)、暗号資産送信型が2177件(38.6%、被害額247.7億円)です。暗号資産送信型は前年から1391件(+177.0%)増えました。

なお、接触ツールはあくまで最初の接点を示す数字で、アプリ利用者全体の被害率ではありません。令和7年の通年と令和8年1〜8月は期間が異なるため、件数どうしを並べた比較は避ける必要があります。

4. ロマンス詐欺の数字を読むときの注意点は3つ

  1. 構成比は被害率ではない:男性が約7割という数字は「被害者の中の割合」です。男性全体の何%が被害に遭うかを示すものではないため、統計からは「男性や熟年層が被害に遭いやすい」とまで言えません。
  2. 期間と暫定値に注意が必要:令和7年は通年の確定値、令和8年は1〜8月の暫定値です。件数や被害額をそのまま比べることはできず、暫定値は今後変わる可能性もあります。
  3. 1件あたり約929万円は平均値:被害額を件数で割った編集部算出の値で、実際の被害額は1件ごとに異なると考えられます。

不審なお金の話が出た場合や不安がある場合は、警察や消費生活センターなどの公的な相談窓口に確認してください。

5. 同じ特殊詐欺でも被害者像は手口で違う? ロマンス詐欺は男性、オレオレ詐欺は女性が多数

手口で違う被害者像 65歳以上の割合と男女比(令和8年1〜8月)3/3

手口で違う被害者像 65歳以上の割合と男女比(令和8年1〜8月)

出所:警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等について(令和8年8月末・暫定値)」統計データをもとにLIMO編集部作成

警察庁の同じ統計表(令和8年1〜8月)を手口別に見ると、被害者の年齢や男女の構成は大きく異なります。

被害者に占める65歳以上の割合は、次のとおりです。

  • 特殊詐欺全体:43.0%
  • SNS型ロマンス詐欺:19.6%
  • SNS型投資詐欺:27.1%
  • ニセ警察詐欺:39.4%
  • オレオレ詐欺:95.6%
  • 預貯金詐欺:97.9%

65歳以上の被害者に占める男女の割合は、次のとおりです。

  • 特殊詐欺全体:男性44.6%・女性55.4%
  • SNS型ロマンス詐欺:男性72.2%・女性27.8%
  • SNS型投資詐欺:男性65.3%・女性34.7%
  • ニセ警察詐欺:男性40.0%・女性60.0%
  • オレオレ詐欺:男性24.8%・女性75.2%
  • 預貯金詐欺:男性16.4%・女性83.6%

オレオレ詐欺と預貯金詐欺は、被害者のほとんどが65歳以上で、その多くを女性が占めます。一方、ロマンス詐欺は65歳以上の割合が約2割にとどまり、65歳以上に限ると約7割が男性です。

手口によって被害者像が異なるため、「自分は当てはまらない」と決めつけず、手口ごとの特徴を知っておくことが備えの一助になります。

6. まとめにかえて|お金の話が出たら、一度立ち止まる

令和8年1〜8月のロマンス詐欺は3506件・325.8億円で、被害者は男性が約7割でした。出会いのきっかけはマッチングアプリが最多で、令和7年には暗号資産送信型も2177件ありました。

やり取りの中で金銭の振込や投資、暗号資産の話が出たときは、その場で決めずに公的な相談窓口へ確認する方法があります。特定のアプリやサービスを避けるべきという話ではなく、やり取りの内容が変わった時点が見直しの目安です。

※被害に遭った場合や不安がある場合の個別の判断は、警察や消費生活センターなど公的な相談窓口に確認してください。

参考資料