6. 【証券会社出身の視点】検証

70代からの投資信託は、「少額だから大丈夫」かどうかよりも、「何年置けるお金か」で考えたほうが判断しやすくなります。試算では、10年置いた場合は16通りすべてで元本を上回りましたが、5年では2通り、1年では7通りで元本を下回りました。

数字を読むときは、いちばん低い結果だけでなく、元本に戻るまでの年数にも目を向けていただきたいと思います。2007年度に始めた場合は、2年後に約11.8万円下回り、元本を上回るまでに6年かかりました。その間に生活費や医療費が必要になれば、値下がりした状態で売ることになります。

年齢が上がるほど、運用の期間と使う予定を先に確かめておくと、置き方を決めやすくなります。70代から投資信託を始めるなら、数年以内に使うお金は預金に残し、10年程度は手をつけなくてよいお金に限るという置き方もあります。

もう1つは、本人が手続きをできなくなったときに備えることです。金融機関の代理人の届出がどうなっているかを確かめておくと、家族があわてずに済みます。

家族が「見守るか、止めるか」で迷ったときは、金額の大小より、そのお金を使う時期と、手続きを誰が担うかを一緒に話し合うことが出発点になるのではないでしょうか。

7. まとめ

70代から投資信託を始めても、70歳の平均余命は男性約15.6年、女性約20.0年あり、置いておく時間は平均では残っています。GPIFの過去25年度の収益率で100万円を試算すると、10年置いた場合は16通りすべてで元本を上回りました。

一方で、値下がりの年に当たると元本に戻るまで6年かかった例もあります。使う時期が近いお金は投資信託に入れず、本人が手続きをできなくなったときの代理の方法も確かめておくと安心です。

※本記事の試算は、GPIFの過去の収益率に一定の前提を置いた概算で、将来の運用成果を示すものではありません。実際の投資信託の値動きは、商品の中身や手数料、税金などによって変わります。商品の内容や手数料は、利用する金融機関でご確認ください。

参考資料

安達 さやか