3. 70代から投資信託で値下がりの年に当たると?2007年度に始めた場合は元本に戻るまで6年かかった
5年置いて元本割れした2通りは、2006年度と2007年度に始めた場合です。2007年度に100万円を入れた場合を年ごとに追うと、次のようになります。
- 【1年後(2007年度末)】約95.4万円
- 【2年後(2008年度末)】約88.2万円
- 【5年後(2011年度末)】約97.1万円
- 【6年後(2012年度末)】約107.1万円
※試算の前提:GPIFの2007年度から2012年度までの年度ごとの収益率を使い、100万円を2007年度の初めに一度に入れたものとした。信託報酬や税金は考慮していない。
2年後には約11.8万円下回り、元本を上回るまでに6年かかりました。仮に72歳で始めていれば、元本に戻るのは78歳ごろです。70代から投資信託を持つ場合は、値下がりした時期に売らずに待てるお金かどうかが分かれ目になります。
また、GPIFは株式と債券に分けて運用しているため、株式だけで運用する投資信託であれば、値動きはこれより大きくなります。
4. 70代から投資信託を窓口で勧められたら?75歳と80歳を目安に慎重な手続きがある
日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則第5条の3の考え方(高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン)」では、高齢の客に勧誘して販売するときの社内ルールの考え方を示しています。
- 【高齢顧客の目安】75歳以上。そのうち、より慎重に扱う客は80歳以上
- 【勧誘に注意が要る商品】値動きが比較的大きい、仕組みが複雑などの商品。勧誘には役席者の事前承認などの手続きを設ける
- 【80歳以上の目安】勧誘した翌日以降の受注、勧誘した担当者以外による取引内容の確認など
ただし、高齢の客が自分で銘柄と金額を指定して買う場合は、この手続きの対象にしなくてよいとされています。また、公社債を中心に安定的な運用を目指す投資信託は、手続きがなくても勧誘できる商品の例に挙げられています。
5. 70代から投資信託を持つなら、売れなくなる場面にどう備える?65歳以上の約28%が認知症か軽度認知障害
内閣府「令和8年版高齢社会白書」によると、2022年の65歳以上の認知症の人は443.2万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(MCI)の人は558.5万人(有病率15.5%)と推計されています。
- 【認知症】65歳以上の約12.3%
- 【軽度認知障害(MCI)】65歳以上の約15.5%
- 【合わせて】65歳以上の約27.8%
本人の判断する力が衰えると、投資信託の売却などの手続きが難しくなることがあります。全国銀行協会「金融取引の代理等に関する考え方」では、本人から親族などに代理権を与え、銀行が任意代理人の届出を受けていれば、その代理人と取引できるとしています。
一方、代理権のない親族による取引は、本人の判断する力が低下し、成年後見制度を利用していない(できない)場合の、極めて限られた対応とされています。投資信託は値動きがあり、一度解約すると預金のように元に戻すのが難しいため、より慎重な対応が求められるとしています。