2026年4月から、離婚時の年金分割の請求期限が「2年以内」から「5年以内」に延びました。4月1日以後に離婚した人が対象です。

年金分割は、結婚していた間の厚生年金の記録を2人で分け合う制度です。分けたあとの記録をもとに、それぞれの年金額が計算し直されます。

実際に分割を受けた人の年金は、どれくらい増えているのでしょうか。この記事では、厚生労働省の統計で分割の前後の年金額を確かめ、合意分割と3号分割の違いや請求の期限も整理していきます。

1. 【年金分割とは】分けられるのは厚生年金の部分だけ

まずは、年金分割で何が分けられるのかを見ていきます。ポイントは、日本の公的年金が2階建ての仕組みになっていることです。

1.1 年金は2階建ての仕組み

1階部分は国民年金で、日本に住む20歳以上60歳未満の人が加入します。40年間保険料を納めた場合に受け取る老齢基礎年金は、2026年度は満額で月7万608円です。

※1956年(昭和31年)4月1日以前生まれの人の満額は、月7万408円です。

2階部分は厚生年金で、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入します。受け取る額は、加入していた期間とその間の給与や賞与によって人それぞれです。

1.2 分割の対象は報酬比例部分

年金分割で分けるのは、厚生年金の「標準報酬」の記録です。標準報酬とは、保険料の計算のもとになる給与や賞与の額のことです。

日本年金機構によると、分割の効果は厚生年金の報酬比例部分に限られます。1階部分の老齢基礎年金は、分割しても増えたり減ったりしません。

分けられるのは、結婚していた間の記録だけです。結婚する前や離婚したあとに働いた期間の記録は、分割の対象になりません。

公務員などが加入する共済組合の組合員だった期間も、対象に含まれます。また、婚姻届を出していない事実婚の関係を解消したときにも、条件を満たせば分割を請求できます。

1.3 すでに年金を受け取っている人は翌月分から

分割したあとは、それぞれの年金が分割後の記録で計算されます。分割をした人は残りの記録で、分割を受けた人は自分の記録に分けてもらった分を足して計算するのです。

すでに老齢厚生年金を受け取っている人は、分割を請求した月の翌月分から年金額が変わります。まだ受け取る年齢になっていない人は、受け取り始めるときの年金額に反映されます。

ただし、分割を受けた人が年金を受け取るには、自分の加入期間などで受給資格期間を満たしていることが必要です。生年月日で決まる受け取り始めの年齢になるまでは、分割を受けても年金は支給されません。