6. 【元厚生労働省担当記者の視点】検証:冬のボーナスに支給日在籍の条件を付けられるのは、賞与が毎月払いの原則の外に置かれ、条件づくりが会社の定めに委ねられているから

算定対象期間に働いていたのに、支給日に在籍していないだけで冬のボーナスが支給されないのは、納得しにくいと感じる方もいるかもしれません。ただ、毎月の給与は毎月1回以上の支払いが法律で決められているのに対し、賞与はその枠の外に置かれ、支給するかどうかから会社の定めに委ねられています。条件の付け方に幅があるのは、この位置づけの結果だと考えられます。

モデル就業規則の例を読むと、冬のボーナスには三つの要素が並んでいます。どの期間の勤務を対象にするかという算定対象期間、いつ支給するかという支給日、そして額を業績や勤務成績で決めるという定めです。支給日在籍の条件は、この三つのうち支給日を受け取りの基準にする仕組みで、算定対象期間に働いたことだけでは支給が決まらない設計になっています。

最高裁の昭和57年の判決も、支給日在籍の条件を無条件に認めたわけではなく、以前からの慣行を明文化したものであることや、内容の合理性を踏まえた判断でした。組織のリスク管理では、規程の文言だけでなく、それが実際にどう運用されてきたかが問われます。冬のボーナスでも、条文と運用の両方を見ることで、自分の場合の位置づけがつかみやすくなるはずです。

今回の試算では、年末賞与の平均42万4889円の手取りは約34.8万円でした。退職日が支給日の前か後かという数日の差が、この金額にかかわる可能性があります。一方で、退職を伝える時期が額の査定にどう影響するかは、法律ではなく勤務先の規程と運用によって決まる部分です。

就業規則は周知が義務づけられた文書で、確かめること自体は誰にでもできます。賞与の条文で基準の日と算定対象期間を確かめ、分からない点は人事担当に支給の条件として問い合わせておくと、退職日を考えるときの材料が増えます。制度の言葉を自分の日付に置き換えてみることが、実務的には有効です。

7. まとめ

冬のボーナスは法律で支給が義務づけられたものではなく、支給の条件は就業規則や賃金規程で決まります。支給日などに在籍していることを条件にしている会社では、その日より前に退職すると支給の対象から外れることがあり、分かれ目になるのは退職を伝えた日ではなく退職日です。

2025年の年末賞与の平均42万4889円をもとにすると、手取りは約34.8万円です。自分の会社で支給日在籍の条件があるか、退職予定者の扱いをどう定めているかは、就業規則・賃金規程の賞与の条文で確かめることができます。判断に迷うときは、勤務先の人事担当や労働基準監督署で確かめることもできます。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。賞与の支給の有無や条件、退職者の扱いは会社ごとの就業規則・賃金規程によって異なり、判決の内容も個々の事情を踏まえたものです。実際の取り扱いは、勤務先の就業規則や人事担当、労働基準監督署でご確認ください。

参考資料

齊藤 慧