2. 冬のボーナスの「支給日在籍」とは?支給の対象を支給日などに在籍している人とする定めで、その日より前に退職すると対象外になることがある

モデル就業規則は、賞与の条文の例を次のように示しています。支給日と算定対象期間は空欄で、会社ごとに書き入れる形です。

  • 【第50条第1項】賞与は、原則として、算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して支給日に支給する。会社の業績の著しい低下などやむを得ない事由があれば、支給時期を延期し、又は支給しないことがある
  • 【第50条第2項】賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する
  • 【解説】支給対象者を一定の日(例えば6月1日や12月1日、又は賞与支給日)に在籍した者とする規定を設けることで、期間の途中で退職し、その日に在職しない者には支給しないこととすることも可能

この「支給日に在籍している人に支給する」という定めが、支給日在籍の条件(支給日在籍要件)と呼ばれるものです。基準となる日は、支給日のこともあれば、12月1日のような別の日のこともあります。

最高裁判所第一小法廷の昭和57年10月7日判決(昭和56年(オ)第661号)は、賞与の支給日前に退職した人が、その賞与の受給権を有しないとされた事例です。裁判所の判決要旨によると、支給日に在籍している人にだけ支給する慣行が以前からあり、就業規則の改訂はそれを明文化したもので、内容にも合理性があることが前提とされています。

3. 退職を伝えるタイミングで冬のボーナスは変わる?支給日在籍の条件で見られるのは「伝えた日」ではなく「退職日」、額の決め方は規程しだい

支給日在籍の条件がある場合に分かれ目になるのは、退職を伝えた日ではなく、退職日が基準の日より後かどうかです。一方で、賞与の額は勤務成績などを考慮して決めるとされることが多く、退職予定者の扱いをどう定めているかは会社によって異なります。

モデル就業規則の解説によると、期間の定めのない雇用では、会社の承認がなくても、民法第627条第1項により退職の申出をした日から原則として14日を経過すると退職となります。就業規則では、これとは別に「退職願を提出して〇日を経過したとき」のように会社ごとの日数を定める例が示されています。

冬のボーナスと退職の関係を確かめるときは、就業規則・賃金規程の賞与の条文で次の点を見ると整理しやすくなります。

  • 【支給の対象者】支給日や12月1日などに在籍していることが条件になっているか
  • 【算定対象期間】冬のボーナスがどの期間の勤務を対象にしているか
  • 【支給日】その年の支給日がいつか(業績などで延期や不支給の定めがあるか)
  • 【額の決め方】勤務成績の査定の期間と、退職予定者や退職者の扱いについての定めがあるか
  • 【退職の申出】退職願を何日前までに出すと定めているか

就業規則は、労働基準法第106条により、掲示や備え付け、書面の交付などで労働者に周知することが会社に義務づけられています。