4. 米国ETFは日本の相続税でも対象?日本に住む人はすべての財産が対象で、米国の遺産税は上限まで差し引ける(25万ドル分なら上限約692.8万円)

相続税法第2条により、相続のときに日本に住所がある人などは、相続した財産のすべてに日本の相続税がかかります。米国ETFも日本の相続税の対象です。そのうえで、相続税法第20条の2により、外国にある財産に外国で相続税に当たる税がかかったときは、その税額を日本の相続税から差し引けます。

差し引ける額には上限があり、日本の相続税額に、取得した財産のうち外国にある財産が占める割合を掛けた額までです。仮に、子1人が1億4025万円をすべて相続し、そのうち米国ETFが25万ドル(約3933.8万円)だった場合で試算しました。

  • 【日本の相続税】基礎控除3600万円(3000万円+600万円×1人)を引いた1億425万円に税率40%、控除額1700万円で、約2470.0万円
  • 【差し引ける上限】約2470.0万円×米国ETFの割合 約28.0%で、約692.8万円
  • 【条約の控除を使わない場合】米国の遺産税 約909.5万円のうち、日本で差し引けない分が約216.7万円残り、日米の税の合計は約2686.7万円
  • 【条約の控除を使う場合】米国の遺産税は0ドルで、日米の税の合計は日本の相続税の約2470.0万円

※試算の前提:相続税の評価額と米国の遺産税の評価額は同じ額とし、米国の遺産税も1ドル157.35円で円に換算しています。配偶者はいないものとし、日本の相続税の税率は国税庁 No.4155の速算表によります。

5. 米国ETFで条約の控除を使っても米国の遺産税がかかるのは?遺産全体が約30億〜約39億円を超える場合で、25万ドル分なら約33.0億円が境目

按分の控除は、米国の財産の割合が同じなら、遺産全体が大きくなるほど控除額が小さくなります。米国ETFの額を変えずに日本の財産が増えていく場合、どこから米国の遺産税がかかり始めるかを計算すると、次のとおりです。

  • 【米国ETF10万ドル】日本と米国を合わせた遺産が約2498万ドル(約39.3億円)を超えると税額が出る
  • 【米国ETF25万ドル】約2100万ドル(約33.0億円)を超えると税額が出る
  • 【米国ETF50万ドル】約1908万ドル(約30.0億円)を超えると税額が出る

一方で、日本で設定された投資信託の受益権が米国にある財産に当たるかどうかは、IRSの記入要領には直接の記載がありません。記入要領で米国の外とされるのは「米国以外の法人の株式」で、米国株に投資する日本の投資信託を持つ場合の扱いは、この記事では言い切らずにおきます。

※試算の前提:米国の財産は米国ETFだけで、2026年の控除額と税率表、1ドル157.35円で計算しています。