米国ETFを持ったまま亡くなった場合、米国の遺産税がかかることがあるのをご存じでしょうか。日本に住み、日本の証券会社の口座で買った米国ETFでも、米国の遺産税の対象になりえます。日本の相続税とは別の税で、申告の期限も相続人が負担する税額も別に決まります。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、米国ETFなどの外国の資産は、「買うとき」の税金だけでなく「受け継ぐとき」の手続きまで、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、米国内国歳入庁(IRS)の記入要領と日本の法令をもとに、米国の遺産税と日本の相続税の関係を整理します。

米国ETFを10万ドル・25万ドル・50万ドル分持っていた場合の米国の遺産税を、日米相続税条約の控除を使わない場合と使う場合で試算し、日本の相続税の外国税額控除との関係も確かめました。

※円の金額は、日本銀行が公表している東京市場のドル・円スポット(中心相場・月末)の2026年9月末の値(1ドル157.35円)で換算しています。日本と米国を合わせた遺産の1億4025万円は、国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」の被相続人1人当たりの課税価格です。

1. 米国ETFを持ったまま亡くなると米国の遺産税の対象になる?米国の法人の株式は日本の口座で持っていても対象で、6万ドル(約944万円)を超えると申告が必要

IRSの「Form 706-NA」の記入要領(2025年9月改訂)によると、米国の市民でも居住者でもない人が亡くなった場合、米国にある財産が米国の遺産税の対象になります。米国の法人の株式は、株券がどこにあっても米国にある財産として扱われます。

  • 【米国にある財産とされるもの】米国の法律にもとづいて設立された法人の株式(株券の所在地を問わない)、米国にある不動産など
  • 【米国の外にある財産とされるもの】米国以外の法人の株式、米国の銀行への預金(米国での事業と関係のないもの)
  • 【申告が必要になる目安】亡くなった日の米国にある財産の価額などの合計が6万ドル(約944万円)を超えるとき
  • 【申告の期限】亡くなった日から9か月以内(Form 4768で6か月の延長を申し込める)

米国の銀行に預けたお金は米国の外にある財産とされる一方で、米国の法人の株式は日本の証券会社の口座で持っていても米国にある財産です。米国で設定されたETF(米国籍ETF)の多くは米国の投資会社の株式で、記入要領で米国の投資会社の株式の一部を米国の外とする特例は、2004年より後・2012年より前に亡くなった人に限られていました。