5. 生命保険料控除を3つの区分とも上限まで使うと?所得税率10%なら税金は年約1.9万円減る
3つの区分とも保険料が年8万円を超えている場合、所得税の控除は合計12万円、住民税の控除は合計7万円が上限です。住民税は1区分2万8000円の3つ分(8万4000円)ではなく、7万円で止まります。所得税率別に、減る税金を試算すると次のとおりです。
- 【所得税率5%】年約1.3万円
- 【所得税率10%】年約1.9万円
- 【所得税率20%】年約3.2万円
※試算の前提:所得税の控除12万円(復興特別所得税を含む)、住民税の控除7万円(所得割10%)。
2011年12月31日以前に結んだ契約(旧契約)は計算式が違い、1区分の上限は所得税5万円、住民税3万5000円です。旧契約と新契約の両方がある場合は、国税庁・自治体の計算方法で、どちらで計算するかを確かめる必要があります。
金融庁の資料によると、国税庁「民間給与実態統計調査」で年末調整を受けた納税者のうち、生命保険料控除を受けた人の割合は2024年で70.8%、1人あたりの控除額は6.8万円です。
6. 【検証】試算から見えること:生命保険料控除は「最初の数万円」で効き、年8万円を超えると税金は減らない
今回の試算からは、3つのことが読み取れます。1つは、税金が減る額の小ささです。1区分で保険料を年8万円払っても、所得税率10%なら税金は年約6900円減るだけでした。保険料に対して1割に届きません。
2つ目は、保険料1万円あたりの減り方が段階ごとに下がる点です。最初の年2万円は1万円あたり約1800円でしたが、年4万円から8万円の間では約360円になり、8万円を超えると0円でした。
3つ目は、住民税が所得税より早く上限に届く点です。住民税は1区分の保険料が年5.6万円で上限の2万8000円になり、3つの区分の合計も7万円で止まります。
生命保険料控除は、必要な保障を持ったうえで受けられる税の軽減と位置づけると分かりやすくなります。年末調整の前に、控除証明書で区分ごとの保険料を確かめ、どの区分が上限に届いているかを見ておくことが一つの目安になります。
7. まとめ
生命保険料控除は、新契約の1区分で保険料が年8万円を超えると、所得税・住民税とも控除額が増えません。所得税率10%の場合、保険料1万円あたりで減る税金は、最初の年2万円は約1800円、年4万円から8万円の間は約360円です。
2026年分と2027年分は、23歳未満の扶養親族がいれば一般の上限が6万円に上がります。年末調整では、控除証明書で区分と金額を確かめ、申告書に記載しましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の控除額・税額は、契約の時期や区分、所得、税率、扶養親族の状況などにより異なります。所得税は国税庁のホームページや勤務先、住民税はお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた(手順などの説明)」
- 国税庁「令和8年分 年末調整Q&A」
- 横浜市「所得控除(令和8年度課税以降)」
- 金融庁「令和9年度税制改正要望事項 生命保険料控除制度の拡充の恒久化等」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
下村 美乃莉