退職金を受け取ったのを機に、子どもにまとまったお金を渡しておきたいと考える人もいるでしょう。贈与税は「年110万円以内ならかからない」と知られていますが、一括で渡すといくらになるのか、分けると何年かかるのかは見えにくいところです。

ここでは、国税庁の資料をもとに、退職金などのまとまったお金を子どもに渡すときの贈与税を、一括で渡す・年110万円以内に分ける・相続時精算課税を使う、の3つの渡し方で比べます。

渡す額は1300万円とし、分ける年数で贈与税がどう変わるかと、退職金そのものにかかる税金、渡したあと親の手元に残る額も試算します。

※1300万円は、国税庁「国税庁統計年報(令和6年度)」の贈与税で、相続時精算課税を使って贈与を受けた人の1人当たりの取得財産価額(約1315万円)をもとにしています。

1. 贈与税は退職金を子どもに一括で渡すといくら?1300万円なら約286万円で、渡した額の約2割

国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」によると、贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計から、基礎控除の110万円を差し引いた残りにかかります。

父母や祖父母から、その年の1月1日時点で18歳以上の子や孫が受け取る場合は、一般の税率より低い「特例税率」で計算します。1300万円を一括で渡すと、次のとおりです。

  • 【受け取る額】1300万円
  • 【基礎控除後の課税価格】1190万円
  • 【税率と控除額(特例税率)】1000万円超1500万円以下の区分で、税率40%・控除額190万円
  • 【贈与税】1190万円×40%−190万円=約286万円

一括で渡すと、渡した額の約22%が贈与税になります。贈与税を申告して納めるのは、受け取った子どもです。期限は、受け取った年の翌年2月1日から3月15日までです。

なお、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者の退職給付額(一時金と年金の合計)は平均1896万円です。1300万円は、その約7割にあたります。

※試算の前提:暦年課税。父または母から、贈与の年の1月1日時点で18歳以上の子への現金の贈与で、同じ年にほかの贈与はない場合。