5. 相続放棄をしたら料金の請求はどうなる?初めから相続人でなかったものとみなされる
民法第939条では、相続放棄をした人は、その相続について初めから相続人とならなかったものとみなすと定めています。亡くなる前の未払い分の料金を、相続放棄をした人が引き継ぐことはありません。
ただし、相続放棄をしても、そのとき実家などの相続財産を実際に管理している場合は、ほかの相続人などに引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません(民法第940条)。放棄をしたからといって、すぐにすべての手続きから離れられるわけではありません。
また、相続放棄をすると、次の順位の人が相続人になります。子が全員放棄すれば親や兄弟姉妹に請求が届くこともあるため、放棄を決めたら親族に伝えておくと行き違いを防げます。
6. 相続放棄をしても死亡保険金は受け取れる?受取人の固有の財産なら受け取れる
生命保険文化センターによると、契約者と被保険者が同じ人の場合、死亡保険金は受取人の固有の財産になるため、相続放棄をしても受け取ることができます。相続財産ではないため、受け取った保険金で料金を払っても、遺産を処分したことにはならないと考えられます。
ただし、税金の扱いは別です。国税庁によると、死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりませんが、相続放棄をした人が受け取った保険金には、この非課税の適用がありません。
- 【死亡保険金の受け取り】相続放棄をしても受け取れる(受取人の固有の財産の場合)
- 【相続税の非課税枠】500万円×法定相続人の数(相続放棄をした人には適用なし)
- 【非課税枠の計算】相続放棄をした人も法定相続人の数に含める
7. 【元銀行員の視点】検証:解約の早さより、「どのお金で払うか」を先に決める
今回の試算では、4つの料金の解約が3か月遅れても約1万646円でした。金額だけを見れば、慌てて解約しなければならないほどの差ではありません。
それよりも大きいのは、その料金を誰のお金から払うかです。相続放棄をするかどうかを決めていない間に、亡くなった人の預金から料金を払うと、放棄ができなくなるおそれがあります。
死亡保険金は相続財産とは別に受け取れるお金です。相続放棄を迷っている間の支払いは、相続人自身のお金か、受取人として受け取った保険金から払うと分けておくと、あとで判断に迷いにくくなります。
解約の手続きを進める前に、亡くなった人の借金やローンが残っていないかを確かめてください。通帳の引き落とし履歴や郵便物を見れば、契約の一覧と借入の有無を一度に確かめられます。
相続放棄をするかどうかで迷う場合は、3か月の期限が過ぎる前に、家庭裁判所や弁護士・司法書士に相談しておいていただきたいところです。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 総務省「家計調査(家計収支編)2025年 単身世帯」
- 生命保険文化センター「相続放棄をした場合でも、死亡保険金を受け取れるの?」
- 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
中本 智恵