親が亡くなったあとも、固定電話や新聞、ケーブルテレビの料金は口座引き落としや請求書で届き続けることがあります。誰が払うのか、解約が遅れるといくらかかるのか、手続きの合間に迷う方は多いのではないでしょうか。
葬儀や年金の手続きに追われると、毎月の契約の解約は後回しになりがちです。ここでは、亡くなる前の未払い分と亡くなったあとの料金を分けて、誰が払うことになるのか、相続放棄を考えている場合に気をつけたい点を確認します。
あわせて、固定電話・新聞・NHK・ケーブルテレビの4つの料金について、解約が3か月遅れた場合の金額を試算します。
※金額は、総務省「家計調査(家計収支編)2025年」の単身世帯の年間支出をもとにしています。
1. 親が亡くなったあとの固定電話・新聞の料金は誰が払う?亡くなる前の未払い分は相続人が引き継ぐ
民法第896条では、相続人は、相続が始まった時から亡くなった人の財産に属した一切の権利と義務を引き継ぐと定めています。プラスの財産だけでなく、支払いの義務も引き継ぐ対象です。
そのため、亡くなる前に使った分の固定電話や新聞の料金がまだ払われていなければ、その支払いは相続人が引き継ぐことになります。相続人が複数いる場合は、遺産分割の話し合いとあわせて、誰がどう負担するかを決めることになります。
- 【亡くなる前に使った分の未払い】相続人が引き継ぐ債務
- 【亡くなったあとの分】契約を解約するまで料金がかかり続けることがある
- 【相続放棄をした場合】初めから相続人でなかったものとみなされる
毎月の契約は、亡くなったことを届け出て解約するまで続くのが一般的です。引き落とし口座が凍結されると、支払いが滞って請求書が相続人のもとに届くこともあります。
2. 解約が3か月遅れると料金はいくら?単身世帯の平均なら4つで約1万600円
総務省「家計調査(家計収支編)2025年」によると、単身世帯の1年間の支出は、固定電話通信料が9927円、新聞が1万5081円、NHK放送受信料が1万386円、ケーブルテレビ放送受信料が7193円です。
4つを合わせると年4万2587円で、1か月あたり約3549円です。解約が3か月遅れると約1万646円、6か月遅れると約2万1293円かかる計算になります。
- 【1か月あたり】約3549円
- 【3か月遅れた場合】約1万646円
- 【6か月遅れた場合】約2万1293円
この金額は、支出がなかった世帯も含めた平均です。実際に新聞を購読していた世帯や、固定電話にオプションを付けていた世帯では、1か月あたりの料金はこれより高くなります。
※試算の前提:家計調査の単身世帯の年間支出を12で割って1か月分とし、解約が遅れた月数を掛けています。日割りの有無や解約の手数料は、契約先によって異なります。
3. 相続放棄を考えているなら?期限は3か月、遺産から料金を払うと単純承認とみなされるおそれ
亡くなった人に借金が多い場合などは、相続放棄を考えることがあります。民法第915条では、相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内にしなければならないと定めています。
注意したいのは、民法第921条の「法定単純承認」です。相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。
亡くなった人の預金を引き出して未払いの料金を払うと、この「処分」にあたると判断される場合があります。数千円の料金であっても、遺産から払うかどうかは慎重に決める必要があります。
- 【相続放棄の期限】相続が始まったことを知った時から3か月以内
- 【申述先】亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所
- 【費用】申述人1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手
相続放棄の期限や費用は、裁判所「相続の放棄の申述」に記載されています。3か月の期限は、家庭裁判所に申し立てれば延ばしてもらえることがあります。
4. 親の死後の料金は相続人が引き継ぎ、相続放棄を考えるなら遺産から払う前に確かめる
親が亡くなる前の未払いの料金は、相続人が引き継ぎます。固定電話・新聞・NHK・ケーブルテレビの解約が3か月遅れると、単身世帯の平均で約1万646円かかる計算です。
相続放棄を考えている場合は、遺産から料金を払うと単純承認とみなされるおそれがあります。期限の3か月を意識しながら、まずは借金の有無を確かめ、迷うときは家庭裁判所や専門家に相談しましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。相続放棄や単純承認にあたるかどうかは個別の事情で異なるため、家庭裁判所や弁護士・司法書士にご確認ください。料金や解約の方法は、各契約先でご確認ください。
次のページでは、相続放棄をしたあとの料金の扱いと、相続放棄をしても受け取れる死亡保険金について確認します。