2026年8月26日に公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが公表した調査では、物価が上がるなかで、塾や習い事など学校の外での学びや体験にかける費用を減らした家庭があることが報告されています(出所:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン)。

冬休みを前にした12月は、児童手当の支給月です。冬期講習や来年度の習い事を考える時期でもあり、手当を子どもの学びにどう生かすか考えている方もいるでしょう。子どもの学年が上がるにつれて、教育費の見通しが気になってくる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、こども家庭庁の資料から児童手当の金額を確かめたうえで、文部科学省の調査から、塾や習い事などの「学校外活動費」と「学習塾費」を学年ごとに一覧で見ていきます。児童手当1年分が学校外活動費のどのくらいにあたるのかも試算し、手当を学びに生かすための手順もあわせて整理します。

1. 【児童手当と学校外活動費】公立小学校の学校外活動費は年25万6489円、児童手当は1年で12万円

こども家庭庁によると、児童手当は0歳から高校生年代まで(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の子どもを育てている方に支給されます。1人あたりの月額は、3歳未満なら1万5000円、3歳から高校生年代までは1万円です。第3子以降は、年齢を問わず月3万円となっています。支給は偶数月で、12月には10月分と11月分の2か月分が振り込まれます。

3歳以上高校生年代までの子どもなら、第1子・第2子は月1万円なので、1人あたり1年分で12万円、12月の振込は2万円です。

一方、文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、保護者が支出した1年間の学校外活動費(自宅での学習や学習塾・家庭教師、体験活動や習い事などの費用)は、公立小学校で25万6489円、公立中学校で35万6018円、公立高等学校(全日制)で24万5431円です。

学年ごとに見ると、公立小学校は第1学年の21万6850円から第6学年の30万7345円まで、公立中学校は第1学年の27万8315円、第2学年の34万1591円、第3学年の44万6096円です。公立高等学校(全日制)は、第1学年が19万5191円、第2学年が22万5761円、第3学年が31万9200円でした。

学年別の学校外活動費(公立・令和5年度)1/2

学年別の学校外活動費(公立・令和5年度)

出所:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとにLIMO編集部作成

中身を見ると、公立小学校では、スポーツや芸術文化活動、習い事などの「その他の学校外活動費」が14万4004円、自宅での学習や学習塾などの「補助学習費」が11万2485円でした。公立中学校では補助学習費が27万1574円で、学校外活動費の76.3%を占めています。

学年が上がると、習い事や体験活動から、塾などの学習へと費用の中心が移っていくことがうかがえます。子どもの興味や進路によって、どこにお金をかけるかは変わってくるため、平均の内訳は、わが家の使い方を考えるときのひとつの手がかりとして見るとよいでしょう。

こうしてみると、学校外活動費は、高校や中学校の受験を控えた学年で多くなる傾向がうかがえます。児童手当の金額は学年によって変わらないため、子どもが小さいうちに受け取った分をどう残しておくかが、その後の学年の費用を考えるうえで大切になるでしょう。

2. 学習塾費は学年でどう変わる?公立中学3年は年34万1220円、公立小学6年は14万5161円

学校外活動費のうち、自宅での学習や学習塾、家庭教師などにかかる「補助学習費」の中で、最も多いのが学習塾費です。公立の学習塾費は、小学校の平均で7万5194円、中学校の平均で23万385円、高等学校(全日制)の平均で14万7140円でした。

学年別の学習塾費(公立・令和5年度)2/2

学年別の学習塾費(公立・令和5年度)

出所:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとにLIMO編集部作成

学年別では、公立小学校の第1学年が3万1504円、第6学年が14万5161円、公立中学校の第1学年が13万3647円、第2学年が21万3759円、第3学年が34万1220円です。公立高等学校(全日制)は、第1学年が8万9760円、第3学年が20万6454円でした。調査では、私立小学校と私立中学校を除き、学年とともに学習塾費が多くなっているとしています。

学習塾に通うかどうかや、どのくらいの費用をかけるかは、家庭や子どもによってさまざまだと考えられます。平均の金額は、あくまでひとつの目安として受け止めるとよいでしょう。そのうえで、受験を控えた学年に費用が増えやすいことを知っておくと、早めに準備を始めるきっかけになります。

小学校の低・中学年のうちは習い事や体験活動、小学校の高学年からは学習塾というように、学年によって学校外活動費の中身も変わっていきます。費用の総額だけでなく、子どもの成長の段階ごとに何にお金をかけたいかを、家族で考えておくことが大切です。

3. 【児童手当1年分でどこまで?】公立中学3年の学校外活動費の約27%、公立小学1年なら約55%

児童手当1年分の12万円が、学年ごとの学校外活動費のどのくらいにあたるかを試算してみます。公立小学校第1学年の21万6850円に対しては約55%、第6学年の30万7345円に対しては約39%、公立中学校第3学年の44万6096円に対しては約27%、公立高等学校(全日制)第3学年の31万9200円に対しては約38%です。

学習塾費だけで見ると、公立中学校第3学年の34万1220円に対して、児童手当1年分は約35%です。受験を控えた学年では、その年の児童手当だけで学校外活動費をまかなうのは難しい計算になります。児童手当だけでなく、家計全体の中で教育費をどう準備していくかを考えておくことも大切です。

ただし、これは平均の費用に手当を当てはめただけの目安です。児童手当の使い道は家庭それぞれで、学びのほかにも生活に必要な費用に充てている家庭もあるでしょう。手当をどう使うかを家族で話し合い、子どもの成長にあわせた計画を立てておくことが大切です。

ここまでをまとめると、児童手当は3歳以上高校生年代までの第1子・第2子で1年12万円、学校外活動費は公立小学校で年25万6489円、公立中学校で年35万6018円でした。学習塾費は公立中学校第3学年で年34万1220円と、受験を控えた学年で多くなります。手当の受け取り方と、学年ごとに変わる費用をあわせて知っておくことが、教育費の計画の出発点になります。

宮野 茉莉子
児童手当は、毎回2か月分がまとめて振り込まれるため、気づくと生活費の中にまぎれてしまうこともあるでしょう。今回の数字からは、学校外活動費が受験を控えた学年で多くなることがわかりました。手当の金額は学年によって変わらないので、子どもが小さいうちは一部を残しておき、費用が増える学年に備えるという考え方もあるでしょう。どのくらいを学びに充てるかは、家庭の方針や子どもの希望によって違ってよいでしょう。12月の振込をきっかけに、手当の使い道を家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。子どもと一緒に、やってみたいことや続けたいことを聞いてみるのもよいでしょう。手当を学びのためだけに使う必要はありませんが、使い道を決めておくと、受け取るたびに迷わずにすみます。

4. 【12月の振込の前に】手当の受け取り方と、これからの教育費の計画を確かめる

児童手当を子どもの学びに生かすには、次の3つの順で確かめていくと整理しやすくなります。

まず、児童手当がいつ、いくら振り込まれるのかを確かめましょう。支給は偶数月で、それぞれの前月分までの2か月分です。具体的な支給日は、お住まいの市区町村のお知らせで確かめておきましょう(公務員の方は勤務先から支給されます)。子どもが3歳になるころには月額が変わり、高校生年代を終えると支給が終わるので、家族の年齢に合わせて見直しておきたいところです。また、こども家庭庁によると、他の市区町村に引っ越したときは転入先の市区町村での申請が必要で、期限は転入した日(または転出予定日)の翌日から15日以内です。公務員の方は勤務先での手続きです。手続きを忘れないようにしましょう。

次に、子どもの学年ごとにかかりそうな学校外活動費を書き出してみましょう。今回の調査では、公立中学校の学校外活動費は学年が上がるにつれて多くなり、第3学年が最も多くなっていました。いま通っている塾や習い事の費用に加えて、受験を控えた学年でどのくらい増えそうかを見込んでおくと、手当をどう残しておくかを考えやすくなります。

そして、手当の使い道を決めておきましょう。受け取った手当をそのまま生活費と一緒にするのではなく、学びのための口座を分けておく、毎回一定の金額を残しておくなど、家庭に合った方法を選ぶとよいでしょう。教育費は、学校外活動費のほかに、高校や大学に進むときの費用もかかります。いまの家計とこれからの教育費の両方を見ながら、無理のない計画を立てていきましょう。

5. まとめにかえて

宮野 茉莉子
子どもの学びにかかる費用は、学年によって変わり、受験を控えた学年で多くなりやすいものです。特に受験を控えた学年では、塾や講習の費用が重なりやすく、家計の負担を感じる方もいるかもしれません。

児童手当は、子どもが生まれてから高校生年代まで続く、長い期間の支えです。毎回の金額は大きくなくても、使い道を決めておくだけで、いざというときの備えになるでしょう。平均の金額にとらわれすぎず、子どもが本当にやりたいことや家庭の方針を大切にしながら、手当と教育費の計画を立ててみてください。12月の振込は、その計画を見直すよいきっかけになるでしょう。

学びにかける費用は、塾や習い事だけではありません。図書館や地域の講座、家族での体験など、お金をかけずにできる学びもあるでしょう。費用の大小にかかわらず、子どもが興味を持ったことを応援できる形を、家庭それぞれのやり方で見つけていきたいですね。

参考資料

宮野 茉莉子