3. 【会社を離れたら、仕事の関係は続く?】続くと思う相手は中央値で2人、0人が38.1%
お金と並んで気になるのが、会社を離れたあとの人間関係です。「セカンドキャリア・インキュベーション協会(SCIA)調べ(調査実施機関:株式会社ネオマーケティング)」によると、45~59歳で課長相当以上の管理職300人のうち、仕事で月1回以上やり取りする相手は中央値で20人でした。そのうち、会社を離れたあとも個人的に連絡を取り合うと思う相手は中央値で2人で、「0人」と答えた人は38.1%でした(やり取りする相手が1人以上いる299人に聞いた数)。
この1年の間に、肩書きや社名を出さずに自己紹介をした機会が「ほぼない」と答えた人も48.3%いました。また、会社を離れたあとのキャリアに不安を感じる人が、いちばん不安なこととして挙げたのは「収入が維持できるか」で、44.6%でした。
ただし、この調査は、勤続5年以上で従業員100人以上の会社に勤める45~59歳の正社員を対象にしたもので、回答した300人のうち男性が282人、50代が245人です。
同じ会社で長く働いていると、取引先や社内の人との関係は、会社の仕事を通じて自然と広がっていきます。それ自体は大切な財産ですが、肩書きを外したあとにも続く関係かどうかは、ふだんはなかなか意識しないものです。
こうしてみると、管理職として長く働いてきた人にとって、仕事の信頼関係は会社と結びついている面があると考えられます。年収の目安が変わる時期と、会社の外とのつながりを意識する時期は重なりやすく、どちらも50代のうちから少しずつ準備しておくことが大切です。お金と人とのつながりは、別々の問題に見えて、実はどちらも60代以降の働き方を支える土台になるものです。
4. 【50代のうちに】収入の見通し・制度・つながりの3つを確かめる
50代のうちに、60代以降の働き方とお金について次のような点を考えておきましょう。
まず、60歳以降の収入の見通しを立てましょう。今の給与明細と賞与明細から年収を出し、役職を離れたあとや定年後の再雇用でどう変わりそうかを、勤め先の制度の説明で確かめます。あわせて、ねんきん定期便やねんきんネットで、公的年金の見込み額も確かめておくと、収入全体の見通しが立てやすくなります。収入が下がる時期に備えて、毎月の支出を見直しておくことも大切です。
次に、勤め先の制度を確かめます。役職定年があるか、何歳で役職を離れるのか、定年は何歳か、定年後の再雇用の条件はどうなっているかは、会社によって違います。就業規則や人事の制度の説明で、早めに確かめておきましょう。制度を知っておくと、役職を離れる前後の働き方や、定年後も同じ会社で働くかどうかを考える材料になります。
そして、会社の外とのつながりを少しずつ育てていきます。肩書きを使わずに、自分がどんな経験を持ち、何が得意なのかを言葉にしておくと、次の働き方を考えるときの手がかりになります。社外の勉強会や地域の活動など、会社とは別の場で人と関わる機会を持っておくことも、これからの働き方を広げる一歩になるでしょう。今の仕事で築いてきた関係の中で、会社を離れても話をしたい人は誰かを思い浮かべてみるのも一つの方法です。その人と、仕事以外の話をする機会を持ってみるのもよいでしょう。
5. まとめにかえて
今回の調査では、会社を離れたあとの不安として、収入のことを挙げた人が最も多くなっていました。公的年金の見込み額や勤め先の制度を確かめることが、収入の見通しをつかむ手がかりになります。
人とのつながりは、すぐに増やせるものではありません。だからこそ、肩書きを外した自分の経験を言葉にしたり、会社の外の人と話したりする機会を、今のうちから少しずつ持っておきたいものです。お金の準備と人とのつながりの準備は、どちらも時間がかかります。50代は、その両方に手をつけやすい時期でもあります。役職や会社の名前に頼らずに、自分の言葉で経験を語れるようになっておくと、60代以降の働き方を選ぶときの支えになるでしょう。今日からできる小さな一歩を考えてみてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
- 人事院「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」
- 株式会社勘兵衛「【実態調査】管理職300人の約4割が、会社を離れたら「続く仕事の関係はゼロ」 SCIA「名刺定年」調査」(PR TIMES)
宮野 茉莉子
