4. 高額療養費の多数回該当は「同じ保険者」「同じ被保険者」ごとに月数を数える
多数回該当の月数は、どの健康保険に、どの立場で加入しているかによって通算されないことがあります。協会けんぽの案内で確認します。
4.1 退職して家族の被扶養者になると、多数回該当の月数は通算されない
協会けんぽは、多数回該当は同一被保険者で適用されるとしています。退職して被保険者から被扶養者に変わった場合などは、多数回該当の月数に通算されません。
たとえば、治療のために会社を辞めて配偶者の健康保険の被扶養者になると、それまで本人が被保険者として払い戻しを受けた月数は引き継がれません。治療を続けながら働き方を変えるときは、回数が数え直しになることを前提に、月々の支払いを見込んでおく必要があります。
4.2 加入する保険者が変わったときも、多数回該当の月数は通算されない
多数回該当は、同一保険者での療養に適用されます。協会けんぽは、国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽに加入した場合など、保険者が変わったときは多数回該当の月数に通算されないとしています。
5. 70歳以上75歳未満の人が外来特例で受けた高額療養費は、多数回該当の回数に数えない
70歳以上の人には、通院(外来)だけに個人ごとの上限を設けた「外来特例」があります。この外来特例と多数回該当の関係を確認します。
5.1 外来特例による高額療養費の回数は、多数回該当の月数に含まない
協会けんぽは、70歳以上75歳未満の高齢受給者が、通院の限度額の適用によって高額療養費を受けた回数は考慮しないとしています。
通院の上限で払い戻しを受けた月が続いても、そのことだけで世帯の上限が多数回該当に切り替わるわけではありません。
5.2 一般区分の外来特例の上限は、2026年8月診療分から月2万2000円
協会けんぽの一般区分(標準報酬月額26万円以下)の外来特例は、2026年7月診療分までの月1万8000円から、8月診療分から月2万2000円になりました。外来特例には年間の上限もあり、2026年8月からは21万6000円です。
世帯ごと(入院を含む)の上限は6万1500円で、多数回該当は4万4400円です。
6. 高額療養費の払い戻しを待つ間の立て替えには「高額医療費貸付制度」がある
高額療養費は、窓口で支払ったあとに申請して払い戻しを受けるのが基本です。治療が続くと、払い戻しまでの立て替えが重なります。
6.1 協会けんぽは、高額療養費の支給見込額の8割相当額を無利子で貸し付ける
協会けんぽには、高額療養費の支給見込額の8割相当額を無利子で貸し付ける「高額医療費貸付制度」があります。貸付金の返済には、支給申請した高額療養費が充てられ、残額は指定した金融機関に振り込まれます。
申請には、医療機関が発行した保険点数のわかる医療費請求書や、高額医療費貸付金借用書、高額療養費支給申請書などが必要です。提出先は、加入している協会けんぽの支部です。
6.2 健康保険組合や国民健康保険の人は、加入先で多数回該当の扱いを確かめる
この記事で紹介した多数回該当の通算や貸付制度の案内は、協会けんぽのものです。健康保険組合や国民健康保険に加入している人は、加入先の案内で、多数回該当の数え方や払い戻しまでの手続きを確かめます。
7. まとめ
高額療養費の多数回該当は、直近12か月に高額療養費の払い戻しを受けた月が3か月以上あると、4か月目から上限が下がる仕組みです。2026年8月診療分から月の上限は引き上げられましたが、多数回該当の額は区分ウで4万4400円のまま据え置かれました。
多数回該当の月数は同じ保険者・同じ被保険者ごとに数えるため、退職して家族の被扶養者になると通算されません。治療が続くときは、払い戻しを受けた月を書面で記録し、加入している健康保険の案内で数え方を確かめておきましょう。