奨学金を抱えていることによる、ライフプラン上の注意点は大きく2つあります。
一つ目は、新規の住宅ローン借り入れに影響するということです。奨学金は、基本的には他の借入等と同じ扱いなので、住宅ローンを借入れする際の審査に影響します。
住宅ローンの審査では、年収に対しての返済比率が一つの要件となっていますが、奨学金や自動車ローンもこの返済比率の計算に含まれるため、奨学金を抱えていることで希望する金額の住宅ローンを組めないというケースも出てきてしまいます。その場合、頭金を増やすか、それができなければ希望する物件価格を下げなくてはいけなくなります。
また、奨学金の返済を延滞してしまうと、住宅ローンの審査が通らなくなってしまうのが注意が必要です。
注意点の二つ目が、当たり前ではありますが、貯蓄のスピードが遅くなるということです。奨学金の返済期間の平均は14.7年となっており、大学を卒業してから返済スタートすると、30代後半まで返済が続くということになります。
結婚をして、子どもがいる世帯では、教育費の準備は住宅購入を検討する時期と重なり、月々の返済の負担感がより大きく感じます。もちろん返済中の期間は利息もかかりますので、できれば繰上げ返済や一括返済しておきたいところです。
効果的な返済計画
返済計画を立てる際は、日本学生支援機構が運営する「スカラネット・パーソナル」を活用しましょう。日本学生支援機構の奨学金の利用者のみが利用可能ですが、以下の内容を確認することができます。
・返済総額(元金)
・返済残回数
・返済残額(元金)
・現在の請求額
・保証情報等
このシステムを利用して、全額もしくは一部繰上げ返済の手続きも行うことができます。
参考:スカラネット・パーソナル(日本学生支援機構)
目標は30歳までの完済
奨学金返済の目標としたいのは、30歳までの完済です。前述した通り、住宅の購入や将来の貯蓄計画への影響も大きいので、まずは奨学金の返済を優先的にすることをおススメします。
そのためには、社会人になるのと同時に返済計画を立てることが重要です。単純に、毎月の返済額だけを支払い続けるのではなく、経済的な負担感が少ない20代のうちに頑張って返済を済ませ、その後の生活設計に備えましょう。
渡邊 裕介