普段、新規住宅購入や貯蓄計画のご相談を受ける際に、現在返済中の奨学金をどうしたら良いかと相談されるケースが多くあります。奨学金返済による生活設計への影響は無視できません。これから奨学金を検討する方、返済をスタートする方には、30歳までの返済完了を推奨しています。
今回は、奨学金の概要と押さえるべきポイントについて整理していきたいと思います。
奨学金の概要
日本学生支援機構の「平成28年度学生生活調査」によると、大学(昼間部)における奨学金の受給状況について、利用している学生の割合が48.9%となり、約半数の学生が奨学金を活用しているそうです。
奨学金は、経済的な理由や家庭の事情などにより進学が難しい方向けに、学費の付与や貸与を行う制度です。奨学金を活用することで、多くの学生が高校や大学などに進学することが可能になるため、大変ありがたい制度と言えます。
一方で、貸与型の奨学金制度については、あくまで学費を借りる制度ですので、返済をしていく必要があり、社会人になってから、この奨学金の返済がじわじわと家計の負担になり、苦しむケースも多くあります。
奨学金の種類
奨学金には、卒業後に返済が必要な「貸与型」と返済の必要がない「給付型」があります。
返済の有無や、支給金額、要件などは団体によって異なります。給付型の場合は返済の必要が無いため、世帯収入要件や学業優秀など、貸与型と比較すると要件が厳しくなっています。
奨学金制度で代表的なのは、日本学生支援機構(JASSO)の第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息有)で、どちらも返還の必要があり、奨学金制度の中では最も利用者が多いものです。
JASSOでは、2020年4月から新しい修学支援制度がスタートします。経済的な理由で学び続けることをあきらめないように、より多くの人が支援を受けられるようにと、これまでの制度より要件が緩和され、給付型奨学金の支援額が増えます。
これまで貸与型奨学金を利用していた学生が給付型を受けることができ、既に給付型を利用している学生も、新しい支援制度に切り替えることで、より充実した内容となります。既存の利用者も、これから奨学金を検討している方も要チェックです。
JASSOの奨学金以外にも、大学独自の奨学金制度や、地方自治体で準備している奨学金制度などがあります。
大学独自の制度の場合、主に私立大学で設けられています。入試で優秀な成績を収めた学生を対象とした特待生制度などもあり、授業料の一部もしくは全額が免除になることもあります。地方自治体の奨学金制度は、保護者がその自治体の住民であることが条件で、貸与型が一般的です。
奨学金の注意点
労働者中央福祉協議会におけるアンケート調査によると、奨学金の借入総額の平均は324.3万円、月の返済額の平均が16,880円となっており、奨学金返済の負担感で「苦しい」と回答した人が4割近くにものぼっています。