親の介護では、冠婚葬祭や仕事の出張、介護する側の体調不良などで、数日間、親の介護を家族だけで担えない場面も出てきます。そんなときに使えるのが、介護保険のショートステイ(短期入所)です。

ショートステイは介護する家族が休むためにも使えますが、人気の施設は予約が埋まりやすいため、使いたい時期が決まったら早めにケアマネジャーに伝えておきましょう。

費用は1日単位で決まり、要介護度や施設の種類、部屋のタイプによって変わります。介護保険の自己負担とは別に、滞在費や食費もかかります。

この記事では、東京都江東区が示す1日あたりの費用の例と、2026年9月に公表された厚生労働省「令和7年度 介護給付費等実態統計」をもとに、ショートステイの費用と利用者数、連続して使える日数の決まりを整理します。

1. ショートステイの費用は1日単位。特別養護老人ホーム併設の多床室なら、要介護3で自己負担は1日827円

ショートステイには、特別養護老人ホームなどで食事や入浴などの介護を受ける「短期入所生活介護」と、介護老人保健施設などで医療的なケアも受ける「短期入所療養介護」があります。江東区の案内から、1日あたりの費用の例を確認します。

1.1 特別養護老人ホーム併設の多床室は、要介護1の670円から要介護5の982円まで(1割負担の場合)

江東区の案内では、特別養護老人ホームに併設されたショートステイの多床室の場合、1日あたりの費用は要介護1で6693円、要介護5で9812円です。自己負担が1割の人なら、利用者の負担は要介護1で670円、要介護3で827円、要介護5で982円になります。

ショートステイの1日あたりの自己負担は、要介護度と施設の種類で変わる1/2

江東区の案内による、特別養護老人ホーム併設の多床室(短期入所生活介護)と介護老人保健施設の多床室(短期入所療養介護)の1日あたりの費用と、1割負担の場合の利用者負担を要介護1から要介護5まで並べた表

出所:江東区「短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)」をもとにLIMO編集部作成

1.2 介護老人保健施設の多床室(短期入所療養介護)は、要介護3で1日1029円

介護老人保健施設の多床室を使う短期入所療養介護は、同じ要介護度でも費用が高くなります。江東区の案内では、1割負担の場合の利用者負担は要介護1で905円、要介護3で1029円、要介護5で1147円です。

要支援の人が使う介護予防短期入所生活介護は、特別養護老人ホーム併設の多床室で、要支援1が501円、要支援2が623円です(いずれも1割負担の場合)。

1.3 この金額には加算が含まれず、滞在費・食費・送迎費などは施設ごとに別にかかる

江東区は、示している金額には事業所の体制による加算や減算が含まれていないとしています。滞在費、食費、送迎費、日常生活費などは施設ごとに異なり、介護保険の自己負担とは別に支払います。

自己負担の割合が2割・3割の人は、介護保険の部分の負担がそれぞれ2倍・3倍になります。部屋のタイプも多床室のほか、従来型個室やユニット型個室があり、ユニット型個室は多床室より費用が高く設定されています。

2. ショートステイは連続30日まで。31日目は介護保険が使えず全額自己負担

ショートステイは、在宅での介護を続けるための短期間のサービスです。そのため、連続して使える日数に決まりがあります。

2.1 連続して30日を超えると、31日目の費用は全額自己負担

大阪府堺市の介護保険の案内では、ショートステイを連続して30日を超えて使った場合、31日目は全額自己負担になるとしています。介護保険から費用が出るのは、連続30日までです。

また、連続30日以内でも、ショートステイの利用日数は要介護認定の有効期間のおおむね半分を超えないことが目安とされています。

2.2 ショートステイの費用は、在宅サービスの支給限度額の範囲内に含まれる

ショートステイは在宅サービスの1つなので、訪問介護やデイサービスなどと同じく、要介護度ごとの支給限度額の範囲内で使います。要介護3の支給限度額は月2万7048単位です。限度額を超えて使った分は、全額自己負担になります。

3. 令和7年度の介護給付費等実態統計、ショートステイ(短期入所生活介護)の利用者は69万2700人

ショートステイは、どのくらいの人に使われているのでしょうか。2026年9月に公表された「令和7年度 介護給付費等実態統計」から確認します。対象は、2025年5月審査分から2026年4月審査分までの1年間です。

3.1 短期入所生活介護を1年間に一度でも使った人は69万2700人。前年度から1万1800人減った

令和7年度に短期入所生活介護を使った人(年間実受給者数)は69万2700人で、前年度の70万4500人から1万1800人(1.7%)減りました。介護老人保健施設などの短期入所療養介護を含めたショートステイ全体では、79万5600人です。

3.2 短期入所生活介護の費用額は4286億1100万円。受給者1人1か月あたりにすると約12万1000円

令和7年度の短期入所生活介護の費用額(利用者の負担分を含む)は4286億1100万円で、前年度の4298億8700万円から0.3%減りました。各月の受給者数を足し合わせた年間累計受給者数は354万1400人です。

費用額を年間累計受給者数で割ると、受給者1人1か月あたりの費用額は約12万1000円になります(LIMO編集部の計算)。自己負担が1割の人なら、月に約1万2100円を負担している計算です。

ショートステイの介護保険の自己負担は、特別養護老人ホーム併設の多床室で要介護3なら、江東区の例で1日827円です。これに滞在費や食費が加わり、連続して30日を超えた日は全額自己負担になります。

令和7年度に短期入所生活介護を使った人は69万2700人でした。親のショートステイを考え始めたら、要介護度と負担割合、使いたい日数を書き出し、担当のケアマネジャーに費用の見込みを聞いておくと準備しやすくなります。

ここからは、ショートステイを使える日数の目安と、滞在費・食費を軽くする負担限度額認定、親が月に7日使う場合の計算例を見ていきます。

4. ショートステイの利用日数は、要介護認定の有効期間のおおむね半分までが目安

連続30日までという決まりのほかに、ショートステイには、要介護認定の有効期間に対する日数の目安もあります。

4.1 ケアプランに組み込むときは、有効期間のおおむね半数を超えないようにする

厚生労働省の指定居宅介護支援の運営基準では、ケアマネジャーがケアプランにショートステイを組み込むとき、特に必要と認められる場合を除き、利用日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにするとしています。

堺市も、連続して30日を超えない日数であっても、ショートステイの利用日数は認定の有効期間のおおむね半分を超えないことを目安にしていると案内しています。たとえば有効期間が12か月なら、おおむね6か月分の日数が目安になります。

4.2 長く使いたい事情があるなら、ケアマネジャーに理由を伝えておく

介護する家族の入院などで、目安を超えて使う必要が出てくることもあります。その場合は、なぜ必要なのかをケアマネジャーに具体的に伝え、ケアプランにどう組み込むかを相談しておくと、手続きが進めやすくなります。

5. ショートステイの滞在費・食費は、負担限度額認定を受けると軽くなる

ショートステイの滞在費と食費は介護保険の対象外ですが、所得や預貯金が少ない人は、市区町村の「負担限度額認定」を受けると負担が軽くなります。認定の対象は、特別養護老人ホームなどへの入所とショートステイの利用です。

5.1 対象は住民税非課税世帯で、預貯金などが基準以下の人

東京都新宿区の案内では、負担限度額認定の対象は、本人と世帯全員が住民税非課税で、配偶者がいる場合は住民票が別でも配偶者が非課税であることが条件です。そのうえで、預貯金などの額にも基準があります。

預貯金などの基準は、利用者負担段階が第2段階なら単身650万円以下(夫婦1650万円以下)、第3段階①なら単身550万円以下(夫婦1550万円以下)、第3段階②なら単身500万円以下(夫婦1500万円以下)です。親の通帳の残高によっては、非課税でも対象にならないことがあります。

5.2 認定証は申請しないと交付されない。ショートステイの前に申請しておく

負担限度額認定は、市区町村に申請して認定証の交付を受ける仕組みです。ショートステイを使う予定ができたら、親が対象になりそうかを先に確かめ、利用の前に申請しておきましょう。

6. 【計算例】要介護3の親が、特別養護老人ホーム併設の多床室を月に7日使う場合

江東区の案内の金額をもとに、要介護3で自己負担1割の親が、特別養護老人ホーム併設のショートステイ(多床室)を使う場合を計算します(LIMO編集部の計算例。加算、滞在費・食費などは含みません)。

要介護3・自己負担1割の場合、ショートステイの介護保険の自己負担は7日で5789円2/2

江東区の案内の金額をもとに、要介護3・自己負担1割の人が特別養護老人ホーム併設の多床室のショートステイを3日、7日、14日使った場合の介護保険の自己負担(1割負担)を計算した図

出所:江東区「短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)」をもとにLIMO編集部作成

6.1 介護保険の自己負担は、7日で5789円、14日で1万1578円

要介護3の1日あたりの自己負担827円に日数を掛けると、7日なら5789円、14日なら1万1578円です。自己負担が2割の人は、1日あたり8269円の2割にあたる額で計算するため、7日でおよそ1万1600円になります。

これに、施設ごとに決まる滞在費と食費が日数分加わります。食事を何回とるかで食費が変わる施設もあるので、見積もりを取るときに、入所する日と退所する日の扱いも聞いておくと安心です。

6.2 ほかの在宅サービスと合わせて、支給限度額に収まるかを確かめる

ショートステイを使う月も、デイサービスや訪問介護はいつもどおり使うことがあります。月の利用がまとめて支給限度額を超えると、超えた分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーに月全体の利用計画で確かめてもらいましょう。

介護する家族が休む日を前もって決めておくと、ショートステイの予約も費用の見通しも立てやすくなります。親の介護を長く続けるためにも、家族の予定とあわせて年に何回ほど使いたいかを話し合っておくとよいと思います。

7. まとめ

ショートステイの介護保険の自己負担は、江東区の例で、特別養護老人ホーム併設の多床室なら要介護3で1日827円、介護老人保健施設の多床室なら1日1029円です(いずれも1割負担・加算を含まない)。滞在費や食費は別にかかり、連続30日を超えた日は全額自己負担になります。

令和7年度に短期入所生活介護を使った人は69万2700人でした。利用日数は要介護認定の有効期間のおおむね半分までが目安で、住民税非課税世帯なら負担限度額認定で滞在費・食費が軽くなることがあります。親の要介護度と負担割合を確かめ、ケアマネジャーと費用の見込みを共有しておきましょう。

参考資料