部長や課長として長く働いてきた人も、ある年齢になると役職を離れることがあります。年齢を決めて役職から離れる「役職定年」の仕組みを設けている会社があるためです。いまの上司がいつ役職を離れるのか、自分にもその日が来るのかが気になっている方もいるのではないでしょうか。役職定年の決まりは会社ごとに違うため、周りの話だけでは全体の姿がつかみにくいものです。

人事院が2026年9月30日に公表した令和7年の調査では、役職定年制がある企業の割合や、部長級・課長級の役職定年の年齢、そして役職を離れたあとにどのような仕事に就くのかが示されています。

役職を離れたあとの配置で最も多いのは、専門的な知識や経験を活かす「スタッフ職」でした。管理職としてラインを率いる働き方から、専門性を活かす働き方へと移る道筋が見えてきます。

本記事では、人事院の調査をもとに、役職定年制がある企業の割合と役職定年の年齢、役職を離れたあとの配置を順に整理します。

1. 【役職定年制】従業員100人以上の企業の22.3%に制度がある

人事院の「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」によると、事務・技術関係職種の従業員がいる企業のうち、役職定年制がある企業の割合は、従業員100人以上の企業全体で22.3%でした。制度がない企業は77.3%です。

この調査でいう役職定年制は、「管理職定年制」や「役降り」とも呼ばれるもので、一定の年齢になったときに役職から離れる仕組みを指します。任期を区切って役職に就く「役職任期制」は含みません。調査は2025年10月1日時点の状況をたずねたもので、回答のあった企業は3767社でした。

企業の規模別に見ると、役職定年制がある企業の割合は、500人以上の企業で30.4%、100人以上500人未満の企業で20.4%です。参考として示されている50人以上100人未満の企業では16.6%でした。

制度がある企業のうち、93.7%は役職定年制を「今後も継続」すると答えています。一方、制度がない企業では、92.4%が「導入予定はない」としています。役職定年は、すでに制度がある会社では今後も続く見込みの仕組みだといえそうです。

2. 【何歳で役職を離れる?】部長級は60歳、課長級は55歳とする企業が最も多い

部長級・課長級に役職定年制がある企業について、役職定年の年齢を見ると、部長級は「60歳」とする企業が28.0%で最も多く、次いで「55歳」が25.5%でした。課長級は「55歳」が33.4%で最も多く、次いで「60歳」が27.3%です。

部長級では、57歳と58歳とする企業もそれぞれ15.5%、16.5%あります。残りは56歳が4.4%、59歳が4.9%、54歳以下が0.3%です。

課長級では、56歳が7.7%、57歳が11.6%、58歳が8.8%、59歳が3.1%で、56歳から59歳を合わせると31.2%になります。54歳以下とする企業も3.4%あります。61歳以上とする企業は、部長級で4.5%、課長級で3.9%でした。

役職定年の年齢は、会社ごとにかなり分かれていることが分かります。

部長級・課長級の役職定年の年齢1/2

部長級・課長級の役職定年の年齢

出所:人事院「令和7年民間企業の勤務条件制度等調査」をもとにLIMO編集部作成

同じ会社の中でも、部長級と課長級とで役職定年の年齢が違うことがあります。課長として役職を離れる年齢と、部長として離れる年齢は、それぞれの会社の決まりで確かめる必要があります。

宮野 茉莉子
役職定年という言葉には、管理職としての役割に区切りがつくという印象があるかもしれません。けれども、人事院の調査を見ると、役職を離れる年齢は55歳から60歳を中心に会社ごとに分かれていて、ひとつの決まった時期があるわけではありません。同じ部署の上司でも、部長と課長とで役職を離れる時期が違うこともあります。役職定年は、ある日突然に訪れるものではなく、制度として前もって年齢が決まっている仕組みです。自分の会社に制度があるのか、あるとしたら何歳なのかを知っておくと、これからの働き方を考えるときの手がかりになります。役職を離れたあとにどのような役割が用意されているのかもあわせて知っておけば、そのときに慌てずに次の仕事へ気持ちを向けやすくなるでしょう。