4. 住民票の「世帯」とNHK受信料の「世帯」は数え方が違う
自治体で国民健康保険を担当していた頃、窓口では「同じ家に住んでいるのに、保険料の通知が別々に届く」という相談を受けることがありました。国民健康保険の保険料は、住民票の世帯ごとに計算し、世帯主に納めてもらう仕組みだったからです。
一方で、NHK受信料の契約は、住民票の世帯をそのまま使うわけではありません。同じ「世帯」という言葉でも、制度によって数え方が違います。
4.1 NHKの受信規約では、世帯は「住居および生計をともにする者の集まり」
日本放送協会放送受信規約の第2条では、世帯を「住居および生計をともにする者の集まり」と、独立して住居や生計を維持する単身者と定めています。住民票がどうなっているかではなく、住まいと家計を同じくしているかどうかで世帯を数えます。
同じ世帯の1つの住居であれば、テレビが何台あっても受信契約は1つです。受信できる放送の種類が異なる受信機を置いた場合は、衛星契約を結ぶことになっています。
4.2 同じ世帯で住居が2つあるときは、NHK受信料の契約は住居ごと
受信規約では、同じ世帯に属する2つ以上の住居に受信機を置く場合、受信契約は住居ごとに結ぶとされています。単身赴任や別荘のように、生計が同じで住まいが離れているケースです。
この場合は「家族割引」の制度があり、適用要件に当てはまれば受信料額の半額が割り引かれます。
5. 親との同居や施設への入所で、NHK受信料の契約を見直す
親の暮らし方が変わると、受信契約の数や免除の対象かどうかが変わることがあります。NHK受信料の窓口で確かめておきたい点を整理しました。
5.1 親と同じ住居に移り、家計も一緒になったときは1つの世帯として扱われる
受信規約の定義に当てはめると、親と住まいも家計も同じになれば、1つの世帯として受信契約は1つになります。同じ建物でも家計が別であれば、それぞれが別の世帯です。
親の家と自分の家で契約が2つ残っている場合は、どちらの契約をどうするかを、NHKふれあいセンター(0570-077-077、午前9時〜午後6時、土・日・祝日も受付)に確かめると手続きを進めやすくなります。
5.2 社会福祉施設に入所した親が施設内の住居にテレビを置くときは、全額免除の対象
日本放送協会受信料免除基準では、社会福祉法に規定する社会福祉事業を行う施設または事業所の入所者が、施設内の住居に受信機を置いて結ぶ受信契約は、受信料の全額免除の対象とされています。
入所先がこの施設に当たるかどうかは、施設とNHKの両方に確かめておくと確実です。
5.3 免除や割引は、申請の手続きをしないと適用されない
NHKは、免除の適用を受ける場合は申請手続きが必要だと案内しています。家族割引も、申し込みの手続きをして初めて適用されます。
私が国民健康保険の窓口にいた頃も、負担を軽くする制度があることを知らないまま過ごしていた方に何度も出会ってきました。親の住まいが変わったときは、受信料の契約もあわせて見直しておくと安心です。
6. まとめにかえて
総務省の家計調査(2025年)では、二人以上の世帯のNHK放送受信料は年1万1957円で、世帯主が70歳以上の世帯では1万4996円でした。世帯主が60歳以上の世帯は、地上契約の12か月前払額1万2276円を上回っています。
NHK受信料の「世帯」は、住民票ではなく住居と生計で数えます。親との同居や施設への入所で暮らし方が変わったときは、受信契約の数と免除・割引の対象になるかを、NHKふれあいセンターで確かめてみてください。
参考資料
- 総務省「家計調査(家計収支編)2025年 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 総務省「家計調査(家計収支編)2024年 二人以上の世帯 詳細結果表」
- NHK受信料の窓口「受信料額について(読上げ対応版)」
- NHK受信料の窓口「日本放送協会放送受信規約」
- NHK受信料の窓口「日本放送協会受信料免除基準」
- NHK受信料の窓口「受信料免除の対象となる方について」
- NHK受信料の窓口「割引の制度」
太田 彩子