病院や診療所で受け取る処方箋を、紙ではなく電子で薬局に届ける「電子処方箋」。対応している医療機関・薬局では、ほかの医療機関で出たお薬の情報と照らして、同じ成分のお薬や飲み合わせの良くないお薬がないかを確かめられます。
デジタル庁と厚生労働省が公表しているダッシュボード(最終更新日:2026年9月11日)によると、2026年8月時点で電子処方箋に対応している薬局は91.4%でした。一方、処方箋を出す側の病院は21.4%、医科診療所は31.2%にとどまっています。
この記事では、電子処方箋の仕組みと施設の種類ごとの導入状況、医療機関の受付で電子処方箋を選ぶときの流れを確認します。
1. 電子処方箋は、処方箋を電子化して医療機関と薬局でお薬の情報を共有する仕組み
厚生労働省の患者向けの資料「よくある質問~電子処方箋について~」(令和8年8月版)は、電子処方箋を「これまで紙で発行していた処方箋を電子化したもの」と説明しています。処方や調剤の情報は電子処方箋管理サービスに登録され、対応している医療機関・薬局が次の受診のときに確認できます。
1.1 電子処方箋に対応した施設では、同じ成分のお薬や飲み合わせの良くないお薬をチェックできる
同じ資料によると、医師・歯科医師・薬剤師は、診察・処方・調剤のときに、ほかで服用しているお薬の情報に照らして、同じ成分のお薬がないか、飲み合わせの良くないお薬がないかをチェックできます。
ダッシュボードには2026年8月時点の数字として、重複投薬等チェックの実行件数が7360万9634件、重複投薬のアラート件数が1188万7815件、併用禁忌のアラート件数が2万16件と示されています。
1.2 お薬の情報が共有されるのは、本人が提供に同意した場合だけ
厚生労働省のリーフレット「使ってみよう 電子処方せん」には、お薬の情報は患者が医師・歯科医師・薬剤師への提供に同意した場合のみ共有されると書かれています。
電子処方箋を選ぶだけでは、医療費は変わりません。Q&Aでは、同じ効果のお薬がほかに出ていないかを確認した結果、処方する薬の量が減れば医療費が安くなることはあると説明しています。
2. 電子処方箋に対応する施設は2026年8月時点で42.5%、薬局の91.4%に対し病院は21.4%
デジタル庁の「電子処方箋の導入状況に関するダッシュボード」(2026年9月11日更新)で、電子処方箋の導入率を施設の種類ごとに見ます。導入率は、オンライン資格確認等システムを導入している施設のうち、電子処方箋を導入した施設の割合です。
【施設の種類別の導入率(2026年8月時点)】
- 全施設:42.5%(21万2018施設のうち9万115施設)
- 薬局:91.4%(6万757施設のうち5万5560施設)
- 医科診療所:31.2%(8万3033施設のうち2万5931施設)
- 病院:21.4%(7916施設のうち1692施設)
- 歯科診療所:11.5%(6万312施設のうち6932施設)
2.1 電子処方箋を受け付ける薬局は9割を超え、処方箋を出す病院・診療所は2〜3割
電子処方箋を受け付ける薬局の側は、オンライン資格確認等システムを導入した薬局の9割を超えました。処方箋を出す側は、医科診療所が31.2%、病院が21.4%、歯科診療所が11.5%です。
薬局が対応していても、かかった医療機関が電子処方箋に対応していなければ、処方箋は紙で出されます。
2.2 紙の処方箋でも、薬局で調剤した結果は電子処方箋管理サービスに登録される
ダッシュボードでは、2026年8月時点の数字として、処方情報の登録数1475万6602件のうち、電子処方箋が1410万2630件、引換番号付きの紙処方箋が65万3972件でした。
薬局で調剤した処方箋7878万3159枚のうち、調剤結果が登録されたのは6745万2937件で、登録率は85.6%です。厚生労働省は、紙の処方箋の場合でも処方・調剤の情報を登録できると案内しています。
3. 電子処方箋は医療機関の受付で選ぶ。マイナ保険証でも資格確認書でも利用できる
電子処方箋にするか紙の処方箋にするかは、医療機関で決まります。厚生労働省の「電子処方せんの利用ステップ」とQ&Aをもとに、受付での選び方を確認します。
3.1 マイナ保険証なら、カードリーダーの画面で薬剤情報の提供と処方箋の種類を選ぶ
電子処方箋に対応した医療機関で、顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いて受付を始めます。画面で「過去の薬剤情報の提供」に同意するかどうかを選び、処方箋の発行形態で「電子処方箋」を選びます。
マイナ保険証を搭載したスマートフォンでも受付できます。カードリーダーではなく、受付や診察室で電子処方箋を希望すると伝える方法をとる医療機関もあります。
3.2 資格確認書なら、受付で電子処方箋を希望すると口頭で伝える
マイナ保険証を持っていない人などに交付される資格確認書でも、電子処方箋を利用できます。Q&Aによると、資格確認書を利用する場合は、受付時に口頭で電子処方箋を希望すると伝えます。
どちらの場合も、Q&Aは、お薬を受け取る予定の薬局が電子処方箋に対応しているかを先に確かめるよう案内しています。
3.3 電子処方箋の有効期限は、紙の処方箋と同じく交付日を含めて4日以内
電子処方箋は、紙の処方箋と同じく交付日を含めて4日以内が有効期限です。長期の旅行など特殊の事情があり、医師や歯科医師が処方箋に別途使用期間を記載した場合は、その日まで有効になります。
電子処方箋のデータは、自動的に薬局へ送られるわけではありません。お薬を受け取るには、有効期限のうちに薬局で受付をする必要があります。
電子処方箋に対応した薬局は2026年8月時点で91.4%まで広がった一方、病院は21.4%、医科診療所は31.2%でした。電子処方箋を使えるかどうかは、まず処方箋を出す医療機関が対応しているかで決まります。
通っている医療機関や薬局が電子処方箋に対応しているかは、デジタル庁のダッシュボードの「市区町村別の導入状況詳細」で、施設名ごとに確かめられます。
ここからは、薬局の受付で何を示せばよいかと、処方内容(控え)をなくしたときの受け取り方を、厚生労働省のQ&Aをもとに見ていきます。
電子処方箋にしても、しばらくは処方内容の控えが紙で渡されます。控えに書かれた引換番号はお薬を受け取るまで手元に残し、家族の通院に付き添うときは、どの薬局で受け取るかを先に決めておくと手続きがスムーズです。
