セブン&アイ・ホールディングス<3382>は10月8日、2027年2月期第2四半期(中間期・日本基準・連結)の決算を発表しました。

構造改革の最中にある同社だけに、数字の増減には「中身」を読む必要があります。減収なのに増益、国内は減益で海外は大幅増益。この一見ちぐはぐな決算を、セグメント・地域・資本政策の順に、ひもといていきましょう。

1. 海外コンビニが全体をけん引

中間期の営業収益は5兆4,602億円(前年同期比▲2.8%)と減収でしたが、営業利益は2,322億円(同+11.5%)、経常利益は2,219億円(同+19.0%)と、しっかり増益を確保しました。

セグメント別に見ると、海外コンビニエンスストア事業は、営業収益が4兆9,666億円(前年同期比+17.7%)、営業利益は1,504億円(同+87.7%)と、収益・利益ともに大きく伸び、全体をけん引しました。北米の「7-Eleven」を中核とする事業です。

一方、国内コンビニエンスストア事業は、営業収益4,673億円(同+1.0%)と微増ながら、営業利益は1,098億円(同▲9.8%)の減益。店内調理設備や次世代システムの導入といった先行投資に加え、物価上昇による販管費の増加が重しとなりました。「セブンカフェ ベーカリー」などの商品強化や「7NOW」のデジタル施策を進める、仕込みの局面といえます。

そして、減収の最大の理由が「その他の事業」です。営業収益は324億円(同▲96.6%)と激減しましたが、これはスーパーストア事業などを連結から外した構造改革の影響で、事業が縮小したわけではありません。見かけの減収に惑わされず、継続事業である海外・国内コンビニの実力を見るのがポイントです。

2. 収益の柱は北米

地域別(所在地別)に見ると、同社がいまや「北米の会社」であることがよくわかります。

中間期の営業収益のうち、北米が4兆6,054億円と全体の大半を占め、日本は5,289億円。営業利益でも、北米が1,519億円と、日本の1,165億円を上回りました。

かつて国内のスーパーとコンビニが収益の軸だった同社の姿は、大きく変わっています。

3. 構造改革と資本政策——スーパーストア分離と自己株買い

この決算の背景にあるのが、北米コンビニへの集中という構造改革です。スーパーストア事業などを切り離し、成長する海外コンビニに経営資源を振り向ける——その動きが、セグメントの数字に表れています。

資本政策も活発です。同社は2026年7月末に、約4,000億円規模の自己株式取得(アクセラレーテッド・シェア・リパーチェス)を実施したほか、ソフトバンクやPayPay、三井住友カードなどへ自己株式の処分も行いました。構造改革と並行して、株主還元と資本効率を意識した動きが続いています。

4. 通期計画と配当——増配を予想

通期(2027年2月期)の会社計画は、営業収益10兆4,300億円、営業利益4,250億円(前期比+0.5%)、経常利益3,900億円(同+3.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,780億円(同▲5.0%)です。営業利益は小幅増益ながら、最終利益は減益の見込みで、ある種、構造改革の過渡期らしい計画といえます。

株主還元は手厚くしています。中間配当は前年の25円から30円へ、通期の配当予想は前期の年50円から年60円へと、増配を見込んでいます。

5. 元機関投資家イズミダの視点:減収の「中身」と、北米依存の両面を見る

私がこの決算でまず確かめたのは、減収の「中身」でした。営業収益が▲2.8%と聞くと事業が縮んだように見えますが、その正体はスーパーストア事業の分離であり、継続事業である海外コンビニはむしろ+17.7%の増収、営業利益は+87.7%の大幅増益です。

数字の見出しだけで「不調」と早合点すると、実態を読み違えます。構造改革の最中にある会社は、こうした「見かけの減収」が出やすく、セグメントで中身を分けて読むことが欠かせません。

収益の柱が北米コンビニに大きく傾いたことは、成長の源泉であると同時に、北米の消費環境や為替に業績が左右されやすくなったことも意味します。国内コンビニの減益が先行投資による一時的なものか、それとも採算構造の変化なのか——このあたりを、私は次の四半期以降も見極めていきたいと考えています。前提しだいで景色は変わりますので、中間期の数字だけで判断しないことが肝心です。

泉田 良輔