3. 65歳以上に住民税非課税世帯が多い理由
では、実際にどれくらいの世帯で住民税が課税されているのでしょうか。厚生労働省の「令和7年国民生活基礎調査」から、世帯主の年齢別に見ていきます。
3.1 年代別に見た住民税の課税世帯の割合
- 29歳以下:65.1%
- 30〜39歳:88.8%
- 40〜49歳:89.9%
- 50〜59歳:88.5%
- 60〜69歳:80.2%
- 70〜79歳:66.2%
- 80歳以上:55.5%
全世帯では75.4%、世帯主が65歳以上の世帯では65.4%、75歳以上では58.4%が課税世帯でした。世帯の種類で見ても、高齢者世帯で課税されているのは57.4%で、それ以外の世帯の84.8%を大きく下回ります。
この調査が示しているのは、課税されている世帯の割合です。残りには住民税非課税世帯のほか、課税されているかどうかが分からない世帯も含まれるため、残りがそのまま非課税世帯の割合になるわけではありません。
3.2 収入が年金中心になると非課税になりやすい
高齢になるほど課税世帯の割合が下がるのは、多くの人が仕事をやめ、収入の中心が年金に移るためです。年金の収入は、65歳以上で年金収入が330万円未満なら、公的年金等控除として110万円が差し引かれてから所得になります。
現役のころに給与を受け取っていた人も、退職すると収入の柱は年金になります。夫婦の一方が亡くなって単身になったり、年金額そのものが多くなかったりすると、住民税がかからない水準に入りやすくなるのです。
住民税非課税世帯であることは、収入が少ないことの裏返しでもあります。優遇措置だけを見るのではなく、毎月の年金でどこまで暮らしをまかなえるかとあわせて考えておきたいところです。
4. まとめにかえて
東京23区で65歳以上の夫婦が年金収入だけで暮らしている場合、夫婦の合計で月30万5000円(夫211万円以下・妻155万円以下)が住民税非課税世帯の目安です。ただし基準は市区町村ごとに異なり、判定も1人ずつ行われるため、夫婦の合計額だけでは決まりません。
非課税世帯になると、高額療養費や入院中の食事代、高額介護サービス費の上限が下がり、条件を満たせば年金生活者支援給付金も受け取れます。一方で、多くは申請や請求が必要で、収入が変われば翌年度から対象外になることもあります。
まずは手元の年金額と課税(非課税)証明書を確かめ、わからない点は市区町村の住民税や介護保険の窓口、年金事務所に相談してみてください。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」
- 全国健康保険協会「入院時食事療養費・入院時生活療養費・保険外併用療養費・訪問看護療養費」
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和7年国民生活基礎調査」
太田 彩子