年金だけで暮らすようになってから、役所から届く通知の中身が変わった。そんな経験をした人もいるかもしれません。
厚生労働省の「令和7年国民生活基礎調査」で世帯主の年齢別に見ると、住民税が課税されている世帯は30〜50歳代では約9割ですが、80歳以上では55.5%まで下がります。収入が年金中心になると、住民税非課税世帯に該当する人が増えていくのです。
この記事では、夫婦の年金が月いくらまでなら住民税非課税世帯になるのか、年額と月額の両方で目安を計算してみます。
あわせて、住民税非課税世帯が受けられる医療や介護の優遇措置と、高齢者に非課税世帯が多い理由も見ていきましょう。
1. 【住民税非課税世帯】夫婦の年金は合計「月30万5000円」以下が目安
まずは、住民税がかからなくなる所得の基準から確認します。基準は市区町村ごとに条例で決まっているので、ここでは東京23区を例にとります。
1.1 住民税が非課税になる所得の基準
東京都主税局によると、前年の合計所得金額が次の額以下であれば、住民税の均等割も所得割もかかりません。
- 同一生計配偶者や扶養親族がいない人:45万円以下
- 同一生計配偶者や扶養親族がいる人:35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+31万円以下
このほか、生活保護の生活扶助を受けている人や、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下の人も非課税です。23区以外では、均等割が非課税になる合計所得金額が異なる場合があります。
1.2 年金収入に直すと単身は「月約12万9166円」以下
年金を受け取る人の所得は、年金の収入から公的年金等控除を差し引いて計算します。国税庁の速算表では、65歳以上で年金収入が330万円未満なら、控除額は110万円です。
この110万円を、さきほどの所得の基準に足すと、年金収入の目安が出てきます。年金は月額で考えることが多いので、12で割った月額も並べました。
65歳以上で年金収入だけの場合、東京23区で住民税非課税になる目安。夫婦の合計は月30万5000円1/2
出所:東京都主税局「個人住民税」、国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」をもとにLIMO編集部作成
- 単身の人:45万円+110万円=年金収入155万円以下(月約12万9166円以下)
- 妻を扶養している夫:35万円×2人+31万円=101万円、これに110万円を足して年金収入211万円以下(月約17万5833円以下)
1.3 夫婦とも年金だけなら1人ずつ判定する
住民税は1人ずつかかる税金です。夫婦のどちらかに住民税がかかれば、その世帯は非課税世帯にはなりません。
夫婦とも65歳以上で年金収入だけの場合、夫の年金収入が211万円以下で、妻の年金収入が155万円以下であれば、2人とも非課税となり、住民税非課税世帯にあたる目安になります。妻の年金収入が155万円以下なら、合計所得金額は45万円以下なので、夫の同一生計配偶者として数えられます。
夫211万円と妻155万円を足すと年366万円、月にすると30万5000円です。これが、夫婦とも年金収入だけの世帯が住民税非課税世帯になる合計の目安です。
ただし、合計が月30万5000円以下でも、夫の年金収入が年211万円(月約17万5833円)を超えれば、夫には住民税がかかります。夫婦の合計額だけでなく、1人ずつの年金額も確かめておきましょう。
なお、年金以外に給与や不動産収入などがあれば、その所得も合計所得金額に加わります。自分が非課税かどうかは、市区町村で発行される課税(非課税)証明書で確かめられます。