5. 介護保険の住宅改修は、工事の前に市区町村へ申請する

住宅改修費の支給を受けるには、工事を始める前に市区町村へ申請書類を出し、保険給付の対象として適当な工事かどうかを確認してもらう必要があります。厚生労働省の資料では、手続きの流れは次のとおりです。

  1. ケアマネジャーなどに相談する
  2. 施工事業者を選び、見積もりを依頼する
  3. 工事の前に市区町村へ申請する
  4. 市区町村が内容を確認し、結果を知らせる
  5. 工事をして、施工事業者に支払う
  6. 工事のあとに、市区町村へ住宅改修費の支給を申請する
  7. 支給額が決まり、支給される

5.1 工事の前に出す書類は、支給申請書・見積書・理由書・完成予定の写真や図面

工事の前には、支給申請書、工事費の見積書、住宅改修が必要な理由書、改修後の完成予定の状態が分かるもの(日付入りの写真や住宅の間取り図など)を出します。見積書は、複数の事業者から取ることが勧められています。

理由書を作るのは、ケアマネジャー(介護支援専門員)、地域包括支援センターの担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上などの資格を持つ人です。

5.2 工事後の申請に回せるのは、やむを得ない事情がある場合に限られる

工事が終わってから申請できるのは、やむを得ない事情がある場合です。厚生労働省の通知では、入院していた人が退院後に自宅へ戻るため、事前に着工が必要な場合などを例に挙げています。横浜市は、工事着工前の事前申請を支給の条件としています。

事前の確認は、工事後の支給決定とは別のものです。事前に確認を受けても、工事後の書類で適切な工事が行われたかが改めて確かめられます。

6. 介護保険の住宅改修費は工事後の書類で支給が決まる。受領委任払いなら自己負担分の支払いで済む

工事のあとには、住宅改修に要した費用の領収書、工事費内訳書、改修前と改修後の写真など完成後の状態を確認できる書類を出します。写真は、便所・浴室・廊下など箇所ごとに改修前と改修後を撮り、原則として撮影日が分かるものにします。

6.1 償還払いは、いったん工事費の全額を払ってから支給を受ける

基本の支給方法は、工事費の全額をいったん施工事業者に払い、工事後に領収書などを出して保険給付分の払い戻しを受ける「償還払い」です。25万円の工事なら、まず25万円を用意することになります。

6.2 受領委任払いは、取扱事業者に頼むと利用者負担分だけを払えばよい

市区町村によっては「受領委任払い」を選べます。横浜市では、受領委任払い取扱事業者に工事を頼むと、利用者負担分を払うだけで工事ができ、工事後の払い戻しの手続きは要りません。

受領委任払いを使えるかどうかや、取扱事業者の一覧は、親が住んでいる市区町村の介護保険の窓口で確かめられます。

7. 親の家の住宅改修で、住宅の所有者が親本人でなければ所有者の承諾書が要る

工事後の書類には、住宅の所有者が介護保険の利用者本人でない場合、所有者の承諾書も含まれます。親が子ども名義の家に住んでいる場合や、賃貸住宅に住んでいる場合が当てはまります。

7.1 賃貸住宅なら、工事の前に家主の承諾を得ておく

賃貸住宅で手すりを付けたり段差を解消したりする場合は、家主の承諾が必要です。承諾書は工事後の書類として出しますが、工事を始めてから断られることがないよう、見積もりを取る段階で家主に話しておくと手続きが止まりにくくなります。

親と子が別々に暮らしている場合、書類をそろえるのは子どもの役目になることもあります。誰が見積もりを取り、誰が工事代金を立て替えるのかを、きょうだいで先に決めておくと進めやすくなります。

8. まとめ

介護保険の住宅改修費は、手すりの取付けや段差の解消など6種類の工事が対象で、支給限度基準額は1人20万円です。自己負担1割なら18万円、2割なら16万円、3割なら14万円まで支給され、20万円の範囲で複数回に分けて使えます。

要介護度の段階が3段階以上重くなったとき(1回に限る)と転居したときは、改めて20万円の枠が設定されます。2024年度の住宅改修は43万4746件で、要支援1から要介護1までが64.0%でした。

親の家の工事を考え始めたら、着工の前にケアマネジャーに相談し、市区町村へ事前申請をしてから工事に進んでください。

参考資料