3. 【振替加算の手続き】届出が必要になる2つのケース

振替加算は、多くの場合、年金を請求するときの手続きの中で加算されます。ただし、あとから振替加算の対象になったときは、自分で届け出る必要があります。

3.1 裁定請求書に配偶者の情報を書く

日本年金機構は、年金を請求するときの裁定請求書に、配偶者の年金証書の基礎年金番号・年金コード、配偶者の氏名と生年月日を正確に記入すれば振替加算が行われると案内しています。

配偶者が年金を受ける権利を持っていない場合は、配偶者の基礎年金番号・氏名・生年月日を書きます。

基本的には、この記入をしておけば別の手続きはいりません。

3.2 65歳になったあとに配偶者の年金が240月以上になったとき

届出が必要になるのは、老齢基礎年金を受けている妻(夫)が65歳になったあとに、夫(妻)の年金が次のどちらかにあてはまったときです。

  • 夫(妻)が、厚生年金保険と共済組合等の加入期間をあわせて240月以上の老齢年金、または障害年金(1級・2級)を受けられるようになった
  • 夫(妻)が受けている年金が、退職改定や在職定時改定によって、厚生年金保険と共済組合等の加入期間をあわせて240月以上の老齢年金になった

たとえば妻が夫より年上の夫婦では、妻が65歳になった時点で、夫がまだ老齢厚生年金を受け取っていないことがあります。この場合は、夫が240月以上の老齢厚生年金を受けられるようになったときに届出をして、振替加算を受けることになるのです。

65歳以降も会社員として働き、厚生年金保険の加入期間が240月に届いた場合も同じです。在職定時改定は65歳以上70歳未満の人が対象で、9月1日を基準日として10月に年金額が再計算されます。

振替加算の届出が必要になるのはどんなときか2/2

振替加算の手続きの整理。原則は裁定請求書への記入で足り、65歳になったあとに配偶者の年金が加入期間240月以上になったときは老齢基礎年金額加算開始事由該当届が必要

出所:日本年金機構「振替加算を受けられるようになったとき」を参考にLIMO編集部作成

3.3 老齢基礎年金額加算開始事由該当届を出す

届出には「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を使います。提出先は、近くの年金事務所か街角の年金相談センターです。

添付する書類は次の3つで、いずれも原本が必要です。

  • 受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されたもの)
  • 加算開始日から見て直近の所得証明書または非課税証明書のいずれか1通

届出書に本人と対象者の個人番号(マイナンバー)を書けば、この3つの添付は省略できます。ただし、戸籍謄本などの提出を求められることもあります。

戸籍と住民票は、加算開始日より後に発行され、提出日から6か月以内のものを用意します。

4. 【繰下げ受給と振替加算】待っている間は受け取れず増額もされない

老齢基礎年金を66歳以降に遅らせて受け取る繰下げ受給を考えている人は、振替加算の扱いも知っておきたいところです。

4.1 振替加算は繰下げの増額の対象外

繰下げ受給では、65歳から遅らせた月数1か月ごとに、年金額が0.7%ずつ増えます。日本年金機構の「年金の繰下げ受給」のページでは、加給年金額や振替加算額は増額の対象にならないと示されています。

年金を受け取っていない繰下げ待機期間中は、振替加算も受け取れません。振替加算が付く人にとっては、繰下げで増えるのは老齢基礎年金の本体だけなのです。

4.2 税金や保険料への影響もあわせて考える

老齢年金ガイドでは、繰下げ受給によって年金額が増えると、年金生活者支援給付金や、医療保険・介護保険の自己負担と保険料、税金に影響する場合があると注意を促しています。

増額というメリットがある一方で、振替加算を受け取れない期間ができることや、負担が増える場合があることも踏まえておきたいところです。繰下げを決める前に、年金事務所で見込額を試算してもらうと判断しやすくなります。

5. まとめにかえて

振替加算は、1966年4月1日以前に生まれた人の老齢基礎年金に付く上乗せです。2026年度の額は生年月日で決まり、年24万3100円から1万6335円までの幅があります。

多くの場合は裁定請求書への記入で加算されますが、65歳になったあとに配偶者の年金が加入期間240月以上になったときは、届出が必要です。

夫婦のどちらかに当てはまりそうなら、ねんきんダイヤルや年金事務所、街角の年金相談センターで、振替加算が付いているかを確かめてみてください。

参考資料

太田 彩子