3. 大企業の定年退職のモデル退職金は、学歴とコースで617万円の差がある

中央労働委員会の調査では、大学卒の総合職のほか、大学卒の一般職、高校卒の総合職、高校卒の生産労働者についてもモデル退職金を集計しています。定年退職の場合を比べました。

3.1 大学卒・一般職は2187万1000円、高校卒・総合職は2357万9000円

大企業の定年退職のモデル退職金を学歴・コース別に比べた2/2

大企業の定年退職のモデル退職金を、大学卒・総合職、高校卒・総合職、大学卒・一般職、高校卒・生産労働者の4区分で比べた棒グラフ

出所:中央労働委員会「令和7年退職金、年金及び定年制事情調査」を参考にLIMO編集部作成

  • 大学卒・事務・技術(総合職相当):2558万8000円(月収の42.4か月分)
  • 高校卒・事務・技術(総合職相当):2357万9000円(月収の49.5か月分)
  • 大学卒・事務・技術(一般職相当):2187万1000円(月収の45.2か月分)
  • 高校卒・生産労働者:1941万8000円(月収の44.6か月分)

最も高い大学卒・総合職と、最も低い高校卒・生産労働者の差は617万円です。月収換算月数で見ると、高校卒・総合職の49.5か月分が4区分の中で最も長くなっています。

3.2 高校卒・総合職でも、勤続10年の自己都合退職は160万3000円

高校卒・総合職のモデル退職金も、自己都合では少なくなります。勤続10年(28歳)では、会社都合が252万7000円、自己都合が160万3000円で、自己都合は会社都合の63.4%でした。

大学卒・一般職でも、勤続10年は会社都合292万円、自己都合192万8000円です。学歴やコースが違っても、勤続年数が短いうちは自己都合退職で大きく減るという傾向は変わりません。

4. 大企業で実際に支払われた退職金の平均は、自己都合退職で501万2000円

モデル退職金は、標準的に昇進して勤め続けた人を想定した金額です。同じ調査では、令和6年度の1年間に実際に退職した人に支払われた退職金の平均も集計しています。

4.1 令和6年度に大企業を退職した人の49.6%は自己都合

令和6年度に退職した人の内訳は、定年が40.1%、会社都合が6.3%、自己都合が49.6%、その他が4.1%でした。大企業でも、退職者の半数近くは自己都合で辞めています。

1人あたりの平均退職金額は、定年が1936万8000円、会社都合が1503万1000円、自己都合が501万2000円です。自己都合の平均には、勤続年数の短い人も多く含まれます。

4.2 大学卒の定年退職者でも、勤続30年なら平均1572万9000円

定年退職者(男性)の平均退職金額を勤続年数別に見ると、大学卒で勤続30年は1572万9000円、勤続35年は1940万7000円、満勤勤続は2134万9000円でした。

同じ定年退職でも、途中で入社して勤続年数が短ければ退職金は少なくなります。モデル退職金は、あくまで勤め続けた場合の目安として見るのが安心です。

5. 転職を決める前に、自己都合退職で減る退職金を試算しておく

転職先を選ぶときは年収に目が向きがちですが、今の会社を自己都合で辞めると退職金がいくら減るのかも、合わせて計算しておきたいところです。

5.1 退職金規程の支給率表で、会社都合と自己都合の差を見る

退職金の計算方法は会社ごとに違います。退職金規程や就業規則で、勤続年数ごとの支給率と自己都合の場合の扱いを確かめ、今辞めた場合と数年後に辞めた場合の金額を並べてみましょう。

中央労働委員会の調査では、自己都合退職の割合は勤続15年で69.6%、勤続20年で80.5%と、勤続年数が延びるほど会社都合に近づきます。数年の違いで受け取る額が大きく変わることもあります。

5.2 転職先に退職金制度があるかも確かめる

転職先に退職金制度があるか、ある場合は何年勤めると受け取れるのかを、内定の段階で確認しておくと比べやすくなります。

退職金を含めた生涯の収入で比べると、年収の差だけでは見えなかった違いに気づけます。

6. まとめにかえて

中央労働委員会の令和7年調査によると、大企業の大学卒・総合職のモデル退職金は定年で2558万8000円でした。自己都合で退職した場合は、勤続3年で会社都合の49.2%、勤続10年で60.7%にとどまり、勤続30年を過ぎると9割を超えます。

令和6年度に実際に支払われた退職金の平均は、定年退職で1936万8000円、自己都合退職で501万2000円でした。

転職や早期退職を考えるときは、勤め先の退職金規程で、辞める時期によって退職金がいくら変わるかを確かめておきましょう。

参考資料

宮野 茉莉子