同じ会社で長く働いた場合と、途中で辞めた場合とで、退職金はどれくらい変わるのでしょうか。転職を考え始めたときに、気になる人も多いはずです。

中央労働委員会が2026年4月に公表した「令和7年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、資本金5億円以上・労働者1000人以上の企業を中心とした大企業で、大学卒・総合職のモデル退職金は定年で2558万8000円でした。一方、自己都合で辞めた場合のモデル退職金は、勤続年数が短いほど会社都合を大きく下回ります。

この記事では、大企業のモデル退職金を勤続年数別に並べ、会社都合と自己都合でいくら違うのかを確認します。

1. 大企業の大学卒・総合職のモデル退職金は、定年で2558万8000円

まずは、中央労働委員会の調査がどのような会社を対象にしているのか、モデル退職金とはどのような金額なのかを確認します。

1.1 モデル退職金は、卒業後すぐに入社して標準的に昇進した人の退職金

中央労働委員会の「賃金事情等総合調査」は、原則として資本金5億円以上、労働者1000人以上の企業の中から、中央労働委員会が独自に選んだ企業を対象にしています。退職金の調査は2年に1度行われ、令和7年調査は2026年4月30日に集計表が公表されました。

モデル退職金は、学校を卒業してすぐに入社し、同じ会社に勤め続けて標準的に昇進した人を想定した退職金です。大学卒なら、勤続3年で25歳、勤続38年で60歳という年齢で集計されています。

1.2 大学卒・総合職の定年退職のモデル退職金は月収の42.4か月分

大学卒の事務・技術労働者で、総合職相当のコースの人が定年で退職した場合、モデル退職金は2558万8000円でした。調査では退職金を月収で割った「月収換算月数」も示されており、定年退職では42.4か月分にあたります。

なお、定年の金額は集計した企業が28社と、勤続年数別の数字より少ない点には注意が必要です。

2. 大企業のモデル退職金を勤続年数別に見ると、自己都合退職は会社都合より少ない

大企業のモデル退職金は、会社の都合で退職する場合と、自分の都合で退職する場合とで分けて集計されています。同じ勤続年数でも、自己都合退職のほうが少なくなります。

2.1 勤続10年のモデル退職金は、会社都合333万円、自己都合202万1000円

大学卒・総合職のモデル退職金を、勤続年数別に一覧にしました。勤続10年(32歳)では、会社都合が333万円、自己都合が202万1000円です。

大企業のモデル退職金(大学卒・事務・技術、総合職相当)を勤続年数別・退職事由別に比べた1/2

大企業の大学卒・総合職のモデル退職金を、勤続3年から38年まで会社都合と自己都合で比べ、自己都合が会社都合の何%にあたるかを示した表

出所:中央労働委員会「令和7年退職金、年金及び定年制事情調査」を参考にLIMO編集部作成

【会社都合で退職した場合】

  • 勤続3年(25歳):74万円
  • 勤続5年(27歳):129万8000円
  • 勤続10年(32歳):333万円
  • 勤続15年(37歳):601万2000円
  • 勤続20年(42歳):952万3000円
  • 勤続25年(47歳):1457万1000円
  • 勤続30年(52歳):2009万9000円
  • 勤続35年(57歳):2369万5000円
  • 勤続38年(60歳):2560万8000円

【自己都合で退職した場合】

  • 勤続3年(25歳):36万4000円
  • 勤続5年(27歳):69万1000円
  • 勤続10年(32歳):202万1000円
  • 勤続15年(37歳):418万6000円
  • 勤続20年(42歳):766万4000円
  • 勤続25年(47歳):1226万9000円
  • 勤続30年(52歳):1811万円
  • 勤続35年(57歳):2184万9000円
  • 勤続38年(60歳):2364万2000円

2.2 自己都合退職のモデル退職金は、勤続3年で会社都合の49.2%、勤続30年で90.1%

自己都合退職のモデル退職金が会社都合の何%にあたるかを計算すると、勤続年数が短いほど割合が低くなっていました。

  • 勤続3年:49.2%
  • 勤続5年:53.2%
  • 勤続10年:60.7%
  • 勤続15年:69.6%
  • 勤続20年:80.5%
  • 勤続25年:84.2%
  • 勤続30年:90.1%
  • 勤続35年:92.2%
  • 勤続38年:92.3%

勤続3年では会社都合の半分に届かず、勤続20年で8割を超えます。勤続30年を過ぎると、差は1割未満に縮まります。

大企業の大学卒・総合職のモデル退職金は、定年で2558万8000円でした。自己都合で辞めた場合は、勤続10年で202万1000円と会社都合の6割ほどにとどまります。

自分の勤め先で、自己都合と会社都合の退職金がどう計算されるかは、就業規則や退職金規程の支給率の表で確かめられます。

ここからは学歴・コースによる違いと、実際に支払われた退職金の平均をお伝えします。

宮野 茉莉子

退職金は、勤続年数だけでなく辞め方によっても大きく変わります。とくに勤続10年前後で転職すると、自己都合の退職金は会社都合の6割ほどです。転職先の給与だけで判断せず、今の会社に残った場合の退職金も並べて比べてみることをおすすめします。