3. 【業種別の人数】どの業種で何人が働いているか
では、それぞれの業種では、どれくらいの人が働いているのでしょうか。1年を通じて勤務した給与所得者の人数を、業種ごとに見てみます。
国税庁の表の順に、「建設業」410万8000人、「製造業」925万6000人、「卸売業,小売業」818万7000人、「宿泊業,飲食サービス業」247万2000人、「金融業,保険業」129万5000人、「不動産業,物品賃貸業」127万7000人、「運輸業,郵便業」306万4000人です。
続いて、「電気・ガス・熱供給・水道業」18万2000人、「情報通信業」225万7000人、「学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業」264万2000人、「医療,福祉」750万4000人、「複合サービス事業」106万8000人、「サービス業」782万7000人、「農林水産・鉱業」49万2000人でした。14業種を合わせると5163万1000人です。
最も多いのは「製造業」925万6000人であり、次いで「卸売業,小売業」818万7000人、「サービス業」782万7000人、「医療,福祉」750万4000人などとなっていました。
業種ごとの人数には、その業種で働く会社員の数が表れています。平均給与を見るときは、人数もあわせて確かめておくと、その業種のなかでどれだけの人の給与をまとめた数字なのかがつかみやすくなります。
4. 【年収1000万円超の割合】業種別に何パーセントか
同じ統計表には、業種ごとに、給与の金額の区分ごとの人数も載っています。年収1000万円を超える4つの区分の人数を足して、業種ごとの人数で割ると、年収1000万円を超える人の割合がわかります。
全体では339万5000人で、6.6%でした。業種ごとには、「建設業」10.2%、「製造業」9.4%、「卸売業,小売業」4.2%、「宿泊業,飲食サービス業」1.2%、「金融業,保険業」20.0%、「不動産業,物品賃貸業」9.1%、「運輸業,郵便業」3.7%です。
続いて、「電気・ガス・熱供給・水道業」29.9%、「情報通信業」14.5%、「学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業」11.0%、「医療,福祉」3.4%、「複合サービス事業」2.7%、「サービス業」3.4%、「農林水産・鉱業」3.0%でした。
「電気・ガス・熱供給・水道業」は約3割近くに。「金融業,保険業」は約2割となっています。業種だけでもこれだけの違いが見られますが、さらに職種や会社規模などによっても平均的な収入は変わってくるでしょう。
5. 【業種別×年齢階層】平均給与がいちばん高くなる年齢階層
「自分の業種では、何歳ごろに給与が高くなるのだろう」と思う方もいるでしょう。国税庁の統計表には、業種ごとに年齢階層別の平均給与をまとめた表もあります。男女を合わせた数字です。
5.1 【業種別・年齢階層別の平均給与】
全体では、55~59歳の573万1000円が、年齢階層のなかでいちばん高くなっています。業種ごとに、平均給与がいちばん高い年齢階層を見てみます。
55~59歳だったのは7業種です。「建設業」723万3000円、「製造業」685万2000円、「不動産業,物品賃貸業」630万9000円、「電気・ガス・熱供給・水道業」1081万8000円、「情報通信業」855万9000円、「複合サービス事業」629万9000円、「サービス業」472万7000円でした。
50~54歳だったのは5業種で、「卸売業,小売業」493万2000円、「金融業,保険業」852万6000円、「学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業」668万6000円、「医療,福祉」463万9000円、「農林水産・鉱業」481万2000円です。「宿泊業,飲食サービス業」は45~49歳の374万円、「運輸業,郵便業」は40~44歳の537万3000円でした。
同じ業種のなかでも、年齢によって平均給与は変わっていきます。ご自身の業種の、自分の年齢に近い階層の数字を見ておくと、この先の給与の動きを考える手がかりになるのではないでしょうか。
6. まとめにかえて
業種別の平均年収をふまえて、これからの働き方と家計のために意識しておきたいポイントを3つに分けて整理します。
6.1 1つめ:自分の業種の数字を、男女別・人数とあわせて見ておく
令和7年分の平均給与は、全体で486万6000円でした。業種ごとの金額を見るときは、男女別の金額や、その業種で働く人数もあわせて確かめておくと、数字の意味をつかみやすくなります。まずは自分の業種の行を、表のなかで見つけておきましょう。
6.2 2つめ:平均だけでなく、給与の区分ごとの分かれ方から家計の見通しを立てる
年収1000万円を超える人の割合は、全体で6.6%でした。同じ業種のなかでも、給与の金額は人によって分かれています。平均の金額だけで判断せず、自分の年収がどの区分に入るのかも、源泉徴収票の「支払金額」の欄で確かめておくと、家計の見通しを立てやすくなります。
6.3 3つめ:これからの働き方と家計を、業種の数字とあわせて考える
業種ごとの数字は、今の仕事を続けるか、別の仕事に移るかを考えるときの材料の一つになります。資格を取ることや、社内で役割を広げることなど、年収を考える方法は人によってさまざまです。いくつかの道を知っておくことが、先の働き方と家計の計画を立てるときの手がかりになるでしょう。
7. 編集部よりコメント
1つめは、ここでの人数が、その年の初めから終わりまで途切れずに勤め、毎月の給与の支給を受けた人に限られる点です。年の途中で働き始めた人などは入っていません。
2つめは、業種の分け方が国税庁の統計の区分だということです。ひとつの業種に、いくつもの仕事がまとめられています。たとえば「学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業」には、研究機関や広告業、学校なども入っています。
3つめは、年齢階層別の表が男女を合わせた数字で、調査の対象となった年に、それぞれの年齢階層にいた人の平均だということです。同じ人が年齢を重ねたときの給与の動きを追った数字ではありません。
業種の数字を知っておくと、ニュースで平均年収の話題を見たときにも、落ち着いて受け止められるはずです。自分の仕事に近い業種の数字を、これからの暮らしを考えるヒントとして使ってみてください。
参考資料
宮野 茉莉子
