それは、上昇幅に対して押し(下降幅)が深すぎないこと。押しが深すぎると、それを跳ね返すのが難しくなります。浅く下げ止まってすぐに上昇に転じたものが、その後グングンと足を伸ばしていくパターンが多いのです。

では具体的にどれくらいの押しなら仕掛ける(買いを入れる)のによい形なのかというと、ずばり、「30%」以内がベスト。

パーセンテージを出すには、先述のとおり、A点の「始値」とB点の「高値」、C点の「安値」の値で計算してください。B Cの押しをA Bの上昇幅で割れば算出できます。

計算式にすると、(B-C)÷(B-A)。この値が0.3、つまり30%以内にとどまっていれば、よい形というわけです。それ以上、大きく押している「N」の形は再び上昇に転じる可能性が低く、手を出すべきではないと判断できます。 

実際に計算してみましょう。

A点(始値)が1万4005円、B点(高値)が2万3045円、C点(安値)が2万1010円だった場合は、押しが何パーセントになるでしょうか?

(23045-21010)÷(23045-14005)= 2035 ÷ 9040 = 0.22511062……

答えは、「約22~23%」となります。

これは30%以内にとどまっているので、買うのにふさわしい足といえるでしょう。

買いと売りのタイミングは?

では、この理想的な「N」の形を見つけたら、どのタイミングで仕掛けるべきでしょうか。これは、C点をつけて上昇した後、B点の価格を抜けた時点になります。

リアルタイムで分足チャートをチェックしているなら、B点の価格を抜けたタイミングですぐに仕掛けることができるでしょう。リアルタイムではチェックできず、帰宅後にチャートをチェックする人は、翌日の「寄り付き」(朝9時の取引スタート時に付く値段)がB点を抜けたら買いを入れるといったやり方で対応すればOKです。

なお、注文方法には “成行注文”と “指値注文”の2つがありますが、株鬼流では“成行注文”を推奨しています。

取引価格を指定する指値注文と違って成行注文はいくらで買えるかわからないというデメリットがありますが、一方で指値注文はいつまでたっても売買が成立しないリスクがあります。買いたいと思ったタイミングで買うことが優先だからです。

そして、買った株を売るタイミングも大切。「もっと上がるかも」といつまでも保有していたらあっという間にズルズルと下がってしまった……ということは避けたいものです。

適切な売却のタイミングは、上昇していた日足が「ケツ下げ」(安値が前日よりも安くなる)した時点。お尻を下げるという意味の「ケツ下げ」は、株価が下降する可能性を秘めた足です。いち早く察知して、株を売り抜きましょう。

このほかにも、さまざまな手法や「出来高(売買高)」「板情報」の見方など、チェックすべきポイントは多岐にわたりますが、まずはこの“押しが30%以内”の「N」への仕掛けをマスターすれば、手堅く稼ぐことができます。

これを繰り返していけば、次第に株式投資にも慣れて視野が広がっていくでしょう。そこから新たにさまざまな手法を覚えていけばいいと思います。

まずは第一歩。この「N」という武器で新たな世界を切り開いてください。

ザ・株鬼