秋が深まると、勤務先から年末調整の書類が配られる時期が近づきます。毎月の給与明細で所得税が引かれていることは見慣れていても、同じように所得税を納めている人がどのくらいいるのかは、あまり意識しないかもしれません。
国税庁が2026年9月に公表した「令和7年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者5163万人のうち、源泉徴収で所得税を納めた人は4175万人で、割合は80.9%でした。所得税の定額減税が行われた令和6年分の73.1%からは上がりましたが、令和5年分の86.3%には届いていません。
この記事では、部長級・課長級・係長級の給与を確認したうえで、源泉徴収で所得税を納めた人の割合を年収の階級ごとに3年分並べ、どの階級で割合が戻ったのかを見ていきます。
なお、管理職の年収に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 部長級・課長級・係長級の所定内給与額(令和7年賃金構造基本統計調査)
まずは役職ごとの給与を、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で確認します。一般労働者のうち雇用期間の定めのない人について、6月分の所定内給与額(残業代などを除いた、税金や社会保険料が引かれる前の額)をまとめたものです。
1.1 部長級の所定内給与額は月63万5800円
役職別の所定内給与額(男女計)は次のとおりです。
- 部長級:63万5800円(男性64万2400円/女性57万8300円)
- 課長級:52万9200円(男性54万1400円/女性47万300円)
- 係長級:39万9200円(男性41万900円/女性36万5700円)
- 非役職者:31万500円(男性33万2100円/女性28万100円)
平均年齢は部長級が53.1歳、課長級が49.5歳、係長級が45.4歳、非役職者が41.8歳です。前年と比べると、部長級は1.4%、課長級と係長級はそれぞれ3.4%増えました。
1.2 賞与を年4か月分とした年収の目安は部長級で約1017万円
月額の給与に賞与(月給の2カ月を年2回)を加えた年収の目安については以下の通りです。
LIMOの記事「中間管理職はいくらもらっている?【年収一覧表】部長と課長、係長の年収はいくらか。プレイングマネージャーは9割「マネジメントにさける時間」を民間企業等と行政・自治体別にみる」で、賞与を年4か月分と仮定して試算しています。
月額の賃金に、賞与を年4か月分と仮定して加えた年収の目安は次のとおりです。
部長:約1017万円 課長:約847万円 係長:約639万円 非役職者:約497万円
出所:中間管理職はいくらもらっている?【年収一覧表】部長と課長、係長の年収はいくらか。プレイングマネージャーは9割「マネジメントにさける時間」を民間企業等と行政・自治体別にみる
年収の目安は、所定内給与額の12か月分に、賞与を4か月分と仮定して足した試算です。実際の賞与の月数は勤務先によって異なります。
2. 所得税を源泉徴収で納めた人の割合は、年収の階級で戻り方が違った(民間給与実態統計調査)
次に、国税庁「民間給与実態統計調査」で、源泉徴収で所得税を納めた人(同調査では「納税者」)の割合を見ます。同調査は給与階級ごとに、1年を通じて勤務した給与所得者の数と、そのうちの納税者の数を載せています。
ここでの割合は、階級ごとの納税者の数を給与所得者の数で割って求めました(LIMO編集部による計算)。
2.1 所得税の納税者の割合は、全体で令和5年分86.3%、令和6年分73.1%、令和7年分80.9%
全体では、令和5年分の86.3%から、所得税の定額減税が行われた令和6年分に73.1%へ下がり、令和7年分は80.9%でした。
同調査の報告書には、令和6年分の調査項目に定額減税に関する項目を加え、令和7年分で削除したことが記されています。
2.2 年収400万円超900万円以下の階級は、納税者の割合が令和5年分を上回った
令和7年分の割合を令和5年分と比べると、年収400万円超900万円以下の4つの階級は、いずれも令和5年分を上回りました。400万円超500万円以下は93.7%から83.7%に下がったあと94.2%に、700万円超800万円以下は96.3%から92.3%に下がったあと96.5%になっています。
一方、200万円超300万円以下は88.3%、300万円超400万円以下は93.9%で、令和6年分からは上がったものの、令和5年分の94.8%、96.2%には届いていません。
【令和5年分→令和6年分→令和7年分】
- 100万円以下:18.9%→21.5%→20.5%
- 100万円超200万円以下:75.2%→25.6%→25.6%
- 200万円超300万円以下:94.8%→70.8%→88.3%
- 300万円超400万円以下:96.2%→82.0%→93.9%
- 400万円超500万円以下:93.7%→83.7%→94.2%
- 500万円超600万円以下:91.3%→84.1%→92.2%
- 600万円超700万円以下:92.4%→86.5%→92.8%
- 700万円超800万円以下:96.3%→92.3%→96.5%
- 800万円超900万円以下:99.3%→97.0%→99.5%
- 900万円超1000万円以下:100.0%→99.4%→99.8%
- 1000万円超1500万円以下:100.0%→99.9%→100.0%
- 全体:86.3%→73.1%→80.9%
2.3 年収100万円超200万円以下の納税者の割合は25.6%で、令和6年分と同じだった
年収100万円超200万円以下の階級は、令和5年分の75.2%から令和6年分に25.6%へ下がり、令和7年分も25.6%でした。令和7年分は、この階級の給与所得者582万5000人のうち、納税者は149万4000人です。
報告書の変更点の一覧には、令和7年分の調査で、令和7年度税制改正に伴って基礎控除の改正に対応したことも記されています。ただし、この階級の割合が戻らなかった理由は、調査結果には示されていません。
2.4 課長級・部長級の年収の目安が入る階級は、令和6年分も納税者の割合が97%以上だった
課長級の年収の目安(約847万円)が入る800万円超900万円以下の階級では、納税者の割合は99.3%、97.0%、99.5%と推移しました。部長級の目安(約1017万円)が入る1000万円超1500万円以下の階級は100.0%、99.9%、100.0%で、定額減税の年もほとんど変わっていません。
係長級の目安(約639万円)が入る600万円超700万円以下は92.4%、86.5%、92.8%、非役職者の目安(約497万円)が入る400万円超500万円以下は93.7%、83.7%、94.2%でした。年収100万円を超える階級では、年収が低いほど令和6年分の下がり幅が大きくなっています。
令和7年分の民間給与実態統計調査では、所得税を源泉徴収で納めた人の割合は全体で80.9%でした。課長級・部長級の年収の目安が入る階級では99%を超え、年収100万円超200万円以下の階級は25.6%にとどまっています。
自分が1年間に源泉徴収された所得税の額は、勤務先から受け取る源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄で確かめられます。
ここからは、12月の年末調整で変わる所得税の基礎控除と、統計の数字を読むときに押さえたい点を見ていきます。
納税者の割合は、給与所得者の数を分母にした数字です。年収の階級ごとに分母の人数がかなり違うので、割合の高さだけでなく、その階級に何人いるのかもあわせて見ておくと、全体の数字の動きがつかみやすくなります。
年収が上がる時期は、所得税を納めること自体はほぼ当たり前になる一方で、控除の見直しによって手元に残る額は年ごとに動きます。源泉徴収票は前年の分と並べて見ておくと安心です。

