「一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金は、何が違うのか」と迷っていないでしょうか。厚生労働省は、令和8年8月6日に、令和8年10月1日付けの特定一般教育訓練の指定講座を公表しました。新規指定は151講座で、10月1日時点の給付対象は1532講座です。

本記事では、厚生労働省とハローワークの公式情報をもとに、一般と特定一般の違いを、給付率、対象講座、事前手続きの3点で整理し、受講費別に戻る額を試算します。

1. 一般と特定一般の違いは「給付率」「対象講座」「事前手続き」の3点

教育訓練給付金には、給付率や対象の異なる3つの類型があります。今回扱う一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金に加えて、専門実践教育訓練給付金があります。

一般と特定一般を比べると、違いは大きく3つあります。1つ目は給付率です。一般は教育訓練経費の20%、特定一般は40%で、上限額もそれぞれ異なります。

2つ目は対象になる講座です。特定一般は、労働者の速やかな再就職や早期のキャリア形成に資する教育訓練を対象にした類型で、業務独占資格の取得を目標にした課程などが中心です。3つ目は事前手続きで、特定一般は受講の前にキャリアコンサルティングとジョブ・カードの交付が必要とされています。

なお、給付率や受給の条件は、受講開始日や個別の事情によって異なる場合があります。ご自身が対象になるかどうかは、お近くのハローワークで確認してください。

2. 給付率と上限額:一般は20%・上限10万円、特定一般は40%・上限20万円

厚生労働省とハローワークの案内によると、一般教育訓練給付金は、教育訓練経費の20%が支給され、上限は10万円です。特定一般教育訓練給付金は、教育訓練経費の40%で、上限は20万円です。

特定一般には、追加の給付もあります。令和6年10月1日以降の受講開始分から、資格取得などをして、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に、給付率が50%、上限額が25万円に引き上げられます。

一般教育訓練給付金について、追加給付があるかどうかは、今回確認した資料には記載がありませんでした。断定はできないため、制度の詳細はハローワークに確認してください。

教育訓練経費とは、入学料と受講料(最大1年分)の合計に、受講開始日前1年以内のキャリアコンサルティング費用(上限2万円)を加えたものです。厚生労働省の一般教育訓練給付金のQ&Aによる説明で、特定一般でも同じかどうかは、ハローワークに確認してください。

3. 受講費別に見ると、戻る額はどれだけ違うのか

給付率と上限額を組み合わせて、教育訓練経費が10万円、30万円、50万円、100万円だった場合に戻る額を試算します。一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)、特定一般で追加給付を受けた場合は50%(上限25万円)で計算します。

試算すると、3つの給付には共通点があります。一般は10万円を20%で割ると50万円、特定一般は20万円を40%で割ると50万円、追加給付は25万円を50%で割ると50万円です。つまり、教育訓練経費が50万円に達すると、どの給付も上限に到達します。

3.1 【教育訓練経費別の戻る額の試算】

前提条件:一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)、特定一般の追加給付は50%(上限25万円)で試算(厚生労働省・ハローワークの案内による)1/2

前提条件:一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)、特定一般の追加給付は50%(上限25万円)で試算(厚生労働省・ハローワークの案内による)

出所:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」などを基にLIMO編集部試算

  • 教育訓練経費が10万円の場合:一般は2万円、特定一般は4万円、特定一般の追加給付は5万円です
  • 教育訓練経費が30万円の場合:一般は6万円、特定一般は12万円、特定一般の追加給付は15万円です
  • 教育訓練経費が50万円の場合:一般は10万円(上限)、特定一般は20万円(上限)、特定一般の追加給付は25万円(上限)です
  • 教育訓練経費が100万円の場合:一般は10万円(上限)、特定一般は20万円(上限)、特定一般の追加給付は25万円(上限)です

同じ30万円の講座でも、一般なら6万円、特定一般なら12万円が戻る計算で、給付率が2倍なので、戻る額も2倍になります。一方で、教育訓練経費が50万円を超えても、戻る額は増えません。

試算は、教育訓練経費だけを基準にした目安です。実際の給付額は、経費の範囲や講座の条件、追加給付の要件を満たすかどうかで変わります。

齊藤 慧
「50万円で全部上限」という数字は、高額な講座を選ぶときの目安になります。100万円の講座に通っても、戻る額は50万円の講座と同じです。費用の全体像を考えるときは、上限に達した後の自己負担も忘れずに見積もっておきたいところです。

4. 一般は「給付額が4千円以下なら支給されない」ルールがある

一般教育訓練給付金には、少額の場合の決まりもあります。厚生労働省のQ&Aは、教育訓練経費の20%に相当する額が4千円を超えない場合は支給されないとしています。

この決まりから逆算すると、教育訓練経費が2万円のとき、20%は4000円になり、ちょうど4千円で、支給されません。2万円を下回る講座は、一般では支給の対象にならないことになります。

特定一般でも同様の下限があるかどうかは、今回確認した資料には記載がありませんでした。受講費が少額の講座を選ぶときは、事前にハローワークで、支給額の下限を確認してください。

5. 【編集者の視点】

給付率だけを見ると、特定一般のほうが得に見えます。しかし、特定一般の講座は資格系に偏っており、事前手続きも必要です。「率が高いから特定一般を選ぶ」という発想ではなく、「取りたい資格や身につけたいスキルがどちらの類型にあるか」から考えるのが自然です。

試算のとおり、受講費が50万円を超えると、どちらも上限に達します。高額な講座を選ぶときは、給付額だけでなく、自己負担額の総額も含めて検討することをおすすめします。

6. 特定一般の対象講座は、業務独占資格などが9割を超える

特定一般の対象講座は、どのような内容が多いのでしょうか。厚生労働省の公表では、令和8年10月1日時点の給付対象は1532講座で、類型別の内訳は、業務独占資格等の取得を目標とする課程が1449講座、情報通信技術関連が15講座、短時間のプログラムが66講座、技能検定等が2講座です。

これを全体に占める割合で計算すると、業務独占資格等は約94.6%、短時間のプログラムは約4.3%、情報通信技術関連は約1.0%、技能検定等は約0.1%です。特定一般の講座は、ほとんどが業務独占資格等の取得を目指す課程だと分かります。

6.1 【特定一般教育訓練の給付対象講座の類型別の内訳】

前提条件:厚生労働省が令和8年8月6日に公表した令和8年10月1日時点の給付対象講座1532講座の内訳と、編集部が計算した構成比2/2

前提条件:厚生労働省が令和8年8月6日に公表した令和8年10月1日時点の給付対象講座1532講座の内訳と、編集部が計算した構成比

出所:厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」を基にLIMO編集部作成

  • 業務独占資格等の取得を目標とする課程の場合:1449講座で、構成比は約94.6%です
  • 短時間の職業実践力育成プログラム等の場合:66講座で、構成比は約4.3%です
  • 情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程の場合:15講座で、構成比は約1.0%です
  • 技能検定等の合格を目指す課程の場合:2講座で、構成比は約0.1%です

新規に指定された151講座でも同じ傾向で、業務独占資格等が139講座、情報通信技術に関する資格が2講座、短時間のプログラム等が8講座、技能検定等が2講座でした。新しく加わる講座も、資格系が中心です。

言い換えると、特定一般は「資格を取って働く」ことを目指す人向けの類型だと言えます。資格ではなく、業務の知識やスキルを学びたい場合は、対象の講座が少ない点に注意が必要です。

齊藤 慧
特定一般の約95%が資格系と聞くと、対象の幅は意外に狭いと感じる人もいるかもしれません。自分が取りたい資格が対象講座にあるかどうかは、申し込む前にまず検索システムで確かめておくのが確実です。見つからないときは、一般や専門実践の講座に目を向けてみる手もあります。

7. 特定一般だけに必要な事前手続き:ジョブ・カードと「2週間前」

ハローワークインターネットサービスの案内によると、特定一般教育訓練給付金では、訓練前キャリアコンサルティングとジョブ・カードの交付が必要です。さらに、受講開始日の2週間前までに、ハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります。

一般教育訓練給付金については、同じページに、訓練前キャリアコンサルティングやジョブ・カードの交付、手続き期限に関する記載はありません。ただし、記載がないことと、手続きが不要であることは同じ意味とは限りません。

特定一般を検討している人は、講座の申込みより先に、ジョブ・カードの準備とハローワークへの手続きの時期を確認しておく必要があります。手続きが間に合わないと、給付の対象にならない可能性があります。

訓練前キャリアコンサルティングの受け方や、ジョブ・カードの交付を受ける窓口の詳細は、今回確認した資料には記載がありませんでした。お近くのハローワークに問い合わせてください。

8. 受給の条件と申請期限:一般と特定一般で共通する点

ハローワークの案内では、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金は、支給要件期間が3年以上とされています。初回に限り、1年以上で受給できます。離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが条件です。

過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに、3年以上経過している必要があります。同時に複数の講座について申請することはできません。

支給申請の期限も共通です。訓練修了日の翌日から起算して1か月以内に、ハローワークで手続きを行います。特定一般で追加給付を受けるときは、資格取得などの後の申請期限が別に設けられているため、期限の確認が欠かせません。

9. 教育訓練経費に含まれないもの:受験料・教材費・交通費など

戻る額は、教育訓練経費に給付率を掛けて計算されます。そのため、何が教育訓練経費に含まれるかが重要です。厚生労働省の一般教育訓練給付金のQ&Aによると、含まれるのは、入学料と受講料(最大1年分)の合計です。

一方で、検定試験の受験料、受講に必ずしも必要とされない補助教材費、補講費、行事参加費、学債など将来還付される予定の費用、交通費、パソコンなどの器材費、クレジットカードの手数料、支給申請時点で未納の額は含まれません。

講座の総額と、給付の計算に使われる経費は一致しないことがあります。試算のように「50万円の講座なら10万円」と単純に決めつけず、講座の実施者に、教育訓練経費として認められる範囲を確認してください。

齊藤 慧
パンフレットの受講料をそのまま計算に使ってしまうと、後で「思ったより戻らない」と感じることがあります。受験料や教材費が別枠だと知っておくだけで、実際の負担のイメージが変わってきます。申込みの前に、実施者へ見積もりの内訳を尋ねておくと、後の食い違いを防げます。

※本記事は、編集部が厚生労働省・ハローワークが公表する公式の最新一次資料を直接確認の上、執筆・検証しています。

10. 【編集者の視点】

制度の説明では、一般と特定一般を並べて「給付率の違い」に注目しがちですが、実際に差が出るのは、事前手続きと対象講座の範囲です。手続きを知らずに講座の申込みを済ませてしまうと、後から取り返しがつかない場面もあります。

そのため、講座選びは「取りたい資格から検索システムで探す、類型を確認する、ハローワークで手続きを確認する」の順に進めるのが安全です。給付額の試算は、その次の段階で活用してください。

本記事の内容は、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の違いを理解するための一般的な目安であり、試算は条件を仮定した例です。給付の可否や金額、事前手続きの要否は、個別の事情に応じてハローワークが判断します。詳細は、お近くのハローワークに確認することをおすすめします。3つの類型の全体像は、教育訓練給付金の給付率は20%・40%・50%の3段階からもあわせてご覧ください。

11. まとめ

一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の違いは、給付率、対象講座、事前手続きの3点です。給付率は一般が20%(上限10万円)、特定一般が40%(上限20万円)で、特定一般には追加給付もあります。

試算では、どの給付も教育訓練経費が50万円に達すると上限になりました。特定一般の講座は約94.6%が業務独占資格等の課程で、受講の前にはジョブ・カードの交付と、受講開始日の2週間前までのハローワークでの手続きが必要です。

申請期限は、訓練修了日の翌日から1か月以内です。受験料や交通費などは教育訓練経費に含まれないため、講座の総額と給付の対象額は一致しません。申込みの前に、ハローワークで確認してください。

12. よくある質問

12.1 Q. 一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金は、何が違いますか?

給付率と上限額、対象講座、事前手続きが異なります。一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)で、特定一般は受講前にジョブ・カードの交付などが必要です。

12.2 Q. 特定一般の追加給付とは何ですか?

資格取得などをして、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に、給付率が50%、上限が25万円になる仕組みです。令和6年10月1日以降の受講開始分が対象です。

12.3 Q. 受講費が20万円の講座では、いくら戻りますか?

この試算方法では、一般は4万円、特定一般は8万円、特定一般の追加給付を受けた場合は10万円です。実際には、教育訓練経費として認められる範囲によって変わります。

12.4 Q. 受講費が少額でも支給されますか?

一般教育訓練給付金は、20%に相当する額が4千円を超えない場合は支給されません。特定一般に同じ決まりがあるかどうかは、ハローワークに確認してください。

12.5 Q. 受講は何回でも給付を受けられますか?

前回の教育訓練給付金の支給日から今回の受講開始日の前日までに、3年以上経過している必要があります。初回に限り、支給要件期間が1年以上で受給できます。

12.6 Q. 申請はいつまでにすればよいですか?

訓練修了日の翌日から起算して原則1か月以内に、ハローワークで申請します。期限を過ぎた場合の扱いは、ハローワークに確認してください。

12.7 Q. 特定一般の対象講座はどこで探せますか?

厚生労働省の「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」で探せます。令和8年10月1日時点の特定一般の給付対象は1532講座です。

12.8 Q. 一般教育訓練給付金でも、事前にハローワークで手続きが必要ですか?

ハローワークの案内には、一般について訓練前キャリアコンサルティングやジョブ・カードに関する記載がありませんでした。事前手続きの要否は、ハローワークに確認してください。

参考資料

齊藤 慧