3. 理由1|米国比率は高くても、全世界株への分散投資になっている
「オルカンは米国株の割合が高い」という点を気にする人も多いため、まずは実際の比率を見てみましょう。
運用会社の資料によると、オルカンが連動をめざす指数(MSCI ACWI)におけるアメリカの比率は、1995年10月末の39%から、2025年10月末には65%まで上昇しました。
アメリカ以外の国・地域は、2025年10月末時点で35%を占めている計算です。
この指数は、日本を含む先進国と新興国の株式で構成されており、2025年10月末時点の構成銘柄数は2511銘柄です。
オルカンはこの指数に連動する運用成果をめざしているため、国・地域の構成も指数に近い形になるのが基本です。
米国の比率が高いのは、指数が株式の時価総額(会社の規模)に応じて組み入れる方式のため、世界の株式市場における米国企業の存在感が、そのまま比率に表れているからです。
米国の株式だけに投資するS&P500のような商品と比べると、アメリカ以外の国・地域の株式も含まれるぶん、1つの国に集中するリスクを抑えやすいといえます。
4. 理由2|指数の見直しで国・銘柄の比率が自動で調整される
こどもNISAは18年という長い期間をかけて運用するため、時間がたつにつれて、世界の株式市場の勢力図が変わっていく可能性があります。
オルカンは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する運用成果をめざしています。
この指数は年に4回、2月・5月・8月・11月に見直しが行われ、時価総額の変化などに合わせて、どの国・地域の株式をどれくらい組み入れるかが調整されます。
実際に、この指数では2024年10月末から2025年10月末の1年間でも、米国と中国の銘柄を中心に、200銘柄弱の入れ替えがありました。
指数の見直しに合わせてファンドの中身も変わるため、保有する側が自分で売買して比率を戻す手間はかかりません。
5. 理由3|信託報酬は年0.05775%以内、とにかくコストが低い
長期の積立では、保有している間ずっとかかり続ける「信託報酬」の水準が、運用の成果に影響してきます。
目論見書によると、オルカンの信託報酬は年0.05775%(税込)以内で、申込手数料はかかりません。
100万円分を1年間保有した場合の信託報酬は、上限でも約578円です。
つみたて投資枠の基準では、インデックス型の信託報酬は海外資産を対象とする場合で0.75%以下とされており、オルカンの水準はこの基準を大きく下回っています。
信託報酬の違いがどれくらい影響するのか、毎月1万円を18年間積み立てるケースで試算してみましょう。
信託報酬の違いで18年後の評価額はどう変わる?3/4
出所:金融庁「つみたてシミュレーター」、三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)請求目論見書」をもとにLIMO編集部作成
運用の利回り(信託報酬を引く前)が年5%で一定だったと仮定すると、信託報酬が0.05775%の場合、18年後の評価額は343万円になります。
信託報酬が0.5%の場合は329万円、1.0%の場合は313万円、2.0%の場合は285万円で、最も低い場合との差は、それぞれ14万円、30万円、58万円です。
元本は216万円なので、コストの差が運用で増えた金額を大きく左右することがわかります。
なお、0.5%・1.0%・2.0%は比較のための仮定の数字であり、実在する特定の商品の水準を示すものではありません。
6. オルカン以外を検討するなら|押さえたい3つのポイント
「S&P500にしたい」「複数のファンドを組み合わせたい」など、オルカン以外を検討する場合は、次の3つのポイントを確認しましょう。
6.1 ポイント1|低コストであること
1つ目は、信託報酬や手数料が低いことです。
つみたて投資枠の対象商品は、販売手数料が0%(ノーロード)で、解約手数料や口座管理料もゼロであることが条件です。
そのうえで、指定インデックス投資信託の信託報酬は、国内資産で0.5%以下、海外資産で0.75%以下と定められています。
同じ種類の商品が複数ある場合は、信託報酬の低いものを選ぶのが基本です。
6.2 ポイント2|ハイリスクな商品を避けること
2つ目は、値動きが極端に大きくなりやすい商品を避けることです。
つみたて投資枠の対象商品には、毎月分配型でないこと、ヘッジ目的など以外でデリバティブ取引を使った運用をしないことといった条件があり、レバレッジ型などは対象外となっています。
こどもNISAでは、12歳になるまで原則として払い出しができないうえ、資金が必要になる時期も決まっていることが多いため、必要なタイミングで評価額が大きく下がっていると困る場面も想定されます。
値動きの大きさだけでなく、「自分が値下がりに耐えられるか」を考えて選びましょう。
6.3 ポイント3|一国集中を避けること
3つ目は、投資先が特定の国や地域に偏っていないかを確認することです。
1つの国に集中している商品は、その国の景気や為替、政治などの影響を大きく受けます。
全世界株式のように複数の国・地域に広く投資する商品や、複数の商品を組み合わせて投資先を分散させる方法があります。
どの国・地域にどれくらい投資するかは、商品ごとの目論見書や月報で確認できます。
低コストであること、投資先が分散していること、仕組みを理解できていること。この3点がそろっていれば、オルカンでもそれ以外でも、納得して続けやすくなるはずです。
7. 購入前に知っておきたい注意点
オルカンは分散投資で低コストですが、購入前には次のような注意点も押さえておきましょう。
投資信託は元本が保証されている商品ではなく、株式市場の変動によって基準価額が下がり、元本割れすることがあります。
オルカンは外貨建ての資産に投資し、原則として為替ヘッジを行わないため、為替の変動によって基準価額が上下する為替変動リスクもあります。
また、こどもNISAの年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円までで、制度の詳細は今後変更される可能性もあります。
実際に始める際は、金融庁や取り扱う金融機関の最新情報を確認してください。
8. まとめ
こどもNISAは2027年1月以降に運用が始まる予定で、2026年10月から一部の金融機関で口座開設の事前申込が始まっています。
オルカンは、米国の比率が高いとはいえ、連動をめざす指数が日本を含む先進国と新興国の約2500銘柄で構成された、全世界株への分散投資です。
指数の見直しによって国・銘柄の比率が自動で調整され、信託報酬も年0.05775%以内と低いため、長期の積立に向いた商品といえます。
オルカン以外を検討する場合は、「低コスト」「ハイリスクを避ける」「一国集中を避ける」の3点を確認しながら、納得できる商品を選びましょう。
【免責事項】
- 投資信託は元本が保証されている商品ではなく、価格の変動等により元本割れとなることがあります。
- 本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、特定の商品の購入を勧誘するものではありません。
参考資料
- 金融庁「令和8年度税制改正の大綱の概要(金融庁関係の主要項目について)」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
- 金融庁「つみたて投資枠の対象商品(指定インデックス投資信託)」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)請求目論見書」
- 三菱UFJアセットマネジメント「数字でみる!オルカン徹底解剖(番外編)」
- 三菱UFJアセットマネジメント「オルカンをもっと知りたい!Q&A」
- マネックス証券「「こどもNISA」の事前申込受付を開始」
和田 直子
