年金の受け取りを遅らせて増やす「繰下げ受給」は、老後資金の増やし方として広く知られるようになりました。

一方で、所得が低い年金生活者を支える「年金生活者支援給付金」は、年金額が増えることで受け取れなくなる場合があります。

本記事では、2026年度の年金生活者支援給付金の基準額や支給要件、請求の流れを整理したうえで、繰下げ受給によって給付金が対象外になる境目を、保険料の納付期間別に試算しました。

「増えるはずの年金」が給付金とどう関係するのか、後半で具体的な月数とあわせて確認していきましょう。

1. 年金生活者支援給付金とは?2026年度の基準額は老齢・遺族が月5620円

まずは、年金生活者支援給付金の制度概要を確認しましょう。

年金生活者支援給付金は、年金収入や所得が低い年金生活者を支援するために支給される給付金です。

原則として偶数月の中旬に、前月と前々月の2か月分が、年金とは別に、年金と同じ受取口座へ支払われます。

1.1 老齢・障害・遺族の3種類と令和8年度の基準額

給付金は、受給している年金の種類に応じて、老齢・障害・遺族の3種類があります。

2026年度は、2025年の物価変動率が3.2%の上昇だったことを受けて、給付基準額も3.2%引き上げられました。

年金生活者支援給付金の基準額(令和8年度)1/2

年金生活者支援給付金の基準額(令和8年度)

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金」をもとにLIMO編集部作成

月額の基準額は、老齢年金生活者支援給付金が5620円(前年度5450円)、障害年金生活者支援給付金が1級7025円(同6813円)・2級5620円(同5450円)、遺族年金生活者支援給付金が5620円(同5450円)です。

ただし、老齢年金生活者支援給付金の5620円はあくまで基準額で、実際の金額は保険料納付済期間などに応じて算出されます。

2. 老齢年金生活者支援給付金の支給要件と所得基準額

次に、老齢年金生活者支援給付金を受け取るための要件を整理します。

2.1 支給対象となる3つの要件

日本年金機構によると、支給対象は、65歳以上の老齢基礎年金の受給者であることが前提です。

そのうえで、請求者本人を含む世帯全員の市町村民税が非課税であり、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が所得基準額以下である必要があります。

所得基準額は、昭和31年4月2日以後生まれの人が82万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人が82万4100円以下です。

判定に使う所得には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。

2.2 基準額をわずかに超えても「補足的給付金」の対象に

所得基準額をわずかに上回る人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

対象となる所得の範囲は、昭和31年4月2日以後生まれの人が82万6500円超92万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人が82万4100円超92万4100円以下です。

3. 老齢年金生活者支援給付金の給付額はどう計算される?

老齢年金生活者支援給付金の月額は、保険料を納めた期間と、保険料の免除を受けた期間をもとに計算されます。

令和8年度の計算式は、保険料納付済期間分が「5620円×納付済期間(月数)÷480月」、保険料全額免除などの期間分が「1万1768円×免除期間(月数)÷480月」で、この2つを合計します。

なお、昭和31年4月1日以前生まれの人は、適用される金額が異なります。

例えば、40年間(480月)保険料を納めた場合は月5620円、20年間(240月)納めた場合は月2810円です。

一方、保険料を10年間(120月)納め、残りの30年間(360月)が全額免除だった場合は、納付済期間分の1405円と免除期間分の8826円を合わせて、月1万231円になります。

免除期間のほうが1か月あたりの単価が高く設定されているため、納付済期間が短くても、給付金が基準額の5620円を上回ることがあります。

4. 給付金を受け取るための請求手続き

年金生活者支援給付金は、年金とは別に請求書を提出しないと受け取れません。

基礎年金の新規請求時に年金生活者支援給付金についても請求書を提出します。

基礎年金受給中に要件を満たし対象となる場合には、毎年9月に日本年金機構から請求書が送付されます。

令和8年度分の請求書(はがき型)については既に送付済みです。

請求書には氏名などを記入し、最寄りの年金事務所に提出します。郵送での提出も可能です。

支給は原則として、請求した月の翌月分からです。