ニュースで「GPIFの運用益が過去最高」「四半期で赤字」といった見出しを目にすることがあります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、私たちが納めた年金保険料の一部である年金積立金を運用している組織です。
筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計相談に携わってきましたが、「GPIFが損をしたら、自分の年金が減るの?」と聞かれることがあります。GPIFが2026年7月3日に公表した2025年度の運用実績によると、2025年度の収益額は41.4兆円、収益率は16.47%でした。
この記事では、GPIFの2025年度の運用実績と、どのような資産で運用しているのかを確認します。記事後半では、25年間の運用実績や、年金財政のなかで積立金がどのような役割を担っているのかも整理します。
1. 【年金】GPIFの2025年度の収益額は41.4兆円、収益率は16.47%
まずは、GPIFの2025年度の運用実績を、「2025年度 業務概況書会見」の資料から確認します。
1.1 4四半期すべてでプラスに
2025年度の収益率は16.47%、収益額は41.4兆円でした。四半期別にみると、第1四半期(4〜6月)が10.2兆円、第2四半期(7〜9月)が14.4兆円、第3四半期(10〜12月)が16.2兆円、第4四半期(1〜3月)が0.6兆円と、すべての四半期でプラスになりました。
1.2 運用資産額は293.6兆円
2025年度末の運用資産額は293.6兆円でした。2025年6月末の260兆円から、年度を通じて増えています。
2. 【年金】国内株式は34.65%上昇。国内債券はマイナス5.37%
GPIFの収益は、市場の動きに大きく左右されます。2025年度の代表的な市場インデックスの動きを見てみましょう。
2.1 株式が大きく上昇した1年
2025年度の資産ごとのベンチマーク収益率は、国内株式(TOPIX・配当込み)が34.65%、外国株式(MSCI ACWI)が27.76%、外国債券(WGBI)が12.16%でした。株式が大きく上昇したことが、GPIFの収益を押し上げました。
2.2 金利上昇で国内債券はマイナス
一方、国内債券(NOMURA-BPI「除くABS」)はマイナス5.37%でした。GPIFは、金利の上昇(債券価格の下落)によって国内債券の収益額はマイナスになったとしています。4資産を組み合わせた複合ベンチマーク収益率は16.64%でした。
3. 【年金】国内外の株式と債券に、4分の1ずつ分散して運用
GPIFは、どのような資産に年金積立金を投資しているのでしょうか。
3.1 基本ポートフォリオは「4資産均等」
GPIFは、資産の配分の目安となる「基本ポートフォリオ」を定めています。現在の中期目標期間(2025〜2029年度)の基本ポートフォリオは、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式に25%ずつ配分する4資産均等です。それぞれ、目安からずれてもよい範囲(乖離許容幅)が決められています。
3.2 2026年3月末は国内債券が26.91%
2026年3月末時点の実際の構成割合は、国内債券が26.91%(80兆6791億円)、外国株式が24.80%(74兆3569億円)、外国債券が24.48%(73兆3990億円)、国内株式が23.81%(71兆3905億円)でした。GPIFは2025年度、上昇した内外の株式から資金を回収し、国内債券を中心に資金を配分する「リバランス」を行っています。
なお、国内債券には、年金特別会計で管理する積立金(約6.2兆円)が含まれています。