4. 令和8年度入試で入学料の負担軽減策をとった83校は、返還・分納・期限の後ろ倒しを選んだ

文部科学省のアンケートでは、令和8年度入試で対応した83校に、具体的な負担軽減策を聞いています(複数回答)。入学料を返還するのか、納める時期をずらすのかで、受験生の側の準備も変わります。

4.1 いちばん多かったのは、入学料の納付期限の後ろ倒し

83校が選んだ負担軽減策は、次のとおりです。

  • 入学料の納付期限を後ろ倒しにする等:39校
  • 入学辞退の意思表示の時期によって、入学料の全部または一部を返還する等:25校
  • 経済的に困難な学生への特段の配慮を行う:17校
  • 入学料の引き下げを行う:15校
  • 合格発表後に入学料の一部を納め、一定の時期までに残りを納める:7校
  • その他:2校

4.2 「3月31日までの辞退で返還」「国公立の合格発表まで納付を待つ」などの例がある

アンケートには、大学が回答した具体例も載っています。併願できる入試区分の合格者が3月31日までに辞退した場合に、事務手数料5000円と振込手数料を差し引いた入学料を返還する例がありました。

国公立大学に合格した人が3月31日までに辞退を申し出た場合に、入学料の全額を返還する例もあります。納付期限については、国公立大学との併願者に限って、国公立大学の前期日程の合格発表日以降まで延ばせるようにした例が挙がっています。

分けて納める形では、合格発表後に入学料の半額を納め、残りの半額を納める2次手続きのあとに辞退した場合は半額を返還する例がありました。入学料を23万円から15万円に引き下げた例も紹介されています。

4.3 修学支援新制度の予約採用者や住民税非課税世帯に限った返還もある

経済的に困難な学生への配慮としては、高等教育の修学支援新制度の予約採用者が併願できる入試区分で3月27日までに辞退を申し出た場合に、入学料の全額を返還する例がありました。

ほかにも、辞退した人が住民税非課税世帯の場合に入学料を全額返還する例や、予約採用者に入学料の納付の猶予を認める例が挙がっています。修学支援新制度の予約採用の通知を受けている家庭は、併願先の大学にこうした扱いがないかを確かめる価値があります。

5. 併願校の入学料は、合格発表から納付期限までの短い間に用意する

銀行でご相談を受けていた頃、お子さまの受験の年は「入学してからの学費」は準備していても、入学前に重なる支払いまでは見込んでいなかった、という声をよくうかがいました。入学料は、その入学前の支払いの代表です。

5.1 私立大学1校に入学料を納めてから国立大学に進むと、入学料は合計52万2365円

私立大学の入学料の平均24万365円と、国立大学の入学料の標準額28万2000円を使って、単純に計算してみます。

  • 私立大学1校に入学料を納め、国立大学に進学:24万365円+28万2000円=52万2365円
  • 私立大学2校に入学料を納め、国立大学に進学:24万365円×2+28万2000円=76万2730円

入学しなかった大学の入学料が返還されない場合、進学先の入学料とは別に、この差額が家計から出ていくことになります。実際の額は大学ごとに違うため、併願する大学の募集要項で入学料を確かめて置き換えてください。

5.2 入学料の分は、すぐに引き出せる預金で分けておく

合格発表から入学料の納付期限までは、短い期間に設定されていることがあります。満期の決まった定期預金や、売却から受け渡しまで日数がかかる運用商品に入れていると、期限に間に合わないおそれがあります。

ご相談の場では、受験の年の秋から春までに出ていくお金を、すぐに引き出せる普通預金に分けておく方法をよくご提案していました。入学料の分を別にしておくと、ほかの生活費と混ざらずに済みます。

6. 入学料の扱いは、募集要項の「入学手続」と「辞退」の欄で確かめる

入学料を返還するかどうか、納付期限を延ばせるかどうかは、大学ごとに違います。文部科学省は、すでに公表した募集要項に返還しない旨を書いている大学でも、ホームページなどで新たな取り扱いを公表できるとしています。

6.1 募集要項のほか、大学のホームページの案内も見ておく

このため、募集要項の記載だけでなく、大学のホームページに入学料の扱いの案内が出ていないかもあわせて確かめておくと安心です。見るところは、入学料の額、納付期限、延納の可否、辞退したときの返還の有無と期限の4つです。

6.2 授業料などの返還を受けるには、3月31日までの辞退の申し出が目安になる

入学料とは別に納めた授業料や施設設備費は、3月31日までに辞退の意思表示をすれば、原則として返還されます。ただし、専願や学校推薦型選抜で在学契約を結んだ場合は対象外なので、出願する入試区分もあわせて確かめておきましょう。

7. まとめ

大学の入学料は、私立大学の令和7年度入学者の平均で24万365円、国立大学の標準額で28万2000円です。入学しなかった大学に納めた入学料は、最高裁判所の判決により、原則として大学に返還の義務はないとされています。

文部科学省は2025年6月に私立大学へ負担軽減を求め、令和8年度入試では83校が納付期限の後ろ倒しや返還などの対応をとりました。11月から総合型選抜の合格発表が始まります。併願する大学の入学料の扱いと納付期限を一覧にし、すぐに引き出せる口座に入学料の分を分けておきましょう。

参考資料

和田 直子