高校3年生の秋は、大学の合格発表が少しずつ始まる時期です。先に決まった大学に入学料を納めたあとで本命の大学に合格すると、入学しない大学にも入学料を払ったままになることがあります。

文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜の判定結果は2026年11月1日以降に、学校推薦型選抜は12月1日以降に発表すると定められています。一般選抜より前に合格が決まり、入学料を納める場面が出てくるのはこれからです。

この記事では、国立大学と私立大学の入学料の額、入学しなかった大学の入学料の扱い、そして文部科学省が私立大学に求めている負担軽減の取り組み状況を確認します。

1. 大学の入学料は、私立大学の平均で24万365円、国立大学の標準額で28万2000円

まず、大学に入学するときに納める入学料がいくらかを確認します。私立大学は大学ごとに額が違うため平均で、国立大学は省令で決められた標準額で見ていきます。

国立大学の標準額と私立大学の平均で、入学料と1年目に納めるお金を比べた1/2

国立大学の入学料と授業料の標準額、私立大学の令和7年度入学者の入学料・授業料・施設設備費・初年度の総計の平均を並べた図

出所:文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」などを参考にLIMO編集部作成

【国立大学(標準額)】

  • 入学料:28万2000円
  • 授業料(年額):53万5800円

【私立大学(令和7年度入学者・学部の平均)】

  • 入学料:24万365円
  • 授業料:96万8069円
  • 施設設備費:17万2550円
  • 初年度の総計:150万7647円

1.1 私立大学の入学料は、前回調査より0.2%減った

文部科学省の「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査」によると、私立大学(学部)の入学料の平均は24万365円で、前回調査の令和5年度より0.2%減りました。

同じ調査で、授業料の平均は96万8069円(0.9%増)、施設設備費は17万2550円(4.4%増)です。授業料・入学料・施設設備費に実験実習料などを合わせた初年度の総計は、150万7647円でした。

1.2 国立大学の入学料は、省令の標準額28万2000円をもとに決まる

国立大学の入学料は、文部科学省令「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」で標準額が定められています。大学の学部の入学料の標準額は28万2000円、授業料の年額は53万5800円です。

国立大学法人は、この標準額をもとに入学料を定めます。

2. 入学しなかった大学に納めた入学料は、原則として返還されない

次に、入学料を納めたあとで別の大学に進むことにした場合、入学料と授業料がどう扱われるのかを見ていきます。入学料と授業料などでは、扱いが分かれます。

2.1 入学料は「入学し得る地位」の対価とされている

文部科学省は、私立大学に出した通知の中で、最高裁判所の判決(平成18年11月27日)を次のように紹介しています。

入学料については、最高裁判所判決(大学学納金返還請求事件・最二小判平成 18 年 11月 27 日)により、その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものであり、学生は、入学金の納付をもって大学に入学し得る地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負わないこととされています。

出所:文部科学省「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)」(令和7年6月26日)

入学料は、入学の手続きを済ませた時点で役割を果たしたお金という扱いです。このため、入学を辞退しても大学に返還の義務はないとされています。

2.2 授業料や施設設備費は、3月31日までに辞退すれば原則として返還される

一方、授業料や施設設備費などは扱いが異なります。「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、3月31日までに入学辞退の意思表示をした人には、原則として、納めた授業料等や諸会費等を返還するよう大学に求めています。

ただし、専願や学校推薦型選抜に合格して大学と在学契約を結んだ人は、この扱いから除かれています。また、入学式を無断で欠席した場合は辞退とみなすなどと募集要項に書いている大学では、入学式の日までに在学契約を解除すれば返還に応じるとされています。

2.3 総合型選抜や学校推薦型選抜で先に合格すると、入学料を納める機会が増える

総合型選抜は、入学願書の受付が9月1日以降、判定結果の発表が11月1日以降です。学校推薦型選抜は、受付が11月1日以降、発表が12月1日以降とされています。

文部科学省は、併願できる総合型選抜などを実施する大学が増え、一般選抜より前の受験機会が広がったことで、入学料を複数の大学に納める機会が拡大していると説明しています。

3. 文部科学省は私立大学に、入学しない学生の入学料の負担軽減を求めた

入学しない大学に納める入学料については、文部科学省が2025年6月26日に私立大学へ通知を出し、負担を軽くする方策を考えるよう求めました。私立大学側の対応がどこまで進んでいるかも、同省のアンケートで公表されています。

3.1 通知が求めたのは、説明・額の抑制・負担軽減の3点

通知が私立大学の設置者に求めた事項は、次の3つです。

  • 入学料の額や納付時期などの趣旨や考え方を、学生や保護者に積極的に説明すること
  • 学生の経済的な負担軽減を図る観点から、入学料の額の抑制に努めること
  • 入学しない学生の納付する入学料に係る負担軽減のための方策を講ずるよう努めること

3つ目については、経済的に困難な学生への配慮、辞退の意思表示の時期に応じた対応、入学料を納める時期を複数回に分けることなど、いくつかの観点から検討するよう求めています。

3.2 令和8年度入試で負担軽減策をとった私立大学・短期大学は83校

文部科学省が2025年12月に公表した「入学しない大学に納付する入学料に関するアンケート結果」では、令和8年度入試を行う私立大学604校と私立短期大学232校の計836校に、通知を受けた対応状況を聞いています(2025年11月末時点)。

私立大学・短期大学836校のうち、「対応するか否かを検討中」が357校で最も多かった2/2

入学しない学生の入学料の負担軽減策について、私立大学・短期大学836校の対応状況を7つの区分で示した横棒グラフ

出所:文部科学省「入学しない大学に納付する入学料に関するアンケート結果」を参考にLIMO編集部作成

【入学しない学生の入学料の負担軽減策の対応状況(836校)】

  • 令和8年度入試で対応することとした:83校
  • 令和9年度入試から対応する予定(対応内容検討中を含む):39校
  • 対応する方向で検討中(時期未定):88校
  • すでに最低限の事務手数料等の金額設定としているため、追加的な負担軽減策は講じていない:32校
  • 専願がほとんどであり、入学しない学生からの入学料納付の実績がない:61校
  • 対応するか否か、対応方針を検討中:357校
  • 現時点で対応する予定はない:176校

令和8年度入試で対応した83校は、836校の約1割です。この秋から選抜が始まる令和9年度入試から対応する予定と答えたのは39校でした。

入学しなかった大学に納めた入学料は、原則として返還されません。私立大学の入学料の平均は24万365円で、文部科学省の通知を受けて令和8年度入試から負担軽減策をとった私立大学・短期大学は836校のうち83校でした。

併願先の大学が入学料をどう扱うかは、各大学の募集要項や入学手続きの案内に書かれています。出願の前に、入学料の納付期限と、辞退したときの扱いの記載を確かめておくと安心です。

ここからは、各大学がとった負担軽減策の中身と、併願校の入学料を家計でどう用意しておくかを見ていきます。

和田 直子

入学料は、合格の通知から納付期限までの日数が短いことが多いお金です。併願する大学の数と納付期限を先に一覧にしておくと、いつまでにいくら口座に置いておけばよいかが見えてきます。