3. 【業種別の課長の年収】課長級の推定年収を業種ごとに並べる
ここからは、課長級の給与と賞与を業種別にみていきます。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職第1表から、企業規模10人以上・雇用期間の定めのない人・男女計の課長級について、毎月のきまって支給する現金給与額を12倍し、年間賞与その他特別給与額を足して推定年収を出しました。
3.1 【業種別の課長級の推定年収】
- 鉱業,採石業,砂利採取業 1156万9100円
- 建設業 852万2600円
- 製造業 879万6700円
- 電気・ガス・熱供給・水道業 1050万4600円
- 情報通信業 959万2200円
- 運輸業,郵便業 770万700円
- 卸売業,小売業 882万3400円
- 金融業,保険業 1243万7600円
- 不動産業,物品賃貸業 908万100円
- 学術研究,専門・技術サービス業 1018万4400円
- 宿泊業,飲食サービス業 633万9900円
- 生活関連サービス業,娯楽業 685万800円
- 教育,学習支援業 785万7600円
- 医療,福祉 671万円
- 複合サービス事業 764万2400円
- サービス業(他に分類されないもの) 742万5600円
並び順は、調査の産業分類の順です。推定年収は、毎月の給与と賞与を足した目安で、残業代なども含まれています。業種ごとに課長級の平均年齢や勤続年数も違い、平均年齢は47.9歳から50.6歳、勤続年数は15.9年から27.5年の幅がありました。金額は、そうした違いも含んだ業種ごとの目安として読むのがよいでしょう。
3.2 【月の給与と賞与の内訳】
推定年収の中身を、月の給与と賞与に分けてみます。たとえば建設業の課長級は、きまって支給する現金給与額が月52万3400円、年間賞与その他特別給与額が224万1800円でした。製造業はそれぞれ54万1000円と230万4700円、卸売業,小売業は53万7700円と237万1000円、医療,福祉は45万6700円と122万9600円です。
ここで挙げた4つは、課長級の人数が多い業種です(建設業14万1720人、製造業39万2640人、卸売業,小売業38万5460人、医療,福祉16万5320人)。なお、鉱業,採石業,砂利採取業の課長級は630人と少なく、ほかの業種より人数の小さい集計である点に注意が必要です。
4. 【業種別の部長の年収】部長級の推定年収を業種ごとに並べる
同じ方法で、部長級の推定年収も業種別に出しました。並び順は、課長級と同じく産業分類の順です。
4.1 【業種別の部長級の推定年収】
- 鉱業,採石業,砂利採取業 1104万1600円
- 建設業 907万6500円
- 製造業 997万7400円
- 電気・ガス・熱供給・水道業 1293万9700円
- 情報通信業 1212万6300円
- 運輸業,郵便業 853万400円
- 卸売業,小売業 989万1000円
- 金融業,保険業 1525万8100円
- 不動産業,物品賃貸業 1124万4500円
- 学術研究,専門・技術サービス業 1337万8700円
- 宿泊業,飲食サービス業 697万5200円
- 生活関連サービス業,娯楽業 763万4100円
- 教育,学習支援業 872万7500円
- 医療,福祉 948万8400円
- 複合サービス事業 880万7000円
- サービス業(他に分類されないもの) 856万8600円
部長級は課長級より人数が少なく、業種によっては数百人から数千人の集計です。鉱業,採石業,砂利採取業の部長級は290人でした。人数の小さい業種の金額は、少しの人の違いで動きやすい点を頭に入れて読みたいところです。
部長級の平均年齢は51.1歳から56.2歳、勤続年数は17.6年から32.3年の幅がありました。部長級の人数が多い業種も、課長級と同じ建設業(10万1440人)、製造業(18万9940人)、卸売業,小売業(18万6010人)、医療,福祉(9万5570人)の4つです。この4業種の部長級について月の給与と賞与をみると、建設業はきまって支給する現金給与額が月56万3900円、年間賞与その他特別給与額が230万9700円でした。製造業はそれぞれ62万5600円と247万200円、卸売業,小売業は62万7700円と235万8600円、医療,福祉は66万6900円と148万5600円です。
プレイングマネージャーとして忙しく働く管理職にとって、同じ業種の課長級・部長級の金額は、自分の待遇を考えるときの1つの目安になります。ただし、会社の規模や年齢、勤続年数によっても金額は変わるので、手元の給与明細と見比べるときは、そうした条件の違いも合わせて考えておきたいところです。
5. まとめにかえて
日本経営協会の調査では、回答した管理職539人のうち86.8%がプレイヤーとしての業務も兼ねていました。厚生労働省の調査では、不満を伝えた課長クラス以上の人のうち42.5%が、賃金や労働時間などの労働条件のことを挙げています。管理の仕事と自分の担当業務を抱えながら、待遇のことも気にかけている管理職の姿が浮かびます。
忙しさと待遇の両方を考えるときは、まずご自身の手元の数字を確かめるところから始めてみましょう。給与明細で基本給と手当、賞与の金額を見ておくと、同じ業種の課長級・部長級の目安と並べて考えやすくなります。
ただし、就業規則や賃金の決まりは会社ごとに違います。細かい点は人事や総務の担当部署に確かめるのが確実です。
プレイヤーの仕事をどこまで持ち続けるのかは、これからのキャリアを考えるうえでも大事な分かれ目です。マネジメントに使う時間を少しずつ増やしていくのか、専門性を磨く道を選ぶのかによって、働き方は変わってきます。役割の選び方は、収入の見通しや家計の計画にもつながるので、数年先にどんな働き方をしていたいかを一度書き出してみるのもよいでしょう。
6. 編集部よりコメント
今回の数字からは、そうした働き方が管理職の多くに当てはまること、そして待遇への関心も小さくないことが見えてきました。業種別の推定年収は、ご自身の立場を考えるときの目安の1つになります。ただ、会社の規模や年齢によって金額は変わるので、あくまで目安として眺めてみてください。
忙しさの中でも、自分の働き方と収入の見通しを一度言葉にしておくと、上司や会社と話をするときの手がかりにもなります。プレイヤーとしての仕事とマネジメントの仕事、それぞれにどれくらいの時間を使っているかを、1週間分だけでも書き出してみると、自分の働き方が見えやすくなるでしょう。
参考資料
- 一般社団法人日本経営協会「管理職は本当に罰ゲーム? ~約9割が現場の実務も担う『プレイングマネジャー』 多忙な中間管理職の実態を読み解く~」(PR TIMES、2026年7月28日)
- 厚生労働省「令和6年 労使コミュニケーション調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表
宮野 茉莉子
