子どもを連れて病院や薬局に行くと、受付で健康保険の資格確認とは別に、自治体の「医療証」や受給者証を出すように言われることがあります。

この受給者証の情報を、マイナ保険証1枚で医療機関が確認できる仕組みづくりが進んでいます。デジタル庁の一覧によると、2026年9月25日時点で、医療費助成の受給者証としてマイナンバーカードを使える自治体は611でした。

この記事では、医療費助成のオンライン資格確認がどのような仕組みで、どれだけの自治体と医療機関・薬局が対応しているのかを、デジタル庁と厚生労働省の資料で確かめます。

1. 子ども医療費などの医療費助成の受給者証は、マイナ保険証で代わりにできる仕組みがある

まず、医療費助成のオンライン資格確認とは何か、受診のときに何が変わるのかを確認します。

1.1 医療費助成のオンライン資格確認は、自治体の受給者証の情報を医療機関が照会する仕組み

医療費助成には、難病や小児慢性特定疾病などの法律にもとづく公費負担医療と、子ども医療費やひとり親家庭の医療費のように自治体が独自に設けている医療費助成があります。

これまでは、受診のたびに紙の受給者証を窓口で示すのが一般的でした。デジタル庁が開発したPMH(Public Medical Hub)というシステムに自治体が受給者の情報を登録すると、医療機関・薬局はマイナ保険証を通じてその情報を確認できるようになります。

厚生労働省の資料では、この取り組みを「マイナ保険証一枚で医療保険に加え、各種公費負担医療や地方単独公費負担医療の資格確認を可能とする重要な取組」と位置づけています。

1.2 受付のカードリーダーで、医療費助成の受給者証を利用するかを選ぶ

デジタル庁の資料によると、対応している医療機関では、顔認証付きカードリーダーにマイナ保険証を置いたときに、医療費助成の各種受給者証を利用するかどうかを選ぶ画面が出ます。

患者が利用に同意すると、医療機関は公費負担者番号や自己負担の上限などの医療費助成の情報を確認できます。

厚生労働省の資料は、紙の受給者証を持参する手間が減り、紛失の心配や、持参を忘れて出直すこともなくなるとしています。

2. 医療費助成の受給者証をマイナ保険証で使える自治体は、2026年9月25日時点で611

医療費助成のオンライン資格確認に対応している自治体は、まだ一部です。デジタル庁と厚生労働省の資料で、参加している自治体の数を見ます。

2.1 2023年度の5自治体から広がり、2026年度中に全国規模での導入を目指す

医療費助成のオンライン資格確認は、2023年度に先行実施として始まりました。参加した自治体は2023年度が5、2024年度までの累計が183(22都道府県、161市町村)でした。

医療費助成の受給者証をマイナンバーカードで使える自治体の数1/2

医療費助成の受給者証をマイナンバーカードで使える自治体の数を、2023年度5、2024年度183、2026年9月25日時点611と並べた棒グラフ

出所:デジタル庁「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧(2026年9月25日時点)」、厚生労働省「令和8年度 医療費助成のオンライン資格確認 自治体説明会」を参考にLIMO編集部作成

デジタル庁が公表している一覧では、2026年9月25日時点で611の自治体が掲載されています。内訳は41都道府県と570市区町村です。

政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2025年6月13日閣議決定)は、医療費助成の受給者証としてマイナンバーカードを使える自治体を順次広げ、2026年度中に全国規模での導入を目指すとしています。

2.2 市区町村では、こども・ひとり親家庭・障害者の医療費助成で参加が多い

厚生労働省の資料には、2025年10月時点で参加している、または参加を予定している市区町村の数が、医療費助成の種類別に載っています。自治体が独自に設けている医療費助成では、次のとおりです。

  • こども医療費助成:523市区町村
  • ひとり親家庭医療費助成:506市区町村
  • 障害者医療費助成:485市区町村
  • その他の医療費助成:149市区町村

同じ資料では、都道府県が実施している精神通院医療に40都道府県、難病の特定医療費と小児慢性特定疾病医療費にそれぞれ31都道府県が参加・参加予定とされています。同じ自治体でも、制度ごとに対応しているかどうかが分かれます。

3. 医療費助成のオンライン資格確認を導入した医療機関・薬局は9万150施設

自治体が対応していても、受診先の医療機関・薬局が対応していなければ、マイナ保険証で受給者証の代わりにはなりません。デジタル庁が公表している導入済みの施設のリストを見ます。

3.1 2026年8月25日現在で、医科3万7179施設、薬局3万3082施設、歯科1万9889施設

デジタル庁の「医療費助成のオンライン資格確認導入済み医療機関・薬局等リスト」によると、2026年8月25日現在の医療機関・薬局は9万150施設です。LIMO編集部でリストを区分ごとに数えると、次のとおりでした。

医療費助成のオンライン資格確認を導入した医療機関・薬局の数(2026年8月25日現在)2/2

医療費助成のオンライン資格確認を導入した医療機関・薬局の数を、医科3万7179、薬局3万3082、歯科1万9889と並べた横棒グラフ

出所:デジタル庁「医療費助成のオンライン資格確認導入済み医療機関・薬局等リスト」を参考にLIMO編集部作成

  • 医科:3万7179施設
  • 薬局:3万3082施設
  • 歯科:1万9889施設

3.2 医療費助成のオンライン資格確認には、自治体と医療機関の両方のシステム改修が必要

厚生労働省の資料では、PMHに受給者の情報を連携するには、自治体の業務システムの改修と、医療機関・薬局のレセプトコンピュータの改修の両方が必要だとしています。

住んでいる自治体が一覧に載っていて、受診先がリストに載っている場合に、マイナ保険証で受給者証の情報を確認してもらえることになります。

医療費助成の受給者証をマイナ保険証で代わりにできる自治体は611、導入済みの医療機関・薬局は9万150施設で、どちらも全国のすべてではありません。

自分の自治体と受診先が対応しているかは、デジタル庁のPMHのページに掲載されている自治体一覧と医療機関・薬局のリストで確かめられます。迷ったときは、受給者証を発行した自治体の担当窓口に問い合わせると確実です。

ここからは、マイナ保険証で受診しても紙の受給者証や管理票が必要になる場面と、2027年4月から変わる点を確認していきます。

熊谷 良子

「対応している自治体」と「対応している医療機関」は、別々に数えられている数字です。

両方がそろって初めて受給者証の提示が要らなくなるので、まず自分の自治体と、よく通う医療機関の2つを確かめていただくのがよいように思います。