4. 奨学金の返還が難しくなったときは、減額返還制度と返還期限猶予制度を使える
JASSOには、返還が難しくなったときのための制度が用意されています。
4.1 減額返還制度は、毎月の返還額を2/3・1/2・1/3・1/4に減らせる
減額返還制度は、毎月の返還額を減らして、その分返還期間を延ばす制度です。毎月の返還額を1/2または1/3にする方法に加え、令和6年度からは2/3、1/4にする方法も選べるようになり、収入の基準も緩和されました。
返還期間は長くなりますが、第二種奨学金の利子の支払総額は変わりません。口座振替(リレー口座)に加入していない人や、延滞している人は利用できない点に注意が必要です。
4.2 返還期限猶予制度は、一定期間返還を先送りできる
返還期限猶予制度は、傷病、災害、失業中、経済困難、産前休業・産後休業や育児休業などの事情があるときに、一定期間、返還を止める制度です。
適用期間は通算10年が限度ですが、傷病、災害、生活保護受給中、産休・育休などの場合は制限年数がありません。第二種奨学金の場合、猶予されている期間に新たな利子は付加されません。
5. 奨学金の延滞が3か月以上続くと、個人信用情報機関に登録される
返還が遅れたときの扱いも、返還を始める前に知っておきたい点です。
5.1 3か月以上延滞している人は12万7千人、返還者に占める割合は2.6%
JASSOのデータ集によると、令和6年度末時点で3か月以上延滞している人は12万7千人でした。第一種奨学金と第二種奨学金の両方を返している人をそれぞれ1人と数えた返還者497万2千人に占める割合は2.6%です。
1日以上延滞している人は31万8千人(同6.4%)で、振替口座の残高不足などでうっかり延滞してしまった人も含まれます。JASSOは、その多くが3か月以内に延滞を解消していると説明しています。
5.2 延滞情報の登録は3か月以上になった場合に限られる
JASSOは、事前に登録についての注意喚起や警告を通知したうえで、延滞が3か月以上になった場合に限って個人信用情報機関に登録しています。登録される機関は、クレジットカードの作成や携帯電話の分割購入の際に登録される機関と同じです。
延滞を解消した場合は、その旨の情報が登録されます。返還が難しいときは、延滞になる前に減額返還制度や返還期限猶予制度を申し込めるかを確かめておきたいところです。
6. 勤め先が奨学金を返還してくれる「代理返還」を利用する企業は3266社
勤め先によっては、奨学金の返還を会社が支援してくれる場合もあります。
6.1 企業等がJASSOに直接送金する仕組み
奨学金返還支援(代理返還)制度は、企業等が従業員に代わって奨学金を返還する制度です。企業等が返還残額の一部または全部をJASSOに直接送金します。
令和6年度末時点で利用している企業等は3266社、令和6年度に支援を受けた人は1万3421人でした。令和7年9月末時点では、利用企業等は4154社、支援対象者は2万500人に増えています。
7. まとめ
2026年3月に貸与を終えた人の奨学金の返還は、10月27日の口座振替から始まります。大学(学部)で借りた人の平均貸与総額は323万円、平均返還年数は15年で、第二種奨学金の利率は利率固定方式で2.423%でした。
返還が難しくなったときは、延滞になる前に減額返還制度や返還期限猶予制度を使えるか確かめておくと、返還を続けやすくなります。勤め先に代理返還の制度があるかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。
参考資料
和田 直子