4. 金は利息や配当を生まず、値動きがそのまま評価額に表れる

銀行で資産運用の相談を受けていた頃、金について「預金のように利息はつくのか」と聞かれることがありました。金の性質を、預金や債券と比べて確認しておきます。

4.1 金地金そのものからは利息も配当も入らない

預金には利息、債券には利子、株式には配当がありますが、金地金を持っていても、持っている間に受け取るお金はありません。

金地金の評価額は、そのときの金の価格と重さで決まります。価格が上がれば評価額は増え、下がれば減ります。2026年の月平均価格が2月の2万5137円から9月の2万1953円まで下がったように、値動きはそのまま評価額に表れます。

4.2 手元の金の評価額は「店頭買取価格×重さ」で見る

手元にある金がいまいくらになるかを知りたいときは、店頭小売価格ではなく店頭買取価格に重さを掛けて計算します。たとえば金地金100グラムなら、10月2日の店頭買取価格2万3126円で計算して231万2600円です。

これは手数料を差し引く前の金額です。実際に売るときの手数料は、地金の重さや売却先によって変わります。

5. 金地金を売った利益は、原則として譲渡所得の総合課税になる

金地金を売って利益が出たときの税金の扱いは、国税庁のタックスアンサー「No.3161 金地金の譲渡による所得」で説明されています。

5.1 所有期間が5年を超えると、課税される金額は2分の1になる

金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。

譲渡益は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で計算します。所有期間が5年以内なら短期譲渡所得、5年を超えるなら長期譲渡所得となり、長期の場合は特別控除後の譲渡所得の金額の2分の1が課税の対象になります。

5.2 譲渡所得の特別控除は、その年の合計で50万円まで

譲渡所得の特別控除は、その年の金地金の譲渡益と、それ以外の総合課税の譲渡益を合わせた額に対して50万円です。合計が50万円以下なら、その金額までしか控除できません。

短期と長期の両方の譲渡益がある場合も、特別控除は合わせて50万円が限度で、短期の譲渡益から先に控除します。

5.3 金投資口座・金貯蓄口座の利益は、20.315%の源泉分離課税

同じ金でも、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、金地金の現物の譲渡とは扱いが異なります。国税庁は、実態が金融取引に近いことから金融類似商品の収益として、一律20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、地方税5%)の源泉分離課税になると説明しています。

この場合は源泉徴収だけで課税が終わり、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。持っている金がどの形なのかで、税金の扱いが変わることになります。

6. まとめ

2026年10月2日の金の店頭価格は、店頭小売価格が1グラムあたり2万3482円、店頭買取価格が2万3126円で、差は356円でした。

月平均価格(税抜)は2026年2月の2万5137円が最も高く、9月は2万1953円です。売買の差は金地金で約1.5%、メイプルリーフ金貨1オンスで約9.2%と、持ち方によって違います。

金地金を売った利益は原則として譲渡所得の総合課税になり、所有期間5年を境に計算が変わります。手元の金の扱いに迷ったときは、売却先の手数料と、税金の扱いをあわせて確かめておくとよいでしょう。

参考資料

和田 直子