4. 両親がそろって介護サービスを使うと、高額介護サービス費は世帯で合算する

ここからは、同じ世帯に介護サービスを使う人が2人いる場合を見ていきましょう。

世帯の上限は、2人の利用者負担を合わせた額と比べます。1人ずつでは上限に届かなくても、合わせると超える場合があります。

4.1 要介護3と要介護1の夫婦なら、自己負担は合わせて月3万6040円

令和8年6月審査分の受給者1人当たり費用額は、要介護3が24万3000円、要介護1が11万7400円です。

それぞれ1割負担とすると、自己負担は2万4300円と1万1740円です。合わせると月3万6040円になります。

4.2 世帯全員が非課税なら月1万1440円が支給される

世帯全員が住民税非課税で上限が2万4600円なら、3万6040円との差の1万1440円が支給されます。

同じ世帯に住民税が課税されている子がいれば、上限は4万4400円です。3万6040円は上限に届かないため、支給はありません。

夫婦のどちらかに個人の上限1万5000円が適用される場合は、その方の分を別に計算するため、支給額が変わります。

5. 高額介護サービス費は初回に申請が必要。福岡市は2回目以降を自動で振り込む

高額介護サービス費は、上限を超えた月があっても、最初から何もせずに振り込まれるわけではありません。

5.1 福岡市では、初回は申請、2回目以降は指定口座へ振り込み

福岡市は、初回の支給には必ず申請が必要で、2回目以降に支給の対象が発生した場合は自動的に指定口座へ振り込むと案内しています。

申請に必要なものとして、介護保険被保険者証、本人名義の通帳の写し、マイナンバーの確認書類と身元確認の書類を挙げています。

手続きの流れや必要な書類は市区町村の案内で示されているので、親が住む市区町村のページで確かめておきます。

5.2 市区町村から届く申請書や通知は、介護を担う家族とも共有する

高額介護サービス費の申請書や支給の通知は、親の住所に届きます。

介護を担う家族が離れて暮らしている場合は、届いた書類を写真で送ってもらうなどして共有しておくと、申請の出し忘れを防ぎやすくなります。

6. 住民票上の世帯は、施設の食費・居住費の負担軽減にも関わる

住民票上の世帯が関わるのは、高額介護サービス費の上限だけではありません。

6.1 特定入所者介護サービス費は、世帯全員の住民税非課税が条件

介護保険施設やショートステイの食費・居住費(滞在費)には、負担を軽くする特定入所者介護サービス費があります。

介護サービス情報公表システムでは、対象を世帯全員が市町村民税非課税の方としたうえで、預貯金などの額にも基準を設けています。

令和8年6月審査分の介護給付費等実態統計月報では、この特定入所者介護サービスの保険給付額は1か月で約184億8908万円でした。

6.2 特定入所者介護サービス費の預貯金の基準は段階ごとに分かれる

預貯金などの基準は、第1段階が1000万円(夫婦は2000万円)、第2段階が650万円(同1650万円)、第3段階①が550万円(同1550万円)、第3段階②が500万円(同1500万円)です。

住民票の世帯をどう届け出るかは、介護保険以外の負担にも関わります。届け出を変える前に、市区町村の窓口で影響を確かめておきましょう。

7. まとめ

令和8年6月審査分の介護サービスの受給者1人当たり費用額は月20万6500円で、要介護5では32万9300円でした。

高額介護サービス費の上限は、住民票上の世帯の住民税で決まります。要介護5の平均を1割負担とした計算例では、課税世帯なら支給なし、世帯全員が非課税なら月8330円、個人の上限が使える方なら月1万7930円と、戻る額に差が出ました。

親の住民票の世帯と課税状況を確かめ、初回の申請書が届いたら家族で共有しておくと、受け取り漏れを防ぎやすくなります。

参考資料