介護費用がいくらかかるかを平均額だけで見ると、判断を誤ります。要介護度によって、想定すべき金額の桁が変わるためです。

在宅で介護保険サービスを使う場合、要支援1と要介護5では利用できる上限額に7倍以上の開きがあります。ところが施設に入る場合、その差は1.5倍ほどにとどまります。

この記事では、自治体の公表資料をもとに、要介護度と費用の関係を確認します。

1. 【在宅介護】費用は要介護度ごとの利用限度額で決まる

在宅で介護保険サービスを利用するときは、区分支給限度基準額という1か月あたりの上限額の範囲内でやりくりします。この上限額の1割から3割が、所得に応じた自己負担の目安になります。

要介護度によって上限額はどれだけ変わるか1/1

在宅サービスの利用限度額と自己負担額(1割・30日あたり)

出所:柏市「介護保険サービスの利用金額」などをもとにLIMO編集部作成

1.1 要支援1の月5万320円から要介護5の月36万2170円まで

柏市が公表している30日あたりの利用限度額は、要支援1が5万320円、要介護1が16万7650円、要介護3が27万480円、要介護5が36万2170円です。

自己負担が1割の人であれば、それぞれ5032円、1万6765円、2万7048円、3万6217円が自己負担の上限目安になります。

1.2 要支援1と要介護5では7倍以上の差

要支援1と要介護5を比べると、利用限度額でも自己負担額でも7倍以上の開きがあります。同じ在宅介護でも、要介護度によって備えるべき金額はまったく違います。

要介護度が上がるほど利用できるサービス量の上限も上がる設計になっているためです。心身の状態に応じて必要なサービスが増えるという前提に立っています。

1.3 限度額は「天井」であって「必ずかかる額」ではない

ここで押さえておきたいのは、この自己負担額が限度額をすべて使い切った場合の目安だという点です。実際にどこまで使うかは家庭ごとに違うので、使い切らなければ負担はこれより少なくなります。

逆に限度額を超えて使った分は介護保険が適用されず、全額が自己負担になります。上限額は「かかりうる費用の天井」として捉えておくと、家計への影響をイメージしやすくなります。

2. 施設に入る場合は要介護度の影響が小さい

在宅と施設では、要介護度と費用の関係そのものが違う仕組みになっています。

2.1 変わるのは介護サービス費の部分だけ

特別養護老人ホームなどの施設に入居する場合、居住費と食費の基準費用額は要介護度にかかわらず共通です。要介護度によって変わるのは、介護サービス費の自己負担部分だけになります。

2.2 要介護1と要介護5で約1.5倍

龍ケ崎市が公表している特別養護老人ホームの介護サービス費(1日あたり・自己負担1割・多床室)は、要介護1が589円、要介護3が732円、要介護5が871円です。

要介護1と要介護5の差は約1.5倍にとどまります。在宅サービスの7倍以上と比べると、影響ははるかに小さいことが分かります。

施設介護の費用は、その大部分を居住費と食費という固定費が占めているためです。在宅は要介護度が上がるほど費用も大きく増える一方、施設は変動が一部にとどまる。この違いは、どちらを想定するかで見え方が変わります。