人手不足の根本的な原因は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少です。総務省の「人口推計」(※7)によると、2018年10月1日現在の日本の総人口は1億2644万3000人と8年連続で減少しています。15歳から64歳までの「生産年齢人口」は、7545万1000人で、割合は59.7%と、比較可能な1950年以降過去最低となっています。
多様な人材の活用
深刻な人手不足の中、注目されているのが、シニア・女性・外国人など多様な人材の活用です。外国人については、今年4月に、「改正出入国管理法」が施行され、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れるため、新たな在留資格「特定技能」を新設する制度がスタートしています。
なお、前述の帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」によると、企業が積極的に活用したい人材としては、「シニア」が 29.2%で最も高く、「女性」が27.9%で続き、「外国人」は 13.7%となっています。外国人を活用するハードルがまだまだ高い状況が見えてきます。
おわりに
深刻な人手不足は当面の間は解消することは難しく、多様な人材を活用しながらも、一定程度の賃金上昇などの対策を講じるという現状が続くと言わざるを得ないでしょう。
一方で、将来的には、人間の仕事がAIやロボットに奪われてしまうという懸念の声もあります。人手不足の解消はもちろんですが、より重要なことは、業務やスキルによる人材需給のミスマッチを解消することだと考えます。
将来的に、人間の仕事は、新技術を担う仕事やクリエイティブな仕事へ、より鮮明にシフトしていく展開は、間違いないと言えるでしょう。
※1「「人手不足」関連倒産(2018年)」東京商工リサーチ
※2「「人手不足」関連倒産(2019年上半期)」東京商工リサーチ
※3「全国企業倒産件数(2018年)」東京商工リサーチ
※4「全国企業倒産件数(2019年上半期)」東京商工リサーチ
※5 「中小企業白書 2019」中小企業庁
※6「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」帝国データバンク
※7「人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)」総務省統計局
広瀬 まき