「人手不足」が、ニュースでも頻繁に話題になっています。
労働者にとっては、人手不足は、求人増加や賃金上昇にも繋がることでもあり、有効求人倍率の上昇など、明るい話題にも結び付いています。

一方で、企業にとっては、人手不足は非常に深刻な問題で、需要があっても対応できない、時間外労働が増加する、などの影響が出ています。また、人手不足を解消するために賃金上昇などの対策を講じざるを得ず、最悪のケースでは、人手不足が原因で倒産に追い込まれる事例も相当数発生しています。「カネ」と「モノ」があっても、「ヒト」がいなければ経営はできません。

東京商工リサーチによると、2018年の「人手不足」関連倒産は387件(※1)、2019年上半期で191件(※2)と、いずれも2013年の調査開始以来、最多件数となりました。しかしながら、倒産件数そのものは、2018年で8,235件(※3)、2019年上半期で3,990件(※4)と、いずれも10年連続で減少する低水準で推移しており、人手不足による倒産の増加が際立つ結果となっています。

また、中小企業庁「中小企業白書 2019」(※5)によれば、人手不足は「規模の小さい会社」ほど深刻度が増す傾向にあります。

半数超の企業が「人手不足」を実感

帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」(※6)によると、人手不足の企業は半数を超えており、とくに、「生産現場に携わる従業員」、「営業部門の従業員」、「高度な技術を持つ従業員」の不足が目立っています。

全体的な人手不足はもちろんですが、IT技術者が争奪戦となっており、高額な報酬が提示されていることがニュースなどでよく取り上げられているように、業務やスキルによって人材の需給状況にはバラツキがあります。

将来的には、新技術の発達によりAIやロボットで置き換えられる仕事と、そうでない仕事の差はより顕著となり、企業が求める人材と働きたい人材との間で需給ミスマッチが増加していくことでしょう。

また、人手不足によって「需要増加への対応が困難」、「時間外労働の増加」、「新事業・新分野への展開が困難」を招いているという回答が多くなっています。とくに、東京オリンピック・パラリンピック関連などで旺盛な需要が続く建設業や、アマゾンや楽天などのネット通販成長の影響を受ける運輸・倉庫業などにおいて「需要増加への対応が困難」との回答が高い割合を示し、注文があっても受けきれない実態が見えます。

また、人手不足の解消に向けての取り組みについては、「賃金水準の引き上げ」との回答が最も多く、 この賃金上昇が、結果的に経営を圧迫するという構図が見えてきます。今後、団塊ジュニア世代の年齢が上がり彼らが企業内での重要なポストを占め賃金がピークを迎える中で、賃金負担は企業に更に重くのしかかってくることでしょう。

人手不足の原因は「生産年齢人口」の減少