4. 国家公務員の退職手当と比べると、東京都職員の退職手当は支給率の仕組みが違う
東京都総務局の「東京都の給与・定員管理等について」には、東京都と国の退職手当の支給率が並べて載っています(令和7年4月1日現在)。国家公務員の退職手当は、自己都合と勧奨・定年で支給率が分かれています。
【東京都(全退職事由共通)】
- 勤続20年:23.0月分
- 勤続25年:30.5月分
- 勤続35年:43.0月分
- 最高限度:43.0月分
【国(自己都合/勧奨・定年)】
- 勤続20年:19.6695月分/24.586875月分
- 勤続25年:28.0395月分/33.27075月分
- 勤続35年:39.7575月分/47.709月分
- 最高限度:47.709月分
4.1 国家公務員の支給率は、自己都合と勧奨・定年で分かれている
国の支給率には、調整率83.7/100を掛けた値が載っています。勤続35年では、自己都合が39.7575月分、勧奨・定年が47.709月分で、退職の理由によって支給率に差があります。
東京都の支給率は勤続35年で43.0月分で、国の自己都合の39.7575月分より高く、国の勧奨・定年の47.709月分より低い水準です。
4.2 東京都は在職年数比例分を引き下げ、職責反映分を広げる見直しをした
広報東京都の「都職員の給与の状況」は、東京都の退職手当について次のように説明しています。
退職手当について、在職年数比例分を大幅に引き下げるとともに、職責反映分を拡充する構造見直しを実施
出所:広報東京都「都職員の給与の状況」(2025年11月号)
勤続年数で決まる基本額の比重を下げ、職責で決まる調整額の比重を高めた仕組みといえます。東京都人事委員会のページでは、現在の支給率と調整額を「平成30年1月1日~」の退職手当として示しています。
4.3 定年前早期退職特例措置の加算は東京都が2〜20%、国が2〜45%
定年前に早期退職した場合の加算措置として、東京都には2%〜20%、国には2%〜45%を加算する定年前早期退職特例措置があります。加算の割合の上限は、国のほうが大きくなっています。
5. 東京都職員の退職金の見込み額は、給料月額・勤続年数・職責の3つで試算する
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談をお受けしていると、退職金の額を「平均と同じくらい」と考えて家計の計画を立てている方が少なくありません。東京都の計算式は公表されているので、自分の数字を当てはめて大まかな額をつかんでおくことができます。
5.1 試算1:定年等退職で、退職時の給料月額45万円・勤続38年の場合
仮に退職時の給料月額を45万円、勤続38年(支給率43.0月分)とすると、基本額は45万円×43.0で1935万円です。退職前240月をすべて課長代理(第4号区分・20点)で過ごした場合、調整額は20点×240月×1100円で528万円となり、合計は2463万円です。
同じ条件で、退職前240月がすべて主任(第5号区分・15点)なら調整額は396万円で、合計は2331万円になります。職責の違いだけで132万円の差が出る計算です。
5.2 試算2:普通退職で、退職時の給料月額25万円・勤続7年の場合
仮に退職時の給料月額が25万円で、勤続7年(支給率6.3月分)で自己都合退職すると、基本額は25万円×6.3で157万5000円です。普通退職には調整額がないため、この額が退職手当になります。
いずれもLIMO編集部による単純な試算で、実際の支給額は給料月額の推移や在職中の経歴によって決まります。東京都人事委員会は、退職手当の支給に関する疑問は退職時の所属の人事担当に問い合わせるよう案内しています。
ファイナンシャル・プランナーとしてお伝えしたいのは、平均支給額を自分の見込み額と考えるのではなく、記事中の試算のように自分の給料月額と勤続年数、職責の経歴から逆算しておくことです。退職後の家計を考えるときの出発点になります。
6. まとめ
令和6年度に退職した東京都職員の退職手当は、定年等退職で平均2235万円、普通退職で平均235万円でした。東京都の支給率は全退職事由共通で、勤続35年で上限の43.0月分になります。
定年等退職と普通退職の差は、平均勤続年数の違いと、定年等退職者だけに支給される調整額から生まれています。国家公務員とは支給率の仕組みが違うため、見込み額は東京都の計算式に自分の数字を当てはめて確かめていただきたいところです。
参考資料
村岸 理美