4. 介護サービスの費用額と、利用者が支払う自己負担は分けて考える

介護にいくらかかるかという問いには、どの家庭にも当てはまる答えがありません。統計の受給者1人あたり費用額は、その金額をそのまま家計から出すという意味ではないからです。

4.1 介護保険の利用者負担は原則1割、一定以上の所得がある人は2割か3割

厚生労働省の介護サービス情報公表システムによると、介護保険サービスを利用したときの利用者負担は、かかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)です。1万円分のサービスを使った場合、1割負担なら1000円、2割負担なら2000円を支払います。

4.2 介護保険施設では、居住費や食費などが別にかかる

介護保険施設を利用する場合は、費用の1割(一定以上所得者は2割または3割)の負担のほかに、居住費、食費、日常生活費の負担も必要になります。施設を検討するときは、介護サービスの費用と、住まいや食事にかかる費用を分けて見積もるという整理のしかたがあります。

5. 高額介護サービス費は、ひと月の利用者負担に上限を設けるしくみ

利用者負担が重くなりすぎないよう、介護保険には高額介護サービス費というしくみがあります。月々の利用者負担額の合計が上限額を超えた場合、超えた分が介護保険から支給されます。

5.1 市区町村民税課税世帯の上限は、世帯で月4万4400円〜14万100円

負担の上限額(月額)は所得に応じて区分されています。市区町村民税の課税世帯では、課税所得380万円(年収約770万円)未満が4万4400円、課税所得380万円〜690万円(年収約1160万円)未満が9万3000円、課税所得690万円以上が14万100円で、いずれも世帯の上限です。

市町村民税世帯非課税の世帯はさらに低い上限が設けられており、たとえば第3段階では世帯で2万4600円です。福祉用具購入費や食費・居住費などは、この合計に含まれません。

5.2 高額介護サービス費の支給には、市区町村への申請が必要

高額介護サービス費の支給を受けるためには、市区町村に申請することが必要です。対象になったときの案内の受け取り方や申請の方法は、お住まいの市区町村の介護保険の窓口で確認できます。

6. 親の介護費用を家族で考えるときは、払う順序と資金の置き場所を決めておく

金融機関で資産運用や承継のご相談を担当してきた経験からお伝えすると、介護の費用は「いくらかかるか」よりも先に、「誰のお金から、どの順番で払うか」を決めておくと話し合いが進みやすいものです。

親御さん本人の年金と預貯金から払うことを基本に置き、足りない分を家族でどう補うかを考える、という置き方がひとつ。介護に使う資金を、すぐに引き出せる預金として別に分けておくという置き方もあります。

介護保険の負担割合や高額介護サービス費の区分は、所得によって決まり、制度の見直しで変わることもあります。親御さんの負担割合証と、市区町村から届く通知を家族で一緒に確認しておくと、費用の見通しを立てやすくなると考えています。

7. まとめ

令和7年度の介護保険の費用額累計は12兆2208億円で、前年度から2.4%増えました。令和8年4月審査分の介護サービスの受給者1人あたり費用額は20万8400円で、都道府県別では鳥取県の23万3600円が最も高く、埼玉県の19万6900円が最も低くなっています。

この費用額には介護保険から支払われる分も含まれており、利用者が支払うのは原則1割(一定以上所得者は2割または3割)です。ひと月の負担が重くなったときは高額介護サービス費の上限もあるので、負担割合証と市区町村の窓口で、自分の家族の場合を確かめておきたいところです。

参考資料

和田 直子